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永劫の檻


第八章 永劫の檻


目覚めた場所は、**「始まりの施設」**だった。

だが、それはもうかつての姿ではない。建物は崩壊し、空は赤黒く濁り、時間そのものが停滞している。


「……ここは、どこ?」

ルキアが呟く。


「ここは、過去でも未来でもない。“永劫”の中枢……俺たちの記憶と記録が閉じ込められていた“檻”だ」

シルバの声には、確信があった。


この場所――それこそが、《クロノ》が管理してきた記録世界の“起点”だった。



姿を現す《クロノ》。


「君たちの選択は、“記録の外側”に影響を及ぼしはじめた。

それはすなわち、記録の崩壊だ」


だがクロノの声には焦りが混じっていた。


「記録とは、存在を証明する唯一の手段。

記録がなければ、世界は無に帰す」


「なら、作り直せばいい」

ミアが静かに言い放つ。


「記録じゃなく、“記憶”から世界を創る。今度こそ、誰も犠牲にならないように」


クロノが叫ぶ。


「記憶は曖昧だ! 情緒に左右され、都合よく捏造される!

そんなものに、世界の秩序は委ねられない!」


シルバが前に出る。


「だからお前は、おれたちから“死”を奪い、“過去”を管理し、“未来”を監禁してきたんだな」


クロノの姿が歪み始める。


「ならば、“永劫の檻”の主として……最後の問を与えよう」



――檻が開く。

中にいたのは、シルバと瓜二つの存在。


「……誰だ、お前」

シルバが問いかけると、彼は微笑んだ。


「“君の本来の記録”だよ。家族を守れず、世界を恨み、記録を壊す存在になった――お前自身だ」


「なにそれ……」

ルキアが震える。


「シルバ……君は、“闇”の記録と向き合わないと、未来に進めないんだ」


ミアが手を握る。


「行って、シルバ。わたしは、ここにいるから」



シルバが、もう一人の“自分”と対峙する。

殴り合い、記憶の断片が飛び散り、互いの過去が混ざり合っていく。


「お前は、あきらめたんだ!」

「違う。諦めたんじゃない、壊したかったんだ! この理不尽な世界を!」


「……それでも、おれは生きる。誰かと、記憶を重ねて」


最後の拳が、闇の自分の胸を貫く。


「なら、持っていけ。この“永劫”の記録を……その手に、未来として――!」



光が爆ぜる。

崩れゆく檻のなかで、三人は手をつなぎ、空へと跳ぶ。


「ミア、ルキア……行こう。記憶が、記録に変わるその場所へ!」


――そして、物語はクライマックスへ。






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