023
自分は日本人の血が、少し流れていた。
育ったのはアメリカで、生活の癖もアメリカ人だ。
それでも、母親が日本人で髪の色はほぼ黒い。
肌の色も肌色で、見た目はあまりいじる必要はなかった。
だから自分が、この任務に選ばれた。
それと日本での生活も長い。
反乱軍ではあるが、工作員として日本での資金調達に全力をかけていた。
主な場所としては、研究所関連。
それでも、国に戻れば反乱軍は苦戦を強いられていた、
(現在の状況も、海神の入手で変わるかもしれない)
多くの被害者を、味方にもたらした兵器。
海神の名を関した兵器は、あまりにも脅威だ。
それでも、エノシガイオスを手に入れれば状況は一変する。
生成方法がわかれば、最強の兵器を作ることができた。
何よりこの成分は、圧倒的な殺傷力があった。
劣勢な反政府軍である自分たちの、最後にして最大の切り札だ。
(悪魔に手を打っても、それでも手に入れる。祖国の勝利のために)
自分は、トイレに来ていた。
被害の遭った老婆を見て、エノシガイオスの効果を確認した。
やはり、殺害には時間がかかっていない。
気が付いたら、人を殺せる究極の兵器。
どうしても、自分はこの兵器を手に入れたい。
(あとはこの上原を、振り切ってイヤホンに出て取引相手を探す)
裏切れは、すぐさまボルシュニクの女スパイを売ればいい。
とにかく兵器の入手が最優先だ。
一緒についてきた上原と、トイレの小便器で一つ空いて立っていた。
「上原さん」
「どうしましたか?」
「あの老婆は、やはり心臓疾患ではないんですか?」
「多分違います。これでも、薬剤の貿易業をやっているもので」
「上原さんは、薬剤師かなんかですか?」
「いえ、俺は営業ですから違います。少し興味があるだけの素人です。
ただ、英語とかは読めますけどね」
その言葉に、自分は引っかかるものが見えた。
「英語?」
「ここは日本です。
初めから、あなたがおかしいと思った。
そして、俺と言い合ってどうしても鵤 うねを病死にさせたかった?違いますか」
「何を言っているんですか?」
「さっき女子トイレで、君は匂いを嗅いでいた」
上原の指摘に、自分は思わず戸惑っていた。
「女子トイレに入ったことがないからです」
「気持ちわかりますよ、女子トイレに入らないですからね
「ですよね」
たわいもない話をしてきた上原。
「そうそう、俺の会社は最近不景気でね。そちらの会社はどうです?」
「なかなか景気がいいですよ。こうやって出張にもいきますし」
「そうですか?どんな会社ですか?」
「普通の会社です、規模はそれほど多くないですが」
「そうですか、ホームページとかは?」
「ああ、そういうのはやっていないですね」
もしかして、ホームページで探そうとしているのか。
「なるほど」
それは、避けないといけない。だけど、上原はじっと自分を見ていた。
トイレを終えた上原は、まっすぐこちらを向いていた。
そして、上原は胸ポケットから黒い手帳を取り出した。
「それは?」
「ええ、刑事ですよ。波多野さん。
あなたに、いろいろと聞かなければなりませんから」
上原は、刑事『神影』だということをここで自白してきた。




