次々と無数に現れるカニ達!無限のカニ!インフィニティオリハルコンクラブの無限襲撃だ!
俺たち4人はまたしても幻想奇石の大鉱山の地下2階に侵入していた、実はあの後に気づいたのだが、長いムービーを無理やり見せられたからか俺たちはそれぞれ報酬として別のアイテムを手に入れていた。
「これを見たまえ!クス君の持っていた刀だぞ!めちゃくちゃに強いのではないか!?」
嵐が手に入れたのは確かにムービー中にクスが持っていた刀だ、とはいえその性能はムービー中にはあまり発揮されていないので分からない、敵を切ったわけではないんだよな、あんまり。
「たこ焼きに対して特攻ありとかか?」
「そんな限定的なわけないだろう、きっとタコ特攻だ!」
「タコ特攻ならいいのか…?俺のアイテムはキンラのコートだ!!だが防具はなぁ…痛みが減っては困るからどうしたものか」
蒼月がいつも通りおかしなことを言っている、攻撃を受けたら痛い痛いと嘆くのに…
「俺のはシェリシュの指だな、毒属性の武器のようだ、弓使いにとっては不要なものだが」
「指?そんなもん誰に必要なんだよ…てか」
テルが取り出したのは本当に細くて白い1本の指だ、根元からちぎれている。
「き、気味悪すぎんだろ」
「まあそうだな、カジヤ、そういうお前はなんだったんだ?」
「俺?シターの魔界リンゴだってよ」
「え、それ食べたら足から腐るやつではなかったか?」
「そーだな、いるか?」
嵐は顔をしかめて手を振った。
「そんなもの知ってて誰が食べるんだ」
「いやいや、食った奴いたぞ」
「あ…いやえっと、まあうん、えっとうーん、そうだな、確かに、いるか」
会話をミスってしまったので急いで空気を入れ替えることにする。
「あっいやえっと!あっ!結局あの4人はあの後どうなったんだろうな?」
「キンラが蟹の姿になっていたということは!つまり!少なくとも彼は死を選ぶより罪を認めて奴隷になったのだろう!他の者はどうなのだろうか?」
蒼月がどこかから取り出したメガネをスチャっと装着しクイっと上げながら分析する、普通そんな声デカくないぞそういうキャラ。
「罪…あの4人に関わらず海の神に奴隷にされたものは理不尽な罪を負わされた者達だ、という話だったな、一応」
「ふっ、解放してやるさ、今からな」
テルが指を見ながらそう言った。
「そうだな、よしそうと決まれば!行くぞ!」
そう嵐が決意を固めたその時、強い揺れが生じる。
「うお、壁の再構築か?」
「いや、床までは揺れんだろう、何かいる…後ろに!!」
テルが振り向き矢を番えると即座に放つ、いやいや「やめろ!放つな!1日1回なんだろ!?勿体ねえんだよ!」
「む、そうだな」
後ろにいたのはデカめのカニモンスターだ、名前は『インフィニティオリハルコンクラブ』
試しにど白ー刀で切り付けると、驚くべきことに簡単に両断されたあと2つに増えた。
「増えた!?名前通り無限のカニか!食料問題解決ではないか!!」
「良く見ろよ!体力は減ってる、無限には増えない、名前だけだ!」
そもそも身が少なくて不味そうだしな。
「なるほど斬っていけばいずれ倒れる、か」
だがこの手の敵といちいち戦っていては時間がかかりすぎる。
「よし、逃げようみんな!さっさと行くぞ!」
無限カニ共が地面でキモイ挙動で再生するのを放っぽり出して歩き出すと、すぐにダンジョンの壁の再構築が起きた。
「うお、足挟むとこだったぜ」
「大丈夫かカジヤ…着いたぞ」
「あぁ…やっぱり壁の動きで誘導されてるな」
カルマ値を下げた影響か、色の違う壁…神殿と呼ぶことにしたボスの部屋にすぐにたどり着ける形にダンジョンの形が変わるようになったのだ、そして…
「おーし、開けゴマ!」
神殿の入り口が音を立てて勝手に開く、そのタイミングに合わせるとまるで俺が扉を開いたように見えるんだ!
「エレベーターでやるやつじゃん…いるぞ、敵だ」
中では蟹の魔人が待ち構えていた。
「…かかってこい」
お決まりのセリフと共に戦いが始まる。
「『蟹鎌』」
蟹魔人ことキンラの先制攻撃を予め準備しておいた鎌型刃テックパーツで上手いこと防ぐ。
「その技、見たことあるぜ!てか見飽きたわ!」
「でもカジヤ…ヘルスが!!!」
蒼月の言う通りだ、うん、体力は削れた、半分以上減った、ちゃんと防御したのに貫通量がバカでかい、敵の攻撃力の高さも相まってもう死にかけになってしまった。
「安いもんだ、ヘルスの60%くらい、無事で良かった…
よかねえよ、俺じゃ無理だ、やっぱ蟹鎌はお前らのどっちかが受けてくれ」
「そうだな、さて攻めも試しておこう、行くぞカジヤ君!『気裂き』!」
「おっし!行け!『白刀斬り』!」
気裂きと阿修羅手裏剣による白刀斬りの同時攻撃、いや、実際には少し手裏剣の方が遅い、予め打ち合わせた攻撃方法だ、これをするとどうなるか?
「『蟹並』」
キンラの飛び道具を落とす技だ、ただし一つだけ、先に飛んだ気裂きがかき消されるも手裏剣がヒットする。いいタイミングで当てられるように何度か打ち合わせ練習したかいあり、手応えのあるクリーンヒットだ。
「確かにこの方法なら確実にダメージが取れる、でも手裏剣はひとつしか投げられないし…」
「ならやはり俺が代わりに飛び道具を撃つ方法があるぞ!波動拳だ!!」
「いやダメだな、黄緑が攻撃を受け止めてくれないと前衛がいなくなる、カジヤ君に前衛がつとまらないことはさっき実証できただろう?」
蟹並という技で一度に落とせる飛び道具は1つまで、つまり2つの飛び道具を放てば1つは通る、これが俺たちが目をつけた攻略法だ、だがその飛び道具を用意するのがひとまずの課題だ、1つは嵐の気裂き、もうひとつに困ってる。
「ふん、情けない奴らだな」
「お前マジ黙れよ…」
こいつが矢筒を装備してぽこじゃか撃てば解決すんのによ。
「蟹魂」
「あっ来た!!行くぜ!」
「計画通りだな、」
キンラは近くの敵に攻撃するが、こちらから近づかない場合蟹魂という強化能力を使用しようとする、これが手が付けられないほど強い、とはいえさすがにその前には隙がある、あえて使わせてその間に殴る算段だ。
「『熊さんの掌底』!」「『弦骨』!」「『白刀斬り』!」「『気裂き・霞葬』!」
俺たちの攻撃がそれぞれ命中するがキンラは反応を示さない、『蟹魂』の発動前の隙の間は攻撃を受けても怯まないスーパーアーマー状態になるのだ。
「むっ…まだ余裕がありそうだな、行くぞ!『絶対無敵最強拳』!」
「あっ蒼月!1発までって決めただろ!欲張ったら、あっ!あ〜…あーー」
そこには攻撃の隙を突かれて無惨にも腹を貫かれ、キンラに掲げられた蒼月黄緑の姿が…その迫真の苦悶の表情には思わず息を呑まされる。
「うわぁぁぁあああ!!!」
「…痛覚を切れ、黄緑」
「嫌だぁああああああああああ!!!!!!!」
蒼月が何に嫌と言ったのか確かめる間もなく、キンラが蒼月をバラバラにする、蟹魂を終わらせてしまったキンラは信じられないくらい強い。
「『蟹鎌』」
「嵐!そっちだぞ!」
「ふっ、お手上げだ」
嵐の防御を軽々押しのけて大ダメージを与えてくる、さらに
「あっ嵐!それ2連蟹鎌のモーションだ!」
「ふっ、じゃあ負けだ」
嵐は諦めてかっこいい決めポーズをとった後撃破されていった。
残された生産職と一発屋系無職がどうなったかは言うまでもない。
簡易キャンプに転移した、先に来ていた3人は既に次の攻略について話している、俺が合流するとぬるっと出発し始めたので着いていく、どうやらまたボス部屋に直行するようだ。
「モーションはかなり見馴れてきたぞ!それに技もあらかた出切ったはずだ!」
「さっき残った時に試したのだが、俺なら弓を使ってそれなりに奴の攻撃を受けられた、カジヤはステータスの都合でかなり厳しそうだし、俺に任せてくれ」
「分かった、ならば次はテルと蒼月に前衛を任せて飛び道具は私と…カジヤが都度手裏剣を拾っては投げる形で行こう、敵の体力がいい感じに削れたら蟹魂を使わせて、その隙に押し切れるはずだ」
「…今思ったんだけど、最初に挑んだ時はもっとサクッと勝てたよな?なんでこんな苦戦してんだ?」
俺たちは初見で出会った時に既にキンラをボコボコにしているはずだ、その時の手順を繰り返せばいいはずでは?
「あの時はどうせ一発クリアは無理だろうと思って全部使ったから、というのがデカいだろうな!例えば俺の『蝦蛄殴』は1度撃てばしばらくの間腕が使えなくなる!そうするとキンラの次に来る相手に対応できない!」
「あぁ…確かその時は龍牙も撃ってたしな」
「キンラは恐らくボス戦の序盤でしかない、少ない消耗で安定して倒すには何度も調査と練習をする必要があるんだ、まあ!それももう充分だろう」
俺たちは既にキンラとの戦いを色々試しながら6回ほどこなした、実際動きも見慣れてきたのは確かだ。
「次で決めるぞ!よっ…と」
いつの間にかボス部屋にたどり着いており壁がひとりでに押し開かれ中でキンラが待ち構えている。
「…かかってこ」
「先手必勝!『気裂き』!」
「続けて『白刀斬り』だ!」
「『蟹並』」
先に飛んだ気裂きが蟹並で掻き消えてその後手裏剣が命中する、すぐさま俺はそれを拾いに行き、俺を攻撃しようとしたキンラの前に蒼月が割り込んだ。
「俺達に任せろ!『根性論』!」
蒼月の体からオーラが湧き出てその体1つでキンラの攻撃を受け止め、上手く弾く。
「『蟹鎌』」
「来た!通常攻撃から蟹鎌のコンビネーションだ!」
キンラの通常攻撃なら上手くやればそこまで痛手にはならないものの蟹鎌は普通にやればどうしても大きいダメージを受ける、上手く防御してなお捌ききれずにダメージを受けて後ろにのけぞった蒼月のかわりにテルが出てくる。
「『弦骨』!早めに治せよ黄緑!」
「いたたたた、『治療闘法』に切り替えた、もう出れるぞ!」
「よし、じゃあ俺はもう変わる、『弓息』」
キンラの攻撃を数発いなしたかと思うともう後ろに飛び退いたテルの代わりにまた最前線に立つことになる蒼月、キンラの攻撃頻度は非常に高い為頻繁に入れ替わらなくてはならない、高度な連携と集中力を要求する立ち回りだ、それを横目に見ながら手裏剣を拾い上げ、嵐に合図を送る。
「『気裂き』!」
「『白刀斬り』!」
またしても手裏剣が命中、こういった事を実に7回ほど繰り返したがその間なんと一度も俺たちはミスしなかった、練習の成果だ、これでやっと次のステージに進めるというものである。
「そろそろ行けるぞ!みんな離れろ!」
テルと蒼月がサッと距離をとると、攻撃範囲に人が居なくなったキンラが『蟹魂』を発動しようとする、しかし既に充分体力は削れているのであとはみんなで殴れば発動前に撃破可能だ、全員で囲んで袋叩きにすると、以前のようにキンラが立ち上がり、そして。
「来た!我々をぶっ飛ばした船だぞ!今こそ積年の恨みを晴らす時!」
超遠方からザリザリと底を引き摺って船が突っ込んでくる、以前俺たちは船にビームを撃たれて消し飛んだことがある、あの時蒼月はどんな痛みを味わったのか、鬼のような形相で船に立ち向かっている、もう一度消し飛ぶのが怖くないのか?
「ふん、次はこっちがぶっ飛ばしてやるさ!」
テルが弓に矢を番える。
「待て待て!やめとこうぜ!あいつアレ撃ってくるぞ!」
「『蟹光線』」
「このビームの威力は100000000000000000000 KJ、街すらぶっ飛ばす!」
嵐がデタラメな数字を挙げてドヤ顔する、お前が作ったとかでもないだろ、何ドヤ顔してんだ。
「今度は絶対に当たりたくない!めちゃくちゃ痛いからだ!!次当たったらリアルで失神するかもしれないからだ!!」
「でもデカすぎて避けられねえんだよ!」
避けられる大きさじゃない、もし可能性があるとしたら少しでも狙いが逸れている可能性を信じて右か左に猛ダッシュすることだ。
「右か、左か…!」
「運任せなら私は自信がある、どーちーらーにしようかな〜」
嵐が時間を無駄遣いしている、ハナから正解のない運任せ、さっさと走り出そう、左だ、左。
「待てカジヤ!せっかくの正解を無駄にする気か!?」
「え?なんだって?何?なんて言った?」
テルが俺の肩に手をかけ強引にとめた為俺は一旦立ち止まった。
「この問いには正解は無い、つまり…答えは沈黙!」
テルが謎の理論を振りかざしてくる、何を言ってるのか分からない。
「え?なに?なんだって?サイレント?ってことか?」
「いや、テルが何が言いたいのか分かったぞ!俺たちはカルマ値を下げてあの映像の4人と同じ立場になってここに入ってきただろう?罪を認め、あのビームを受けることで晴れて神殿に入場することが出来る!と言うわけだ!」
蒼月が自信満々に行ってくるが。
…え?そうか?それ奴隷にされる方法じゃなかったか?いやまあどうせ避けられないしやってみるか。
「え〜と罪を認める…って俺何したんだっけ?あ思い出した、黎明様ごめんなさい」
「「「ごめんなさい」」」
バカにしてごめん、俺たちは謝ってる間に飛んできたビームに消し飛ばされた。
そして気づくと…
「罪深きもの達よ、我が奴隷になることを受け入れたか、汝らに我が力を与えよう」
「うお!?海の神キモ!まじかよこれ!」
4人とも神殿のような場所におり、そこは水没していた、何故か息できる、そして目の前にはキモイのがいる、でっっっかいなに?めっちゃでっかい海蛇の胴体に様々な海の生き物の体の一部がたくさん生えてるみたいな、巨大な体躯を持て余し神殿の外から目だけ覗かせてきている、いやあ…神殿なんの意味あるんだよ?相当でかい神殿だけど、それでも足一本入り切らないなら意味なくね?
「キッモ!!!…失礼、なんと気味の悪い外見だ、君にはそのようにドヤ顔する資格がない、顔はどこなんだ、顔は」
さっきこいつが放ったいかにも定型文っぽいセリフも嵐にかかればドヤ顔判定になるようだ、目は色んなとこにいろんな生き物のものが着いてるし、頭も沢山ある、言われてみれば一体どこから発声しているのか…
「ちょうどいい試練だ、見るだけで目が痛くなるな!キモ魚め!」
「『竜牙』!」
なるほど、蒼月がブサイク煽りで精神面を責め、テルが物理的に攻撃するフォーメーションか、しかし結論から言うと両方無駄だった、海の神っぽいやつは俺たち全員の罵倒を前にして目をぱちくりさせて終わったし、竜牙が纏う炎は水中だから普通に消えたし、矢は水の抵抗で普通に止まった。
「!!!?!?!?!?!?!?!?外した!!!?!?!?!?????」
「おうテル、外した判定なのか、それ」
ちょっと考えたら分かりそうなもんだがどれだけ自信があったのか、テルは膝をつき項垂れ、すぐに気を取り戻したかと思うと…
唐突に頭を地面にたたきつけ始めた!!
「ど、どうしたテル!?大丈夫か?何やっているんだ、ちょっと、やめたまえよ」
嵐が異常者を見る目で、腫れ物に触るような手でテルを抑えようとするが、止まらない、蒼月の方はそのダイナミック自傷行為から目を逸らしている、痛みに共感してしまうんだろう、頭から血を流し、それが水に溶けていき、何か割れるような嫌な音が響いてもテルは動きを止めない、いよいよシステム的なダメージも入り始めたであろう頃についに動きを止めた、驚いた、完全に気絶している。
「…えっと、『ヒール』」
とりあえず治す、そう、俺の鎌形刃テックパーツには『白刀マスタリー』によって付与された神聖魔法、ヒールがある、使用可能回数は少ないが、自傷ダメージくらいならすぐに癒せるはずだ。
「はっ!今は何時何分だ!?俺はどうしていた!?」
「こ、こいつ…!?」
「ま、まさか、カジヤ君、テルはまさか本当に?」
こいつ、矢を外した記憶を消したんだ…!!!
「はっ!全て思い出した!敵め!喰らえ!竜」
「やめろ!」めろ!」めろ!」「やめろ!」めろ!」
俺たちは3人で押さえつけてテルを止める、そして全力静止だ。
「イベントだから!まずは見届けようぜ!!」
「まだ敵が隠れている可能性が高い!様子を見よう!」
「…分かった」
テルは踏みとどまったが止められる理由に心当たりが無いようだ、どうやら矢が止まったことはすっかり忘れたらしい。
「…もうよいか?汝らに我が奴隷に相応しい力を…授けよう、最近は手間を省くためにまとめて蟹にしていたが…久方ぶりの強者達…1人微妙だが、まあいい、強者達に相応しい力をくれてやる、上級奴隷として働くがいい」
は?1人微妙で俺の方見てたか?殺す
「やはり奴隷になるコースで手配されているようだが…」
「奴隷になりたくはない!我々は帰ってもよろしいか!?」
「罪深きものよ、海に還りたくばそうするが良い」
海の神の体から突き出た多くの部位がざわめく。
「殺すって意味か…?」
「まずいでは無いか…!」
「でも奴隷になるのはもっと不味そうだぞ、多分特殊バッドエンドだ」
「え?なんだそれ、聞いたことないぞ」
バッドエンドとかあるのか?このゲーム
「あぁ、宇宙に追放されるとか終身刑にされるとか、そういうバッドエンドが実在してアカウント消されるらしい、海底の神殿で奴隷にされるとかかなりそれっらしくないか?」
「嘘だろ!?それNPCの場合はどうなっちゃうんだよ!」
もう帰れないってことか!?
「こうなったら負けても戦うしかないぞ、やはり竜牙を」
「それは…やめとけよ」
また気絶するまで頭打たれても困るし。
「なんかねえのかよ〜…うん?お?」
1度周りを見渡すと淡く、白く光る球体を見つけた、2対のヒレが付いていて、こちらに向かって泳いでくる、めっちゃ遅いけど。
「あれ…あれ!黎明だ!」
「なんだって?ほんとだ」
黎明はこちらに向かって漂って、神殿に入場するとごとりと床に落ちた。
「お前たち良くぞ悔い改めた!我が信徒として迎え入れてやろうではないか!!」
黎明は神殿に潜り込んで来たかと思うと滝のように言葉を振らせてくる。
「貴様らの誤った態度については寛大な心で許してやるぞ!どんな人間にも間違いはある!よく見ればなかなかの実力の持ち主ではないか!一人を除いて!さあ我の7人の使徒の直属の部隊に付かせてやろう!なあに最終的に誰に仕えるのが正しいか分かっている賢明な信徒には当然の褒賞だ!そうと決まればさあ行くぞ!」
うお、謝っただけでまた入信するとは言ってないんだが、それに一応謝っただけだし、信者に飢えすぎだろ…いや待てよ、これ大チャンスでは?そうだ、演技しよう。
「見に余る光栄です黎明様!あぁしかしご覧下さい!あちらのデカブツが我らを奴隷の身にしようと言うのです!そうなっては黎明様の元に行くことは叶いません!!」
「!そうなのですだ!あの魚酷いんですのだ!」
蒼月の終わってる敬語ですら嬉しいと見える黎明は
「ほう…安心するが良い、信徒たちよ、我が話をつけてやろう」
そういうなり黎明がひときわ強く輝きを放つ。
「おぉ!このビームも100000000000000000KJの威力を持つのだ!!行けーーー!!!」
黎明が放ったビームが海の神に直撃し一瞬の間に神殿が崩れ、周りの景色が揺らいでいく。
「やったか!?」
「本当にやったっぽいぞ!」
周りの景色が再構築されさっき船にビームを撃たれた場所に戻っている。
船は停止しており、その上には4体のモンスターが乗っている。
「どことなく見た事あるぞ、あの4人だ」
キンラ、クス、シェリシュ、シター。
彼らは海の神の力で海の生き物の特徴を有した見た目になっている。
それぞれキンラは蟹、クスはタコ、シェリシュはクラゲ、シターはヒトデだろうか?
「手加減するつもりは無いぞ」
嵐がはるか遠くの敵に向かって言い放ち、構えを取る。
「望む…ところだ。」
聞こえたわけではないだろう、だが敵もまた自然に戦闘準備を始めた。
【スキル】
『治療闘法』その体1つで戦う格闘家が習得できるオーラと呼ばれる技術、常に効果を発揮し続ける、ヒーリングオーラは常に体力を少量回復させ、静止していると効果が大きく上昇する。オーラは1度に1つまで適用でき、蒼月は普段は『重撃闘法』を使用しているがオーラは何時でも自在に切り替えられる。




