オンライン
これはなかなか
降り注ぐ強い雨が俺たち3人の姿を濡らす、相手は冒険者、俺たち2人が勝てる可能性は限りなく0に近い、だがやらねばならんのだ、俺は落ち着いてスキルを発動させる。
「『気合い溜め』!」
……しかし何も起こらなかった
「『気合い溜め』!」
……しかし何も起こらなかった
「『気合「元の体のスキルは使えないんじゃないか?」
イシャからツッコミを受け気づく、まあそうでしょ普通に考えて。
「じゃあお前は何が使えるんだ!?」
「まあ見ていなさい、『創造の記録第2章の断片』」
イシャを中心に球状に青い膜が展開される、それは俺たちふたりを包み込んで雨を弾いている
「君にも出来るか?」
やってみるしかない、一縷の望みにかけ見よう見まねでスキルを唱える。
「『創造の記録第2章の断片』!」
イシャのものと同じく雨を弾くバリアが展開される、その強度は唱えた人間にだけ分かるようになっているらしく、直感でその硬さが伝わってきた、いや耐久値が雨で削れてるんだが、これマジ?
「よし!それで攻撃魔法とかは!?」
「使えない」
「じゃあ相手の晩御飯の時間まで粘るぞ!」
わざわざ律儀に待っていた冒険者の攻撃に備えると、甲冑姿の冒険者は少し時間をかけ唱えたスキルを発動した。
「『絶望の生成』」
その一瞬後に暗い闇が甲冑を中心に360度に放射状に広がり、全てを飲み込んだ、俺たちのバリアは飲まれるようにして消え、付近の全てが飲み込まれてなくなる、闇が俺達に触れたと感じた一瞬の間に臨死体験と呼ぶにふさわしい絶望を味わうことになった
「俺、まだ死んでない…?」
「死んでは剥製に出来ないと言うことかな……」
甲冑が俺たちに近づきながら問う
強い雨が俺たちの体を濡らす
「どっちがドッペルゲンガー?」
「俺はワカメ特攻ソードに刺されたバグった村人NPCで触れた生物に変身してしまう体になってしまったんだ!」
全力説明を行う、信じて貰えているのかいないのか、甲冑は黙りこくっている、さらにまくしたてようと思った矢先に雷が落ちだし、それが俺に当たった。
「「「!?」」」
雷が生物に当たるなんて例はこのゲームでは聞いたことがない、まあそれは俺がバグってるからだとして驚いたのはその後の現象だった。
「俺雷になってる!?」
「雷は生物だったのか…!」
「雷も剥製にできるんだ」
"肝臓検査"によると俺の肝臓は『イカヅチ化』している、なにはともあれこれはチャンスだ
「これがバグっている証拠だ!見逃してくれ!」
「それならそうと先に言って」
んな無茶な
【用語】
『剥製』モンスターを瀕死に追い込み街に運ぶと剥製にできる、報酬は無い、家にかざれる
『スキル』キャラクターが使用可能な能力、攻撃だったり補助だったりする、魔術等はスキルには含まれず、体質や技術によるものの呼称、誰かに教わる、秘伝書を読む、自然に手に入れる、などで習得できる。
【スキル】
『気合い溜め』気合いを入れて攻撃力を上昇させる、特定のスキルに派生することも出来る
【神聖魔法】
『バリアー』耐久値を持つ壁を発生させる、自信の望まないものが通過しようとする時それに対して抗力を持つが、その強さに応じて耐久値を失い、それが無くなると壊れる