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海神  作者: 葉月 優奈
一話:封鎖された空
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004

(BACOI‘S EYES)

神戸市内の、神戸タワー。

あれから、私はここに来ていた。

今、私は私ではない誰かの格好でここに来ていた。


『本日夜21:55に、取引相手がこの神戸タワーに来る』

私は、このメッセージを見ていた。

見ていた場所は、女子トイレの個室。


このメッセージは、カシチャイからのものだ。

カシチャイは、私の上司。元々教育係で、全てを知る人物。

私は彼にとって、絶対服従だ。

薄暗い女子トイレで、私はスマホをじっと見ていた。

メッセージには続きがあった。


『だが、残念な報告もある。

前日に支部(チョウルイベギマ)が警察に捕まった。

どうやら、組織の中に裏切り者…ないしは警察が絡んでいる可能性もある』

少し、周囲が穏やかではない。

どうやら、警察も私たちを調べているという噂が流れていた。


『そこで、バーコイよ。取引を絶対に成功させよ。

仮に警察が邪魔をするのならば、殺してしまって構わない。

お前には、試験用の『エノシガイオス』も使ってくれ。

それともう一つ、クライアント側の提案があって…』

私は、メールをずっと読んでいた。

私の服のポケットには海神と言われていた、最強の生物兵器『エノシガイオス』が入っているのだ。

取り出したのは、小さなスプレー。

見た目は、普通の制汗スプレーに見えた。

だけど中身は、全く違う。


(海神は、まだ完全に生成できない。でも今の成分でも人は殺せる)

僅かに空気を吸い込んでしまうと、そのままウィルスが体内に空気感染していく。

数ミリ程度吸い込んだだけで、呼吸困難になり死に至っていく。


(爆弾を仕掛けた病院でも、死者1200人を出した)

病因での死者は、ほとんどが窒息死。

『エノシガイオス』の強力なウィルスで、あっという間に死に至っていく。

人間の細胞を破壊し続け、胡弓を許さず、傷ひとつ残らずに殺してしまう究極の兵器。


(唯一耐えられるのは、抗体のワクチンを打つだけ)

国の医療機関で抗体を打たれた私は、エノシガイオスの効果を受けにくい。

激しい脱力感にさいなまれるも、死んだりはしない。

そのためのワクチンを打って、私は海神を所有してここにいた。


(これを小型化させたものがあれば、銃よりも強力だ)

私は小さなスプレーを、ポケットにしまった。

スマホを閉じた私は、ゆっくりと立ち上がった。


そして、私は個室のドアを開けた。

開けた瞬間に、一人の老婆が姿を見せた。


(見られたか?いやそれはどうでもいい。いいんだ)

老婆は、なぜか個室から出てきた私をじっと見ていた。

その顔は、何かを疑っているかのような顔。

だが、その老婆に私は見覚えがない。


(さて、どうする?)

私はすぐさま、さっきのメッセージを見ていた。

警察は、私たちの支部を発見した。

その中には、裏切り者もいると聞く。


(この老婆は、私の味方か?それとも敵か)

数秒間の沈黙が続いた後、老婆がゆっくり口を開いた。

そして、私はすぐさま行動に移していた。



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