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(KINA‘S EYES)
中垣内 木南。『キナ』の本名だ。
動画配信で様々な、動画を上げていてそこそこ食っていけた。
だけど最近は、動画の再生回数に伸び悩んでいた。
そんな私は、神戸タワーに行ってみた動画を上げにここに来ていた。
だが、閉館時間はとっくに過ぎた神戸タワーは面白いことになっていた。
エレベーターは急に止まると、死体が見つかった。
その死体は、偉い婆さんだ。
見た目は急死らしいけど、男女が二人もめていた。
それだけでなかなか面白展開だけど、さらに面白い話も聞こえた。
(エノシガイオスの爆弾、イチゴ爆弾)
これは、詳しく聞かないわけにはいかない。
あの警備員をごまかすように、ズボンに穴をあけてスマホカメラを仕掛けた。
隠し撮りをしつつ、うちは彼らに接触していた。
「なんだ、動画配信者か」
「ねえねえ、なんかすごく面白いことになっていない?
修羅場、修羅場?」
「うざいんですけど、この女」
私より若い女が、ウチに冷たい目線を送ってきた。
それでもウチは、厚かましさだけは負けない自信があった。
「まあまあ、うちに話してよ。
あんたより、うちの方が人生経験も人生相談も豊富やで」
「軽率な女ですね」
「ほんまに、秘密はまもるで。
うちは、義理堅い人間やから」
「どうだか」柚乃という女は、うちに厳しい。
でもうちは、屈託のない笑顔で柚乃の手を取っていた。
「大丈夫や、うちがついているさかい。なんの心配もせんでええ。
全部うちに話せば、すっきりするで」
「それなら、聞かせてもらおうか」
「おお、おっさん」
警備員の印南が、うちに絡んできた。
がっちりした体の印南は、制服を着ていて威圧感を感じられた。
「あんたは、女子トイレに何時何分に入った?」
「うーん、何時やろ?
ここに来たのが21:19ぐらいで、そのあと少ししてトイレに入ったから。
うーんわからんなぁ」
「21:50以降は、入っていないか?」
「あー、それはないわ」
うちは、それは否定した。
「その時間は、夜景を取っておったんねん。
夜景の動画なら…いやなんでもあらへん」
疑惑の目が、印南に向けられた。
さすがにここで、スマホを出すわけにもいかない。
うちは、愛想笑いをしていた。
「そうか、まあ証拠があるのならいい。
お前の撮っている動画も、犯人逮捕に繋がるかもしれないからな」
「犯人って、このばーちゃん殺されたん?」
うちは、そういいながらベンチに眠る老婆をじっと見ていた。
「ああ、そうだ」
「マジ?」
うちはそれを聞いた瞬間、心の中でガッツポーズをしていた。
だが、そんなうちは一つ気になることがあった。
気になる人間は、遠くのベンチの方を歩いていた。
その瞬間、うちは一人の男性と目が合っていた。




