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このバーテンダーは、とにかく怪しい。
柚乃の直感が、彼女の冷めた目を見ていた。
私の質問に、砂川は呆れた顔を見せた。
「何を言っているんですか?違いますよ」
「もしかして、その金属のフックでやったのね」
「ですから、私のものではありません。
そもそも鵤様には、外傷はありません」
「甘い匂いがしたって聞いたけど……」
「確かに、イチゴの匂いがしました」
「だったら、やっぱりあなたでしょ」
柚乃には、一つの確証があった。
それでも、砂川は認めようとはしない。
さっき、女子トイレに入った。
入った女子トイレに、イチゴの匂いはしなかった。
感じられたのは、消臭剤の匂いだけだ。
「そうは、言いましても」困惑する砂川。
強く否定しないし、むしろ私を相手にしていないかのようだ。
それが、柚乃にとってさらに怒りを増幅させていく。
「それは、ありませんよ」
柚乃と砂川に、割り込んだ人物がいた。
それはこの展望台の警備員、印南だ。
警備員の制服を着て、大きな体で近づく彼は威圧感があった。
「砂川は、少なくとも違う。
だが、彼女以外に犯人がいるのは間違いない」
「どうしてそう、言い切れるの?
庇っているあなたも、そういえばなんだか怪しいわね。
もしかして、共犯なのかしら?」
「それを言うなら、お前にはアリバイがあるのか?」
「柚乃は、絶対に女子トイレに行っていない」
「証拠はあるのか?」
「それは……」
印南に詰められて、柚乃も困惑をした。
「誰も、自分がいた場所を証明できない。
だからこそ、誰かの違和感を調べる必要がある」
「それは、あんたもでしょ」
柚乃は、恨めしい目で警備員を疑っていた。
「ええ、あなただけじゃない。俺も、柚乃も……だ」
そこに出てきたのは、柚乃の彼氏である天満だった。




