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これは、いろんな推理からもたらされた状況だ。
見た目は日本人で、変装しているのは間違いない。
だけど、彼との会話の中でいくつか不審な点が存在した。
経済状況の違い、会社の話をしないこと。
死体に対する冷静さ、だけど少し前に最後の決定打が放たれた。
「ジョンソンって、なんですか?」
「通信妨害が、解除されたのは、ほんの1分前。
つまりここで、そちら側の通信が解除された。
解除された通信を確認するために、一人にならないといけなかった」
「それは違いますよ、現実に」
「ならば君の体を、確認させてもらっていいかな?波多野さん。
あなたの言うことが正しければ、あなたの体から通信機器が出てこないはずです」
「でも…」
「俺の勘が正しければ、あなたの体から通信機器が出てくる。
それを確かめるには、ここで調べればいい。
丁度ここなら裸になっても、問題はない。
日本は、警察が取り調べを願った時、拒否すれば捕まえる権限がある」
俺の言葉に、波多野はとうとうトイレの地面に手をついた。
「どこから気になっていた?」
「これは刑事の直感だ。
最初に出会った時から、少し日本人ぽくない雰囲気だった。
まあ取引相手も、日本人に化けているとは思わなかったが」
「そうか」
「ボルシュニクの手引きか?」
「それを言えば…殺される」
波多野は、明らかに怯えていた。
だけど俺は、次の瞬間人差し指を立てて周囲を見回していた。
「なんかあったのか?」
「誰かトイレのそばにいる」
俺は周囲を警戒して、トイレの入り口の壁に背中をつけた。
そして、奥の人間の気配を感じていた。
壁越しに感じたのは、一人の人間。
だが、俺が近づくと向こうの人間が離れてくのが見えた。




