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海神  作者: 葉月 優奈
三話:イチゴの香り
35/56

035

(ITAMI‘S EYES)

あたしは、愕然とした。

数分前まで、元気だった人間が死んでいた。

それは、突然のことで驚きでしかなかった。


あたしがいたのは、展望台の二階。

自販機に向かった若杉 瀬奈が死んでいた。

自販機の前で倒れていた彼女は、鵤と同じように青白い顔をして倒れていた。


「同じ手口だ」

「これで二人目」

あたしがここに来た時には、すでに男性一人がここにいた。

現場を確認していた、警備員の印南だ。

見回りをしていた彼が、彼女の第一発見者だ。

がっちりした姿の男性は、後輩の若杉のそばで彼女の脈を調べていた。


「脈はない」もう一人の男性、波多野が首を横に振った。

「苦しんでいる様子もあったけど、声は出せなかったみたいだ」

「いったい誰が?ナニか、やばめやん!」どこかうれしそうなキナもいた。

このフロアには、あたしを含めて4人の人間がいた。


あたしと、一緒にいた動画配信者のキナ。

警備員の印南と、脈を調べている波多野。

印南が発見し、あたしを呼んだ。

話をしていた波多野は、あたしと一緒に上のフロアに来ていた。


そういえば、さっきまであたしと会話をしていた成沢と柚乃はここにきていない。

二人も、鵤のいた女子トイレに行っていたからだ。


(誰だ?誰が麗良を?)

あたしの後輩、若杉 麗良は人に恨まれるような性格ではない。

確かに背も高いし、体育会系の彼女は明るい。

爽やで根明な麗良は、健康な人間で病気もない。

あたしより若い麗良には、これといった病もない。


「やっぱり殺されたんだ。しかもあっさりと」

麗良には、傷がない。

おそらく、犯人と接触したわけではない。

犯人は、どこにいるのだろうか。


鵤も、麗良も、なんで殺されなければならない。

そんな二人との、共通点としてやはり一人の人間の顔が浮かび上がった。


「やっぱり、成沢か!」

あたしは、二人の関係者としてたった一人の人間が浮かび上がった。


成沢は、鵤に結婚を反対されていた。

それと、成沢は麗良の元カレだ。

麗良と別れたのは、あたしの忠告もあった。

だからこそ、成沢の名前が出てきた。


「そうでしょうか?」だけど、否定するのは波多野。

「うんうん、それは判断するのは早すぎると思うで」

あたしに反対したのが、キナだ。


「なんで?」

「そもそも成沢は、うちと一緒にいたからで」

「そう、成沢だけじゃない。あのフロアには何人が一緒にいた」

波多野とキナの指摘は、正しい。

そんな中、波多野がスマホで電話をかけていた。


(電話って、つながるのかな?)

あたしは、電話をつなげてみた。

しかし、電話もネットもなぜかつながらない。

波多野の電話は、誰かと話しているのだろうか。

だけど、波多野は不安な顔で電話をして離れていく。


「ねえねえ、キナ」

「なんや?」

「キナのスマホもつながる?」

「つながるわけ、ないじゃない。ほら圏外」

キナも、スマホをあたしに見せてきた。

やはり、スマホのアンテナは立っていなかった。

それと同時に、浮かび上がる疑問。


(じゃあ、波多野は誰と話をしているのだろう?)

などと思っていると、印南は周囲を見回した。


「とにかく、一度皆さんを呼びましょう。

皆さんは、ここで待っていてください」

印南は、すぐに近くにある柱の方に入っていった。

その柱の先には、関係者しか入れない部屋が見えていた。




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