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必見!1ヶ月で6億金貨稼ぐ方法!トロールと呼ばれたNPCである俺はバグって村社会から追放されたが肝臓検査で成り上がる!〜個人的には味噌汁にはなめこ×アサリが最適解だと思う〜。P.S魔王討伐します  作者: 出版社に渾身の力作持ち込むも編集者とやらにズタボロにこき下ろされて精神崩壊し隔離病棟に10年ぶち込まれた俺、しかし夢で練り上げた全力の力作をなろうに載せて大大大逆転する〜いまさら後悔してももう遅いぜ〜


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神を侮辱することは許されざる罪であり決して逃れられない罰を受けることになるだろう

「サカナとはどう食うものなのだ…?」

前は料理人に全て一任していた、さっぱりわからん。

「船長のくせにそれを知らず、知らぬのに取ってきてどうするつもりだったのだ…?ええぃ貸せ!狼狽えるなみっともない」


刀の男は魚を取り上げるとあっという間に頭を落とし、皮や鱗を剥ぎ身を薄くして渡してきた、早速それを子供に食べさせる、きっと腹が満たされれば起きるだろうが、念には念を入れて詰め込めるだけ詰め込んでおこう、ひとまず2匹分詰め込んでおいた。

「食わせすぎじゃないか?…」

食わせすぎたかもしれん。


「ありがたい、1人では助けられなかった」

「構わん、罪人に勝手に死なれては名が廃る」

「ねえあたしにもそれ頂戴よ?お腹減ったわ」

「厚かましい女だな、おい船の、どうするのだ?」

「もちろん、みんなで食べよう」


さっきまで見ていた女性もようやく口を開く気になったようだ、警戒を解いたのかもしれない。しばらくの間刀の男の料理の腕を品評する会が続いた、しばらくぶりに食う飯は美味かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

久しぶりにゆっくりと眠れた気がする、船の揺れが心地いい、アタシまだ生きてるみたいだ、隣で3人が何やら話し込んでいる


「魚を潰した料理か?」

「叩きと言うのだ、美味いぞ」

「切っていたのにか?」

「美味しいわ!初めて食べたわ、美味しいわ!」

「うむ、良い句だ……だが食べ方が汚すぎるだろう!手で行くな手で!箸を使え!この俺が用意してやっただろう!」


やかましすぎる、アタシは餓死しそうだったってのに。

「あんたら、いつの間にそんなに仲良くなったわけ?」

ちょうど置いてあった切られた魚を食べながら聞く。


「まだ腹に入るのか、驚いた」

コートの男が言う、気絶する寸前に私に魚を押し付けてきた男だ、生の、しかも超デッカイの、アタシアレ食わされたんだろうか?


「こっちも厚かましい餓鬼だな……」

刀を差した男がやれやれと言わんばかりの態度だ、この男が魚を調理したんだろうか?刀で?もっと大事にしなくていいのか?


「仲良くなってないわよ、まだ名前も知らないもの」

なんだよそうなのか、乗り遅れたかと思って心配した。


「そうか、では俺はキンラ、船長をやっていた、これで仲間だな」

「いかにも偉そうな見た目だしな、アタシはシター、物乞いだよ」

「ククク、お前もいかにもみすぼらしい見た目だな」

余計なお世話だ。


「私はシェリシュよ、みんなよろしくね…それにしても、みんながこんな風に仲良くできるなんて良かったわ、だってほら、さっきまで一触即発だったもの」

女が顔を上げて言う、さっきまで食べていた魚の身が口元についてしまっており、間抜けな感じだ。

しかし確かにアタシが倒れる前はみんな会話ひとつ無しに座り込んでいた、どういう気の変わりようだ?


「丸腰の男、戦う気の無い女、痩せこけたガキ、お前達は準備が出来ていないようだから少しだけ待ってやることにした……俺の名は久須(くす)、決闘人だ」


決闘人?そういえば刑罰を受けているのに武器をもちこめているのもおかしい、誰か取り上げなかったのだろうか。


「クスね、そういえばアンタなんで武器を」

「待て」

クスが手を挙げて静止する、もしかして刀のことは聞いてはいけなかったのだろうか?

「な、なに?」


「…久須だ、発音が違う」

「え…?クス?」

「違う、いいかシター、お前のはスの音が下がっているだろうそうではなくだな、上げるのだ」

「あたし分かるわよ!クゥ〜ス、こうでしょ?」


シェリシュが横から割り込んできた、どうやらなんとか顔の魚を取り除けたようだ、

「貴様下手すぎるだろう!ふざけているな!?」

「キ、キンラ!あんたはどう?呼べる?」


シェリシュがクスに怒られる前になんとか話を逸らそうとキンラに振ってみる、この船長は無口すぎて誰かに振られるまで話しかけないのだ。


「アツッ!」

「…下手とかいう次元ではないだろう、舌が付いてるか疑うぞ」

だいぶ終わっている、発音以前に音節から違うだろう…ん?いや違う…


()()!なんだこれ!?」

顔になにか火傷しそうなほど熱くて丸いものが降ってくる、それが当たるとまるで焼けた鉄杓を押し当てられているかのようだ、()()()()()()()()()


「これはたこ焼き雨だ!!」

「知っているのキンラ?これすごく熱いから何とかして欲しいわあ」

「空からアツアツのたこ焼きが降ってくる現象…一説には神様のタコパだと言われている」

「だとしたら食べこぼしすぎだろう…食事マナーの悪いやつしかおらんな」

刀で調理するやつが言うなよな


「それでどうすればいいんだ!?」

「止むまで耐えるか、船を進めて降たこ焼き地帯を抜けるしかない」

「えぇ、でもどうすればいいんだ?」

船を進める為のオールがない、犬かきで船って進むだろうか

「そうねえ、犬かきで船は進むわ!」

進むわけあるか

「それしかない、やるぞ」

キンラはボートから身を乗り出し海に手を付き入れる、ほんとにやらなきゃいけないのか…


「よぉし、じゃああたしはこっち側…熱すぎるわ!」

シェリシュが悲鳴をあげた、ボートから身を乗り出すと体の面積が広がる、1秒あたりに体に当たるたこ焼きの数も増える、すごく熱い、辛すぎる!

たかがたこ焼きと侮っては行けない、逃げ場のない場所でアツアツのたこ焼きが降り続けば人間は苦痛を感じるだけでなく眠りを妨げられる、やがて衰弱し、死に至るだろう、この状況は絶望的なまでに危険だ。


「全くとんちきなことになったな…早く漕げ、俺が疲れきる前にな」

そう言うとクスが刀で空から降り注ぐたこ焼きの中で私たちに当たるものを斬ってくれる、全てが当たらなくなる訳では無いが、比較的にはマシになった。


「船を進めるぞ、シターとシェリシュは俺の反対側を頼む」

「わかったわぁ」

「あぁもう分かったよ!たこ焼きが降らなくなったら死ぬほど休むからな!」

それから地獄が始まった……


「アツーーーーーーーーい!」

背中に激アツたこ焼きが乗って苦しい。

「たこ焼きって食べ物だったのねえ、美味しいわぁ」

「食べてる場合かーーー!!」

そもそもこんなもの食べ物じゃないだろう、熱すぎる、常人なら口が火傷するはずだ、味どころの問題では無い。

「見たところもう少しだな…あぁ不味い」

「何がまずいんだキンラ!頼む!大したことないことであってくれ!」

我らの船長は余程悲報を告げるのが上手いらしい、もうとっくに身体中熱いし痛むし、限界だ。


「空を見れば分かる」

空?なんか、黒い点みたいな物が…近づいてくる?どんどん大きくなってる!?

「このまま来ると…とんでもない巨大たこ焼きが降ってくる」

「あの大きさでは斬っても大惨事は免れまい」

「困ったわねえ、ここで全員死ぬのかしらあ」

「そうだな、どうしようもあるまい」

キンラですら投げ出すのか?死にたくない…

「そ、そんな…いや、まだ何とかなる!みんな!飛び込めーっ!!」

船に逃げ場はなくとも、海の下なら衝撃からも逃れられるはず、私たちは全員で海の中に飛び込んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「死ぬと思った…」

「死ぬところだったな、俺はもう疲れ果てて1歩も動けん」

「ふふ、1歩も動く必要ないわよお、どこにも行くところなんか無いんだから」

はは、いえてる


「てか元気だな、そんなおいしいの?たこ焼き」

「おいしいわあ」

シェリシュは巨大たこ焼きを食べている、外の皮はパリパリとしているが中身はドロドロしていて、外よりさらに熱い、試しに指を突っ込んだところ、

あれ、真っ赤になっちゃった!?

クスが言うにはたこ焼きとはそういうものらしいが、それをものともしない、バケモノか?

「…食いすぎるなよ、シターが機転を利かせたから助かったが、まずい状況にはなっているんだ」

キンラが心配している、無理もないだろう、船は粉々に破壊され今私たちは巨大たこ焼きの上に乗っている、それをシェリシュが食べているんだから、恐ろしい神経をしている、死への恐怖がないのか?


「というか手づかみで行くなよ、食器の使い方を教わらなかったのか?」

クスはいつでも食事のマナーを気にしている、余程厳しくしつけられたのかもしれない。

「教わっていないわぁ、小さな頃は床の餌をみんなで奪いあったものよ、懐かしいわねぇ」

はは、犬みたい…ぇ?


「餌?シェリシュ、何言ってんだ?冗談か?」

唐突にねじ込まれてきた異常なセリフを聞き返してしまう、床に落ちたものを食べたことはある、他人と食べ物を奪い合ったこともある、だが餌とはなんだろう?他人に施しを貰うにしてもそういうふうに言うだろうか?


「うふふ、ほんとよお、でも奪いあっていたのは最初だけで、次第に私たちは餌を分け合うようになったのよ」

「"私たち"とは誰のことだ、お前は一体誰に育てられたんだ?」

クスが聞くと、シェリシュはなんのこともないかのように異常な身の上話を始めた。


「私は白い建物で育ったの」

「待て、白い建物とはなんだ」

「分からないわぁ、生まれた時からそこにいて、暗殺者としての仕事を始めるまでそこから出たことは無かった」

ぴくりとクスが反応する、私は驚きすぎて何も言えなかった、シェリシュが暗殺者?だから船に乗せて流されたのか?


「私たち10人の子供は白い建物で生まれて一緒に育った、起きたら訓練して、餌を食べて、また訓練したらお腹を空かせて眠るの、辛かったわあ、金槌で指を叩かれるの、仲間に心を許せるようになってからは、失敗したら叩かれるのは仲間の方になったわ」

軽々しく話す、普段の様子からは想像もできない、苦しい過去

「それから?全部話せ」

「私の人生はほとんどそればっかり、つい最近訓練が終わって出来の良かった5人が外に出たの、仕事が来る度にどんどん殺したわ」

「ど、どんどん殺すってなんだよ…残りの5人はどうなったんだよ!」

「人質よ、誰かが逃げたり失敗したら下から1人ずつ殺されるの、私が失敗しちゃったばかりに、1人殺されちゃったのかしらぁ」

「シェリシュ…」


「なるほど、お前にそうさせた組織の名前を教えろ、全員殺してきてやる……

お前の後にな」

「!?何言ってんだよクス!急にどうしちゃったんだよ!」


どうして突然そんな話になるんだろう、同情するならともかく怒る理由なんかないはずだ。


「俺は決闘人だ、俺の故郷では罪人は決闘によって処刑される、シェリシュ、お前も俺に罰されなくてはならない、だがお前をそう扱ったその組織も当然罰されなくてはならない」

「な、なんだって急にそんなこと」


決闘人?聞いたことのない職業だ、クスはそういえば服装などの文化的特徴が私たちとは多く異なる点が多い、彼の居た国での処刑人のようなものだったのか?


「シター、お前はどんな罪を犯した?」

「あたしは…食べ物を盗もうとして…逃げたら追いかけてきたやつが海に落ちて死んだんだ」

「そうか、言っては悪いがくだらないな、その程度の罪は決闘で裁かれるには値しない、だが当然だろうシター、お前は故意に大罪を犯すような大それたことができるような力を持つようには見えない、俺はお前ら3人ともその程度だと思っていた、だが違ったようだな?」


「でもシェリシュはそうしなきゃいけなかったんだぞ!?人質を取られてたって!仕方ないじゃないか!だから争いとかやめよう?」

「誰かに強制されたか?そんなことは関係ない、ただ罪があるか、無いかだけだ、さあシェリシュ、組織の名を言え、同じ船に乗った仲間だろう、無念くらいは晴らしてやる」

「『左手』、そこでアタシは生まれたわ…でも不思議ね?私、あなたに殺されるつもりはないわよ」

シェリシュが立ち上がる、2人の間にこの船に乗ったばかりの頃のような一触即発の空気が流れる、なんでこうなっちゃったんだろうか?


「死ね」

「止めろぉ!!」










「そのガキの言う通りだ」「止めろ刀使い」「人が減っては困る」「愚かな人間共だ」「我が同胞にこのような仕打ちを」「決して許さん」「さぁ覚悟しろ」「我は大いなる海の神の眷属」「海に沈めてやる!」


いくつもの声が津波のように押し寄せ、海面を割って巨大な生き物が現れた、突如出現したそいつは頭が8つあるタコのような生き物だった。

突如海からタコが出てきた、今それどころじゃないのに!


「タ、タコだ!!?」

「こいつが出たということは、いよいよ神海(しんかい)に近づいているということか」

キンラが言う、シンカイがなんなのか、気にする余裕は微塵もない、クスを止めなければならないのに…

いや、むしろこの状況はチャンスかもしれない。

「あのタコめっちゃ敵意丸出しじゃないか!?クスもシェリシュもなんとかしないとこのでかタコ焼きを沈められて全員死んじゃうぞ!」


「そうだな、全員戦闘準備」

キンラがよく通る不思議な号令を放つと、向かい合っていたシェリシュとクスも一旦はタコの方を向いた、謎のデカタコのおかげでとりあえず仲間割れは収まった。


「頭が8つもあるわ、8回殺せば終わるかしらね?」

「奴の頭は再生する、が多くの時間がかかるため半分も潰せば再生のため逃げ出すはずだ」

キンラはどうやらデカタコのことを知っているようだ、デカタコは一斉に頭を差し向けてくる。


「忌々しい球体だ!」「我が同胞を切り刻み!」「食い散らかさんとしている!」「その代償を払え!」「貴様らも生地に包んで!」「外かり中ふわに焼いてやるぞ!」「喰らえ我が奥義!」「八齩!!」

 

「こいつらうるさすぎる!!」

一斉に話してくるせいで話が入ってこない。

「ふん、斬り払ってやるさ…鬼裂(きさ)き!」

クスの斬撃がいっせいに襲いかかったタコ頭のうち2本を斬り裂いた、頭に小さくない切り傷が出来た頭を庇うように戻していくデカタコ、キンラとシェリシュもどうやら素手で1本ずつのタコ頭を何とかしたようだ、すごすぎる、私には何も出来ない…しかしタコ頭の本数は8本、残りの4本はと言うと

「敵の頭が4本…そいつらがたこ焼きを食べてる!!」

私たちが船の代わりにしている巨大たこ焼きを食べているのだ、これが無くなれば私たちは泳がなければいかなくなる、というか死ぬだろう。


「ち、正面から戦えば勝てぬと踏んでこう来たか」

クスがたこ焼きを食べるタコ頭をつつくようにして追い払う、そのクスにちょっかいをかけるタコ頭をキンラがゲンコツで殴って追い払う。


「防戦一方ではまずいぞ、腕に自信があるなら何とかしてくれ」

キンラが私とシェリシュに助けを求めるが、何とかなるわけない、無理だ

「む、むりだって!」

「私が何とかするわ」


そういうとシェリシュが飛び上がり、デカタコの浮かんでいる辺りまで移動する、そして迎撃しようとする頭のうちひとつに掴まる。


「すご!身軽すぎない!?」

「行ってどうする気だ?武器を隠し持っているようには見えなかったが」


「バカが!」「海上は我の居城、圧倒的に有利だ!」「引き裂いてやるぞ!8つに!」「いや!頭の数は8個だから9つに引き裂けるんじゃないか?」

「いや、7つになるんじゃないか?」「どういう計算だ!?」「どう考えても8つだろ!」「とにかく沢山に割いてやる!」「そうだ!死ねい!」


タコの頭のうち2本がシェリシュを捕まえようとする、しかしそれよりもシェリシュが動く方が早かった

「うるさいわねえ」

「嘘!何あれ!?」

シェリシュが手をタコに叩きつけたかと思ったが、その手はずぶりと貫通していき、肩ほどまでタコの頭に埋まった、そしてその手を横に払いタコの頭を大きく傷つける。


「手を突き刺したのか?生き物の体に?」

クスですら驚いている、人間の手が生き物の体に刺さるようにするまでの速度とそれに耐えられる肉体、それを作り上げるための訓練とは一体どれほどのものなのか。

「暗殺者にはうってつけの技術か…やはり嘘をついていたということはなさそうだな」

「クス!今それどころじゃないだろ!?」

タコの頭のうち1つが潰れたとはいえあと7つがシェリシュに襲いかかろうとしている。

「今協力しないとシェリシュの次はあたし達だ!」

「当然だ奴は決闘を控えている、死なれては困るのだ…鬼裂き!葬千!」

クスが剣を振ると凄まじい風が放たれてタコが身じろぐ、その隙にシェリシュはタコの頭に次々左手を打ち込み、それらを昏倒させていく。


「あの倒れ方、尋常ではない…毒か」

キンラがぽつりとこぼす

「毒!?」

「手に毒を塗り込んでいるのかもしれない、察するにまともな方法じゃないんだろうが、とにかくあの巨大な生物の頭を一撃で動かなくする強度の毒だ」

そんな力を人間1人が得ていいのだろうか、そんな苦しみを、なぜシェリシュが背負わなければならなかったんだろうか。


「このまま行くと…共倒れになりそうだが」

クスの言う通りシェリシュは敵の反撃を受けて宙に投げ出されている、このままいけば海に投げ落とされるだろうに、その目は敵だけを捉えて離さない、刺し違えてでも殺そうという意志を感じる、きっとそういう風に作られてしまったのだ。

「助けてやってくれよクス!このままじゃシェリシュが勝ってもタダじゃ済まない!」

「…昨日に続いて刀気を使いすぎた、海では刀は振れん、もう何も出来ることは無い」

「そんな…シェリシュ!負けるな!」

「あの女にそれほどの闘争心は感じられん」

「クス、どういう意味だ?」

「ああいう態度のやつを良く見る、生きる意味を無くした戦士はよくああなる…死ぬ理由を見つけたようになるんだ」


生きる意味なんか考えたこともない、死にたくないから生きるのだ、でも彼女にとっては違ったのだろうか?暗殺者として育てられて、それ以外の何も知らなかった彼女が生きる理由は一緒に育った仲間を守ることだけだったのだろう、そしてそれは果たされなかった。


今、彼女は出会ってたった1日の私たちのために命を捨てようとしているのだろうか、それほどに自分の命に価値を見いだせないのなら、教えてやらなきゃ行けない、どんな時でも人間は自分が生きるために頑張っていいんだってことを。


「シェリシュが…シェリシュが帰って来ないのに!こんな風に助けられて嬉しいわけないだろ!」

シェリシュがまたひとつタコの頭を潰すと、観念したかのように敵は海に潜っていく、足場を失ったシェリシュもまた海に落ちてしまうだろう。


「助けないと!」

海に飛び込もうとするとキンラが私を掴んで止めた。

「やめろシター、海に潜るのは危険だ、海上ならともかく海中では敵に対抗できない」

「そんなの関係ねえって!」

キンラの静止を振り切って必死で泳ぐ、足が動かしづらい。

なんとか海に落ちたシェリシュの近くまでたどり着く、ちょうどタコがシェリシュと戦っている、海の中では敵に対抗できないらしく、シェリシュは体の一部をタコに噛まれる、そしてタコはそのままシェリシュを連れ去ろうとする、確実に殺す気だ。


(絶対にダメだ!)

必死でシェリシュの体を掴むとタコの引き寄せる力はあまりに強くどんどん深くまで落とされていく、私はもみくちゃになって体中を襲う衝撃で意識を失った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今度こそ死んだと思ったが、なんか生きてる、ここは海の上だ、ほとんど崩れかけたたこ焼きの上、キンラとクスの2人が助けてくれたのか。

2人の服はびしょびしょに濡れている、きっと海からひろいあげてくれたのだろう、シェリシュはと言うと身体を抱きかかえるようにして座っている。


「目を覚ましたかシター、お前たち2人揃って悪運の良い奴らだな、あのタコお前らを放って逃げていったぞ」

クスが言う、どうやらわたし達の生還を祝ってくれるらしい。

「クス、助けてくれてありがとう、それで…もう良いのか?」


クスはシェリシュを殺すつもりだった、助けてくれたということは気が変わったのだろうか?それともキンラがとめてくれたのか。

「本来なら良くないんだが…分からなくなった、答えが出るまでは、保留にする」

「そうか!良かったなシェリシュ!」

「…ふふ、えぇそうね、あなたが助けてくれなかったら窒息して死んでいたわ、私誰かに助けられたなんて初めてよ、シターは命の恩人ね」

シェリシュが私にほほ笑みかける

「へへ…もうヤケになったりすんなよな」


「そうだな、それはいいんだが…言い出しずらいことに、また問題がある」

キンラがまた暗い表情で言ってくる。

「え、今度はなんだよ一体、まぁあたし達にかかれば何とかなるだろうけど!」

「シター、お前の足のことだ」

ドキッとする、気付かれたのか。

「ふむ、そういえば泳いだときなど目立つほど動きが悪かったな、不自由なのか?」

クスも気づいていたようだが、遠くの場所から来たということもあり詳しくはないようだ。

「あ、あぁちょっとな」

「魔界の食物を口にしたんだろう?見た目では分からんが中身が腐って行くんだ、直ぐに足から広がって全身に移って死ぬぞ」

「…」

「なに?どういうことだ」

「な、なんの話をしているの?」

クスはともかくシェリシュも知らないようだ、彼女は特殊な環境で育ったから知らないのだろう。

「魔界っていう場所があるんだ、この世界の裏側にあるそこは邪悪な悪魔たちが住む世界なんだけど、ちょっと前に町の近くに魔界からの門が開いたことがあったんだ、その時魔界からこっちに根付いた苗木は強い生命力であっという間に実をつけた、でもそれを食べると健康に異常をきたす…らしい」

「シターはそれを食べたの?なんでも食べちゃダメじゃない!」

「はは、お前が言うなよな…、他に食べるものがなかったんだし、仕方ないだろ?」

今日死ぬよりはまた今度死ぬほうがマシだろう。


「残念なことに健康に異常をきたすなんてものじゃない、助かるためにはシター、腐敗が広がる前にお前の足を切り落とすしかない」

背筋がぞわりと震える、脚を切り落とすって?

「ま、待ってくれよ、でもまだ腐敗進んでないぞ?」

「いつかは進む、速い方が良いだろう、今なら膝より下が残っているし、義足を動かす能力が残る、腿より下しか残らなくなると、1人では生きていけんだろう」

「脚が無くなったらどっちにしても独りじゃ生きてけないよ、それに…心の準備とか!ちょっと待ってくれても良くないか?」

キンラやシェリシュに助けを求める、が2人の表情は暗かった。


「お前たちの言うことが事実なら自然に治ることはなく、悪化するばかりなのだろう?怖くともそうせねばなるまい」

「そうよシター、あなたみたいなまだ小さい子供がそんな目にあうなんてかわいそうだけれど…」

「で、でもそんな、うう」


「シター、大丈夫よ、私が絶対にあなたを守ってみせるわ」

シェリシュがゆっくりと歩いて私の後ろに回る、そして覆いかぶさって、動きを止めてくる。

「シェリシュ、離してよ」

「クス、ここより下を落としてくれ」

キンラが自分の服をちぎり、切れ端で私の足の膝の少し下を強く縛り、私の足を抑える。

「ちょっと待ってよ…怖いよ!」

「一瞬で終わる、目を閉じていろ」

クスが刀を振り下ろした。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

切り落とした足を海に捨てる、キンラが断面を服で抑える。

俺が血止めの魔術を施すとやがて出血は収まった。

「魔法が使えるのか、見かけによらないな」

「当然だろう、侍は魔法が使えるものだ」


シターは顔を伏せて泣きじゃくっている、痛みや恐怖に耐えられる年でもないのだから、無理もない。

「大丈夫よシター、地上に戻ったら私があなたの面倒を見てあげるわ」

「地上に戻ったらか…キンラはどうする、自分の仕事は無いのか?」

シターは仕事を持っていなかったらしい、シェリシュが元の仕事をすることも無いだろう、キンラはどうなのだろうか?この刑を受けて戻った時彼らが受け入れられる場所はあるのか?

「俺は…先にお前を聞こうクス、その後に話す」

「俺の仕事は…罪人との決闘だ、帰ったらまた、罪人と闘わなければならない」

「それってどういうこと?」

シェリシュが聞いてくる、説明しなければならないだろう、仲間ならば知っておいてもらわねばならない。

「俺の故郷ではそういう法がある、罪を犯した者は決闘人と闘わなくてはならない、決闘人に勝つか、犯した罪の重さだけ傷を負えば許しを得られるのだ…俺は決闘人の一族に生まれて厳しい修行を積み、15歳の頃から多くの罪人を切ってきた、すべての罪人の最後の決闘を受けるのが俺の仕事だ、それがこうして…罰を受ける立場になるとはな」

「なんの罪を犯したと言うの?」

「故郷から逃げ出したとある罪人との決闘を任され、そいつを追っていたのだ、そしてこの国を通ることにした、俺は自分の国の法しか知らず、外には外の掟があることも知らなかった、許可なくこの国に入ることは出来ないと兵士が止めてきたが…全員斬った、邪魔をするものを斬ることは決闘人に許された権利だったからな、やがてそれがここでは許されない事を知らされ、こうして罰を受けることになった。」

それを拒み、立ち塞がるものを全て斬ることも出来たが…大人しくした方が早く済みそうだと判断した。


「なるほど、漂刑はそうせざるを得ず罪を犯したものが受ける罰だからな」

キンラによると、シターは生存のため、シェリシュは仲間を人質に取られ、クスはそれが仕事だったために、仕方なく罪を犯したと、そう判決されたわけだ。

「あら、そういえばまだ私のことを見逃してくれる理由を聞いてなかったわね?」

「それは…」

シェリシュは本人の話すところによると多くの人を殺めている、本来なら決闘で裁かれなくては行けないのだが。

「俺にも分からん…今までもそうするしか無かったと語る罪人を多く見てきたが気にもとめなかった、俺には関係の無い事だったから、今は俺がそこに置かれている、仲間もな、だから考えたんだ、今までやってきたことを考え直さなくてはならない、俺が裁いた罪人たちが本当に殺されなくてはならなかったのか、そうだとしても何も知らなかった事を」

生まれて初めて後悔している、俺がその仕事ために何も考えずに多くの命を奪ったことを。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「そういえば次はキンラ、お前の話をすると言っていなかったか?」

「あぁ、そうだな俺の話はこれからの俺たちの話にも関係している、聞いてくれ、シターもだ」

「シター、大丈夫かしら?」

シェリシュが心配そうに私の顔を覗き込む。

「だ、大丈夫、もう大丈夫だよ、みんな」

「…強い子ね、キンラ、話してちょうだい」

「あぁ…簡潔に言うと、俺たちは今海の神の神殿に向かっている」

「なんだそれは?」

クスが面食らったように聞く、それもそのはずだ、その話はあまりに唐突に出てきたものだったから。

「海の神って?」

「あの町から船を出すと、波や風が海の神の神殿に向かうようになっている、逆らわなければ連れ去られるそこには海の神がいるんだ、海を統べる神…奴は罪深き人間を招き寄せ、己が奴隷にする」

「私たちはそこに流されているの?」

「そうだ、この刑は罪を犯さざるを得なかったものが許されるに値するか、神に問うものだ、船に乗せられて海に放り出され、帰ってきたものは許され、そう出なかった場合はそれまで…表向きにはそうなっているが実際には人が帰ってくることは絶対にない、納得しない人々を無理やり抑えるために作られた刑罰だからな」


キンラの話はつまりこういうことになる例えば誰かに脅されて殺人を行ったものが居たとして、その人間を死刑にすればその遺族等が異議を申し立てるかもしれない、だから建前としては神に判決を任せるということになっているのだ、許しを与える神など居はしないのに。

「そうだったのね、でもなんでそんなことをあなたが知っているの?キンラ」

「それは俺がかつて罪人を神殿へと運ぶ船頭だったからだ、海の上で生まれた俺は海の神の加護を受けている、神殿から町へ帰れるのは俺だけだった」

なるほど、それなら全て知っているのも納得だ、ん?待てよ?

「じゃあキンラ!あんた今あたし達を運んでるってこと!?」

「違う、かつては俺が居なくては海の神の元に人を届けられるものはいなかった、神が災いを抑える事の引き換えに、町は罪人を奴隷として捧げ続け、海の神は力を増やしてきた、今や俺を必要とせず海流を操れるようになり、必要なくなった俺はこうして流されたというわけだ、多くの人間を流してきた罪を問われてな」

「酷い…」

「酷いものか、今まで同じことをしてきたんだ…そうだ、これからのことを話さなくてはならない、さっき会ったタコは海の神のペットでな、やつが現れたということは既に海の神の神殿が近いということだ、奴は我々に選択肢を突きつける、自らの罪を心から認め、新たな体を手に入れて奴隷になるか、それともこの海に沈んで死ぬかだ」

キンラがそう言うと突然私たちが乗っていたたこ焼きが沈んでいく。

「あ、あれ?」

「抵抗するな、海の神の元に運ばれるのだ」

そんなこと言ったって…膝の当たりが海に使ったかと思うと突如沈み込むような感覚と共に海に引きずり込まれ、ゆっくりと落ちていく。

「凄い、息ができる」

そう言ってみるが仲間から返事がない、目をやると口をぱくぱくさせて何かを話しているようだが聞こえない、どうやら息はできても話はできないらしい。

「お前たちは準備が出来ているかの?」

突如見知らぬ声が聞こえてそこを見ると、大きな貝のような生き物がこちらに話しかけていた。

「わしの名はオルトヨン、海の賢者であり忠実な神の下僕じゃ、お前たちのための案内人でもある、わしからはぐれぬように着いてこい、そして着いた先で自らの犯した罪を認めわしのように神の下僕になるのじゃ…くれぐれも逃げようなどとは考えぬように、罪人ごときが海の神の琴線に触れれば、命は無いものと思いなさい」

オルトヨンは私たちに話しかける、だがにわかには納得できない、私達がやりたくて罪を犯したわけじゃないのに、そうする生き方しかできなかったんだ、生まれが…

この世に生まれたことが罪だったのなら、私達はこれからどこへ行けばいいのだろうか?

【食料アイテム】

『魔界の食物』

1口でも含めば最後、体が下から腐っていき、放っておけば絶対に助からない、しかも味も最悪らしい。

『でっかいたこ焼き』

巨大なたこ焼き、まともに食べきろうと思えば1ヶ月はかかりそうだ、正直小さいからこそ美味しいんだと気づけた

【組織】

『左手』

正体不明の暗殺組織、どこから依頼を受けているのか、またその所在や規模なども判明していない、唯一殺人を実行するものは5人ということだけが分かっている、それらは親指、人差し指、中指、薬指、小指と呼ばれている

『久須家』

明天という国で代々決闘人を務める一族、人間離れした力を持っており子供ですら1人で龍を斬る程の力を持っているのだとか

『海の神殿』

海の神が総べる神殿では元人間の奴隷が大量にいる、それらは海の神の力で怪物のような姿を得て働かされている、海で生まれた全ての生き物は海の神が支配する。

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