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海神  作者: 葉月 優奈
三話:イチゴの香り
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このバーテンダーは、とにかく怪しい。

柚乃の直感が、彼女の冷めた目を見ていた。

私の質問に、砂川は呆れた顔を見せた。


「何を言っているんですか?違いますよ」

「もしかして、その金属のフックでやったのね」

「ですから、私のものではありません。

そもそも鵤様には、外傷はありません」

「甘い匂いがしたって聞いたけど……」

「確かに、イチゴの匂いがしました」

「だったら、やっぱりあなたでしょ」

柚乃には、一つの確証があった。

それでも、砂川は認めようとはしない。


さっき、女子トイレに入った。

入った女子トイレに、イチゴの匂いはしなかった。

感じられたのは、消臭剤の匂いだけだ。


「そうは、言いましても」困惑する砂川。

強く否定しないし、むしろ私を相手にしていないかのようだ。

それが、柚乃にとってさらに怒りを増幅させていく。


「それは、ありませんよ」

柚乃と砂川に、割り込んだ人物がいた。

それはこの展望台の警備員、印南だ。

警備員の制服を着て、大きな体で近づく彼は威圧感があった。


「砂川は、少なくとも違う。

だが、彼女以外に犯人がいるのは間違いない」

「どうしてそう、言い切れるの?

庇っているあなたも、そういえばなんだか怪しいわね。

もしかして、共犯なのかしら?」

「それを言うなら、お前にはアリバイがあるのか?」

「柚乃は、絶対に女子トイレに行っていない」

「証拠はあるのか?」

「それは……」

印南に詰められて、柚乃も困惑をした。


「誰も、自分がいた場所を証明できない。

だからこそ、誰かの違和感を調べる必要がある」

「それは、あんたもでしょ」

柚乃は、恨めしい目で警備員を疑っていた。


「ええ、あなただけじゃない。俺も、柚乃も……だ」

そこに出てきたのは、柚乃の彼氏である天満だった。



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