表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あれで付き合ってないの? ~ 幼馴染以上恋人未満 ~  作者: 一ノ瀬麻紀
太陽の話(スピンオフ2)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/81

08 夜中の電話

 週末オレは、実家に帰って過ごした。

 姉一家が帰省してくるから、お前も帰ってこないかと連絡が来たんだ。

 最近忙しかったし、久しぶりにのんびり過ごす実家は、やっぱりホッと気持ちが落ち着く。

 特に母さんは何も言わず、オレの好物をたくさん用意してくれていた。

 最近実家に帰ってなかったから、心配かけてんだなーって身にしみて感じたんだ。もっと帰省頻度を増やさないとなと思った。


 姉一家が帰ってきていたので、オレは久しぶりに会った甥っ子の遊び相手になっていた。

 遊びたい盛りの、小学生になったばかりの男の子だから、まぁ元気が良かった。スタミナは全然切れないし、動き回る遊びが多くて、オレはもうへとへとだった。


 こんな時、歳をとったなぁと感じる。20代の頃は若者のつもりでいたのに、30の声を聞いた途端、一気におじさん感が増した気がする。年数としては、そんなに大差ないはずなんだけどなぁ。


 母さんにもらったたくさんのお土産を持って、アパートにたどり着いた頃には、もう日付も変わろうとしていた。

 冷蔵物だけはしまって、朝シャンにして寝てしまおうかと考えた時、「そういえば」と、忘れていってしまったスマホの存在を思い出した。


「あちゃー」


 スマホの画面を見た瞬間、思わずオレは頭を抱え、大きくため息をついた。

 想定内というかなんというか、着信履歴とメッセージ履歴が、凛太郎(りんたろう)の名前で埋め尽くされていた。


 土曜日の夕方、あんな感じで別れたから、きっとすぐに連絡をくれたんだろう。でもオレは実家に帰省するのに、あろうことにスマホを忘れてしまった。……その結果が、これだ。

 まぁ、そうなるなぁ……。


 オレは苦笑しながら、メッセージアプリを立ち上げ、メッセージを入力しようとした。

 凛太郎なら、オレがスマホを確認したとわかった途端、電話してくると思ったからだ。

 もう少し早い時間なら、オレの方から電話をして、心配かけたことを謝ろうと思った。

 けどさすがに、日付が変わるような時間だ。ちゃんと話をするのは明日のほうがいいと思ったんだ。


 ブーブーブー……


 でもその直後、振動と共に、着信の通知が現れた。


「あはは、やっぱりかけてきたか」


 先手を打つつもりだったけど、心のどこかで、こうなることを待っていたのかもしれない。

 オレはスマホ上部に現れた通知の応答ボタンを押した。


太陽(たいよう)さん! こんな遅い時間にごめんなさい! 今大丈夫ですかっ?』


 きっと不安でしょうがなくて、でもこんな時間だしかけていいのか葛藤しながらも、耐え切れずにかけてきたんだろう。

 そんな中なのに、ちゃんと気遣うことを言える凛太郎もえらいと思う。……まぁ、この時間にかけてきた時点で、あまり良くないんだけどな。

 オレは、スマホの向こうの慌てているだろう凛太郎を想像し、思わずくすくすと笑い出してしまった。


『太陽さん……?』

「ああ、ごめんごめん。……ちょっとな」

『太陽さん、怒ってますか? 約束したのに行けなくなっちゃったから……』

「いや、あれはオレが言ったことだ。詩音(しおん)くん、ちゃんと家まで送り届けたか?」

『はい、しっかりと送り届けました』

「それならよかった」


 オレが、普通に話していることで、少しは落ち着いたのかもしれない。スマホの向こうの凛太郎の言葉が、少し止んだ。

 そして少し考えたように、遠慮がちな声が聞こえてきた。


『太陽さんは……なんで僕からの電話に、出てくれなかったんですか? メッセージも未読のままだったし……』

「ああ、それなんだけど……。心配かけてごめんな。実はあのあと実家に帰ったんだけど、見事にスマホを忘れてしまったんだ」

『え? スマホを忘れた? ……それだけ?』

「ああ、それだけだ。だから連絡できなくて悪かったな」


 オレの言葉を確認したからなのか、スマホの向こうから、大きく長いため息が聞こえてきた。きっと脱力したんだろうな。


『詩音があんなこと言ったから、太陽さんはオレの言葉が嘘だったんだって、勘違いしたのかと思って……』

「お前にちゃんと確認もしないうちに、勝手に決めつけたりはしないよ。それに、ちゃんとオレと会って話がしたいって言ってただろ?」

『そうですけど……』

「凛太郎こそ、オレの言葉を信じてないのか?」

『えっ……信じてます! 疑ったりしません!』


 びっくりしながらも、即答する凛太郎の言葉を聞き、またちょっと意地悪しちゃったかなと思った。

 

「それなら会った時に、しっかりと話をしよう。オレも、ちゃんと自分の気持ちと向き合ってみるよって、言っただろ?」

『……はい。僕の気持ち、詩音とのことも全部話します』

「わかった。……じゃあもう寝るぞ? あ、そうだ。明日7:00にクリニックに行って、キッズスペース設置するから、来れるようだったら来いよ」

『行きます! 僕が言い出したことなので、ちゃんとやりたいです!』

「了解。でも無理するなよ」

『わかりました!』

「ふわぁ……ああ、悪い。もう寝るよ。おやすみ」

『おやすみなさい。太陽さん、良い夢を!』


 こんな時間なのに元気だなぁと思いながら、オレは通話終了ボタンを押した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ