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海神  作者: 葉月 優奈
二話:回収人
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この中で、一番背が高い女は私。

小学校から高校までバレー部に所属していて、全国にも行ったことがある。

日本代表には選ばれなかったし、バレーは高校でやめるはずだった。

でも、入社した会社の女子バレー部に再び入っていた。


それに対して、この中で一番背が低いかもしれない女。

それが、目の前のベンチに座る女。


マッシュルームカットで、ワンピースを着ているのは、どこか子供のようにも見えた。

背は低くても、顔は音浴びた少し変わった女。

確か名前は、薬栗と言っていた。


「仕事中、邪魔しちゃった?」

「いえ、平気です」

「でも、人が殺されたのにすごいわね。仕事できるなんて」

「あの方は、本当に殺されたんですか?」薬栗が、シンプルに聞いてきた。


「今、調査中。

警察には警備員さんが通報しているみたいだけど…あまりネット繋がらないから」

「そうですか」

私じゃなくて、隣にいた先輩の伊丹が小さな薬栗に言っていた。

薬栗は、ゆっくり立ち上がっていた。


「薬栗さん、でしたっけ?」

「はい」

「変わった苗字ですね」

「よく言われます。あなたは確か若杉さん」

「そうそう、普通でしょ」

「まあ、普通ですね」

小さな体とは対照的に、薬栗はとても落ち着いていた。

まるで、おばあちゃんと話をしているかのようだ。

でも見た目の薬栗は、かなりかわいいらしい。背が低いから子供に見えてしまう。

着ている薄ピンクのワンピースは、少し寒そうな格好に見えた。


「人が死んだけど、あなたは気にしないのね」

「それは、まあ」

「ベンチにいた人たちも気味悪がって」

「そうですね、においはきついですね」

薬栗は、思った以上に淡々としていた。


「しばらくエレベーターが、止まっているからね。

何もすることないし、ネットもないし。二階の方が、いろいろあるからね。

このあたりだと、閉まったカフェぐらいだから」

「どのみち、待っているしかないでしょ」

伊丹の言葉に、私も同意した。

確かに、今のところネットが不安定だ。

喋っている間に、ネットがまたつながらなくなった。

このタワー、電波塔じゃないの。と思いながら。


そんな中、警備員の印南が無線に耳を当てていた。

だけど、こちらの無線も通じていない様子だ。


「なかなか繋がらないようですね」

「ところで、二人は知り合いですか?」

「はい、二人とも食品会社で働いています。

あたしが先輩の伊丹で、この子が後輩の若杉さん」

先輩の伊丹は、私を薬栗に対して紹介した。


「薬栗さんは、何をしているんですか?」

「システムエンジニアです。

県内の小さな会社で、働いています」

「システムエンジニアって、忙しいの?」

「仕事納期によりますねえ。忙しい時は、そのまま会社に泊ることもあります」

「うわー、ブラックだね」

薬栗は、意外とハードな仕事をしていた。

私たちの会社の勤務時間より、はるかに厳しい。


「さっき書いていたのは?」

「プログラムです。急に心配になったのでチェックしていたんです」

「ネットを見ていたわけでは?」

「いえ、今はスマホやタブレットでも仕事できますし。

まあ、私は心配性だから仕事は終わったけど気になってプログラムの確認をしていたところです」

「真面目ねぇ」私が感心した。


「でも薬栗ちゃん、小さいし」

「うんうん、それな。確かにちっこいよね、子供みたい」

「私は二十歳ですが」

でも、身長だけなら中学生といってもおかしくない。

まあ、背の低い女子は珍しくはない。


だけど背の買い私から見て、薬栗はとても小さくかわいく見えた。

薬栗の身長は、背の高い私と20センチぐらい違う。

先輩の伊丹も、私より10センチ違うけどそれ以上だ。

まるで大人と子供のような風に、見えなくもない。


「あっ、先輩」

「なーに?」

「ちょっと喉乾いたから、ジュース買ってきますけど」

「カフェ、もう閉まっているんじゃない?」

伊丹は、近くの閉まっているカフェを見ていた。

店員である砂川も、準備をしていた。


「だから上の自販機に、今から行ってくるの。

先輩は、なんかあります?」

「うーん。帰りには、運転あるしカフェオレでいいかな」

「薬栗ちゃんは?」

「私は、大丈夫です。私はここでプログラムの確認があるから」

「そ。じゃあ、行ってくるね」

私は伊丹と薬栗から、離れていった。

薬栗は、ベンチに座りスマホを再び見ていく。

伊丹もまた、薬栗の邪魔にならないように離れて窓に近づく。


私は二人と離れていく中で、一人で螺旋階段の前に来ていた。

そんな私に、さらに一人の人間が近づいてきた。


「ねえねえ、あんた?」

「何?」私の前に出てきたのは、緑のツインテールの女。

見た目は少し痛そうな女性が、私の前に出てきた。


「あなたは?」

「うちは、キナ。あんたは知っているやろ」

見えたのは、キナという動画配信者がスマホを持って私の前に現れていた。



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