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小さな旅

作者: 浦田茗子



 カレーが食べたくなるのは

 海が見たくなるのは

 たぶん少し疲れているときで

 海が見えるカレー屋があるって

 少し遠出することになった


 電車を乗り継いだ浜辺

 曇り空の下

 波の音と海沿いの道の音

 合間にとんびの声

 あなたはコーヒー

 わたしはミルクティーをのんでいた

 そうしているといつまでもいられるものだから

 遅いお昼か早い夕飯のような時間になって


 カレー屋を出た坂の下に

 近く灰色の海が見える

 海と空の境目を見ながら

 日没に間に合うかもねって

 シェアサイクルで岬へ向かった

 電動アシストに引っ張られるように

 押し出されるようにしてふたり

 ぐんぐん海沿いの道を走っていると

 雲間から波の上にひかりがさしていた


 岬につくと

 雲の奥に

 秘めているかのような「今日」最後のひかり

 毎日うまれて毎日しぬって詩人がいっていた

 けれど

 だからわたしは


 少し先を走るあなたの

 ペダルをこぐ白い靴下

 ときどきこちらを振り返る横顔と風になびいた髪を

 ずっとおぼえていたい



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