024
(MIKAGE‘S EYES)
俺がいたのは、男子トイレだ。
ここには、俺とジョンソンと推理したもう一人の男性がいた。
ジョンソンと推理した男性、それは波多野だ。
グレースーツの背の高い男性は、俺の警察手帳を見て困惑していた。
「ちょっと、何を言っているんですか?刑事って」
「お前は、反政府軍のスパイだろ」
単刀直入に言い放つ俺。
だけど、俺の目の前にいた会社員の波多野は困惑気味だ。
「何を言っているんですか?どこにそんな根拠が?」
「まずは、君の落ち着いた雰囲気だ。
死体を見たのに、感情があまりにもなさすぎる。
これは死ぬことをあらかじめ知っている人間が、死体をよく見ている人間だ。
日本人は、死体をあまりよく見るはずもない」
「でも、それだけで僕を疑うんですか?」
「君には、いろいろと不自然な言動がある。
「不自然なこと?」
「ええ、まずは鵤さんを運ぶとき。
あなたは、頭を支えていた。そして彼女の匂いを嗅いでいるようだった」
「それは違います」
「もしかして、においをかいでいたのではないか?
鵤が、エノシガイオスで殺されたのかどうかを」
「それは違う」
だけど、あくまでシラを切る波多野。
でも、俺はまっすぐ彼を見ていた。
「ならば、なぜ女子トイレの匂いを気にしていた?」
「とくには」
「トイレは、男子も女子もあまり変わらないだろう。それとも匂いフェチの変態ということか?」
「まあ、そういうところ」
「では、次の質問だ」
俺は険しい顔で、波多野を見ていた。
波多野は、それでも苦笑いを見せていた。
「じゃあ、君の広告代理店はなんでホームページがないんだ?」
「え?」
「君は広告代理店勤務のはずだ。
でも、ホームページがないのはどう考えてもおかしい。
もしかして、俺にサーチをされて困るからじゃないのか?」
「そんなことはない」
「じゃあ、会社の名前は?」
「それは…」明らかに言葉に詰まっていた。
その瞬間、俺は確信した。
「あんたが、ジョンソンじゃないのか?」
俺はとうとう、はっきりと言い放っていた。




