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必見!1ヶ月で6億金貨稼ぐ方法!トロールと呼ばれたNPCである俺はバグって村社会から追放されたが肝臓検査で成り上がる!〜個人的には味噌汁にはなめこ×アサリが最適解だと思う〜。P.S魔王討伐します  作者: 出版社に渾身の力作持ち込むも編集者とやらにズタボロにこき下ろされて精神崩壊し隔離病棟に10年ぶち込まれた俺、しかし夢で練り上げた全力の力作をなろうに載せて大大大逆転する〜いまさら後悔してももう遅いぜ〜


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これは助走だ、高く飛ぶためにある、あるいは序章だ、壮大な物語の為の

【ぜんかいのあらすし、すし!】

イシャ達の情報収集は終わった、そろそろ蜃気楼の塔を攻略しようと思うのだが…?

「司令塔を決めましょう、まぁ決まってるようなものですが」

「そうだね、共通認識だよね」

「まあ自然な成り行きだろう」

「そうか?」

私たち『蜃気楼の塔攻略し隊』(イシャ、Gy、狩るる、メイ)の4人は蜃気楼の塔がそびえ立つウェネト砂漠の中でブルーシート広げて会議をしていた、すごい暑い、干からびそうだ、なぜこんな常軌を逸した集合場所を設定したのだろうか、今はまだ着いたばかりだが数十分も留まれば全員気絶するだろう。


「わかっているとは思いますが!一応確認しておきましょう…ダンジョン攻略には皆の足並みを揃えるための司令塔が必要です」

「皆が一丸となるために信頼のおける人をリーダーに選ばなきゃ行けないんだよ!」

「皆の総意で相違なく選ばれるべきだ」

「確かに!で!誰がやるんだ?」

「私です」

「私私」

「私だ」

「みんなか!いいな!」

メイだけは状況を呑み込めていないようだが、既にこの場はリーダーの座を奪い合う紛争地帯と化したのだ。


「私は参加人数100000人を超える『完璧書院』のギルドマスターです、管理能力は疑う余地がないでしょう」

「ただの図書委員長じゃん、私なんて一族きっての天才、最高傑作、地球の最終兵器って呼ばれてたんだから」「それほんとですか?」

「私は研究特区で働いていた経験がある、なんか行ける気がするぞ」

「なるほどな、3人リーダー制か」

「「「それは無い」」」


視線が交錯し火花が散る、譲れない戦いというものはいつだって突然訪れるものなのだ。

「まずなぜ狩るるとイシャさんはリーダーになりたいのですか?」

「人を顎で使う時の快感は何者にも耐え難いものがある」

「すごい、最低だ」

「狩るるお前…エグいって」

「なるほど、どうやら私と同じ理由のようですね、どうやら話し合いでは決着はつかないようだ、こうなったら…リーダー決定頭脳戦!3番勝負です!」

「望むところ」

「もう勝ってるようなものだな」

「行くぞぉぉおおおお!」


【初戦・神経衰弱】

一陣の風が砂塵を含んで吹きすさんだ、それはこれから巻き起こる嵐のほんの序章に過ぎない。

「『神経衰弱の生成』」

狩るるが魔術を唱えるとカードの束が突如生み出され、それらがひとりでに並び出す。

「7×6で42枚、神経衰弱のルールは皆さん知ってますね?」

「もちろんだ」

「俺もやるの?」

「先手はサイコロを3個降って最も大きな数字を出したものとします、私17でした」

「いやでっか!!無理だってそんなん!13!」

「私は志高いから余裕、3」

「勝つ確率は216分の1だからありえなくは無いぞ、ダメだった、7だ」

「ふふっ、先手は私でしたね、策を練ったかいがありました」

そう言い放った途端Gyの頭上で光の輪が現れたと思った途端それが壊れた、それは申請魔法の1つ、数多くある中でも有数のハズレ枠魔法だ。


「今のは『創造の記録第1章の断片(プチハッピー)』!Gy!ずるしていたな!」

「くくくくく、勝てれば良いのですよ!」

「そこまでして私達に命令したいの!?」

「神経衰弱の先手ってそんな有利か?」

私達の講義も虚しくGyは1枚の札を手に取り捲る、それには7つのハートマークが描かれている。


「よし!これでわたしは7ポイントですか?」

「そんなわけないだろう、Gy、ルール分かってなかったのか?」

「どんな運ゲーだと思ってたの、2個捲って同じ数字が引けたら貰えて、終わった時に一番多く取った人の勝ちだよ」

「そんな…!?それでは情報を多く得られる後手の方が有利ではありませんか…!?ハッ!まさかあなた達、この私を!?」

「かけてないかけてない、罠にかけてねぇぞ」


Gyが一か八かと言わんばかりの迫力で適当な札に手を伸ばすが、その数字は4、残念ながらハズレだ。


「残念だったな!次はオレ〜」

メイが適当な1枚に手を伸ばす。

「3!だから、まだノーヒントか、よ、12か」

メイが戻して私の番になる。

「1、13、まだ引けないか…」

「ということは…6枚めくれたから42枚中36枚がまだ見えてない、そのうちめくれた6枚のカードが3枚ずつ残ってる、もうめくれたカードが当たる確率は36/18、ちょうど2分の1、私なら当てられるんだよねえ!うん、8と2」

「ふふ、結局誰にも当てられませんでしたか、やはり私は持っている人間!運も味方している!5!6!ダメでした!」

「ふふん!みんなまだまだだな!行くぜ!9!10!」

「残念だったな、もうとっくにまだめくれていない札を引く方が難しい段階だぞ?それ!…11、だから…分からないな、あ、6だった」

「ふふん!全部の数字が出揃ったね!はい7!…7どこだっけ」

「あ!私覚えてますよ、あそこですあそこ」

「わぁ〜Gyありがと〜!」

狩るるがGyが指さした場所に手を伸ばすしていくのを横目で眺める、Gyが私とメイに素早くアイコンタクト、それが意味することは1つ、『余計な真似はするな』…と、明確に彼は見当違いな位置を教えた。

「なんちゃって」

狩るるの手が突然方向を変え1枚の札を捲る。


「「「!?」」」

「Gyの立場から見たらさ、いきなりそんな遠くの札とるわけなくない?浅いんだよねえ、私と駆け引きできると思った?」

彼女がひらりと向きを変えたカードに映る数字は…7


「うちの子…天才!?」

「だがどうやって正しい位置が分かったんだ?」

「運だよ、私がやればなんだって上手くいくんだから」

「すげえ!なんてハイレベルな戦いなんだ…!?」


そして次々に試合は動いていく全員1歩も譲らない激戦をくりひろげた結果成績は以下のようになり勝負は終盤戦へと持ち込まれた。


Gy---6

狩るる---12

イシャ---8

メイ---8


「残りのカードは8枚ですか、私が勝つにはすべての札を取るしかない、ここらでひとつ策を講じるとしましょう」

「もう適当にやっても勝っちゃうな〜、眠たくなってきちゃった、イシャ、ひざまくらして」

「待ってくれ、今頑張って思い出してるから」


実際のところたった42枚の札の位置を覚えることはまるで難しいことじゃない、だが先程から何故か明らかに覚えていた札を間違えることが頻発しているのだ。

「ここだ、む、間違えた」

「…おかしいな、私もそこだと思ったのに」

「おかしいですよね、なんで先程から黙っているんですか?メイ」

「……」

「寝てる?spp(すぴー)って聞こえない?」

「…いや彼寝ていないぞ、仮面をつけてないか!?」


よく見ると、よく見なくても気づくべきなのだが、メイは顔に黒い仮面をつけている、彼がこれをつけている時喋れなくなる代わりに使えるスキルが増えるらしい。

「メイ!何かしていたんじゃないですか!?」


サッと仮面を外し、メイが溌剌と言い放つ。

「はは!今頃気づいたのか?お前たちに使っていたスキルは『マインドスクリュー』記憶を混乱させるスキルだ」

「どうりで!ずるすぎ!」

「そうだぞ!卑怯だ!」

「なんとでも言え!俺の番だな!おりゃ!だめか」

「…なんで覚えてないんですか」

「マインドスクリューに集中してたからな、1枚も見てない」

「あほだ」

「あほあほだな」

「アホじゃねえって!いい勝負だろ!」

「いい勝負ではないと思いますけどね…しかしこうなると私には好都合ですね『創造の記録第1章の断片(メガハッピー)』」


Gyの頭上に先程より大きなひかりの輪が現れる、プチハッピーでサイコロの17が出せるのだ、メガハッピーともなれば当たるんじゃないか?宝くじ。

「ずるい!」

「ずるいぞ!」

「なんとでもいいなさい!それえ!…なに!?」

「揃ってなくね?」

「メガハッピーも発動していない?これはどういうことだ」

「どーでもいいじゃん、Gyが適当魔法使いってだけだよ」「そんな訳ないでしょう!」

言いながら素早くめくった狩るるが目に見えて落胆する。

「ん、やっぱダメだね、絶対合ってると思ったのに」

「おりゃ!お〜い揃わねえよ、酷い泥仕合だな」

「メイのせいだよ!」「あなたのせいですよ!」

「他人にデバフかけるにしても自分は覚えておくべきだろう…お、運良く揃ったぞ」

「あ〜終わってしまった〜、逆転無くなりました〜、皆さん頑張ってくださいね」

「どんまいな、Gy」「あなたのせいですよ」

「イシャ、続けて引いてね」

「あぁ、良し当たった、おっこれも当たりか、やった、更に当たったぞ」

「「「待って待って待って待って待って」」」

「?なんだ」

「ずるしてたよね絶対、私引いちゃうよ」

「そうですよ!記憶も頼りにならないのにそんなに当たるわけが無い!」


「いや、8枚4組のペアを連続でひきあてる確率は(7/1)*(5/1)*(3/1)=95/1だからそんなにおかしくはない」

「おかしくね…?」

「おかしくない、さ、私の勝ちだな」

「おかしいおかしい絶対おかしい」

狩るるが感情を昂らせてしまったのか、私の手を掴んでブンブン振り回す。


「狩るる、やめてくれ、あぁあぁあぁ」

「イシャさん?すごいバサバサ落ちてますけど、袖から、トランプが、あなた()()()()()()?」


たしかにいかさまはしました、自分が揃えたりめくった札を袖に隠して2枚目をめくる時にあたかも今当てたように袖から出していた、うん認めよう、私が適当にすり替えた為に1時は場のカードが全てバラバラになりどう引いても揃わないようにすらなっていたようだ、明らかに不自然な状況も記憶の混濁のせいにすれば意外と何とかなった。


確かに多少は卑怯なことかもしれないがこれも勝つために仕方なかったのである、そしてこれからやることも、勝つために仕方ない犠牲なのだ。


「…くらえ!物理的マインドスクリュー!」

私は3人の頭をぶん殴ることにより事なきを得た。


【第2戦・大喜利】

「なんか頭痛いんですけど…第1回戦を始めますか?」

「1回戦の神経衰弱は私の勝ちで終わっただろう」


渾身のすっとぼけが上手く行き、皆は流されてくれたようだ、うまい記憶の消し方が刺さっている、なんせ記憶を消すのは私が1番得意とするところだからな、培った技術というのはどんな形でも無くならないものだ。


「あぁそうでしたね、では…こんなパーティーは嫌だ!どんなパーティーだった?」

「はい!メンバーの過半数がドッペルゲンガー!」

「みんな死んでまうやないかい!と!言うわけでもっともレベルの高い大喜(オーギ)リストが第2戦の勝者になります!」

「うおー!いえーい!」

「なるほど、大喜(オーギ)ラー2段を持つ私には誰も勝てんだろうな」

「うんうん、それもまた美少女だね、はい、『舞台の生成』」

狩るるの魔術で用意されたセットの上で、戦いの火蓋が……


「第1問!【プレゼンの日、重要な資料を忘れてしまった!代用できるものとは?】」

Gyがお題を出題する、彼は出題者が絶対に勝者になれないことを把握しているのだろうか…?

「はい!」「メイどうぞ!」

「三回見たら死ぬ絵!」

「うんうん、スライドで流して全員殺せば問題ないもんね、8点!」

素早くメイが回答、そして狩るるが解説の人兼採点者になってしまった、この場合実質私とメイの1対1である、しかし書類の代用品…大喜理論(オーギりろん)的な模範解答は何らかのデータが記されているものの到底場を乗り切れなさそうなもの…あるいはメイのように別視点で問題を解決する方法となるだろう。

「はい」「イシャどうぞ!」

「辞表」

「うんうん、プレゼンしなくてよくなるね!イシャは可愛いから100点!」

「10点満点じゃなかったのかよ!」

「イシャが先制点、さてこの勝負どうなるでしょう、続いてのお題、【この打ち上げダルすぎる、何があった?】」

「はい!8割海外留学生のカラオケ!」

「うんうん、知ってる曲なんかあるわけないもんね、でも向こうが気を使って頑張ってくれるかもしれないし、そもそも知らない曲でも楽しむことはできるよ?みんなが知ってる曲歌わなきゃ行けないみたいなのやめよ?2点」

「厳し!細かいこと気にすんなよ!」

「はい、会場がカニ料理専門店」

「うんうん、カニは食べづらいからね、イシャのぶんは私が剥いてあげるよ、100点」


かなり採点基準が不透明な戦いが繰り広げられているが…

「くっ!大喜ラー2段は伊達じゃねえってか!手強いじゃねえかイシャ!」

「ん、んうん、ありがとう」

どうやらメイは(衝撃的なことに)何も思うところがないようだ、だが勝てるなら私にとってはなんでもいい。


「続いてのお題【こんな魔王は嫌だ】」

「これだ!『高額な入場料を取ってくる!』」

「うんうん、やだよねみみっちい感じがするし、6点」

狩るるにはこの回答はあまり刺さらなかったようだ、だが私はメイがその裏に潜ませた意図を汲み取る。


「その魔王に敗北した場合有り金をドロップして再挑戦に時間がかかるというクソゲー要素もあるということか!それも含めてこれはレベルの高い大喜(オーギ)リーだな」

「うんうん、私もそう思ってたよ、7点」

「加点低すぎだろ、1点かよ」

「イシャは回答ありますか?」

「ん、むむ、『ひとことめが「よく来たな、注射よ」』」

「うんうん、医者の魔王に注射攻撃されたらそんなのって最悪だよね、100点」

「くっくそ!大喜利の魔王じゃねえか!強すぎる!」

正直適当に言ってみた感はあるが…あまりに採点が甘い、これなら寝てても勝てそうだ。


「【(ガソリンスタンドで「とりあえず生」とオーダー、何が出た?】」

「『ハンター試験会場!』」

「うんうん、いますとも、7点」

「『生返事』」

「うんうん、マニュアル対応だね、100点」


「【ホラー系ミラーハウスで恐ろしいものが写る!一体何?】」

「ドッペルゲンガー!」

「うんうん、同じの擦っちゃダメだよ、8点」

「吸血鬼」

「うんうん、写らないんだもんね、100点」


「【大物政治家達の危険な密会!何してる?】」

「ベニテングタケ狩り!」

「うんうん、危なすぎだね、6点」

「隠し税大会」

「うわぁあブラックだよイシャ、そういうのもあるんだね、100点」


「なんて拮抗した勝負なんでしょうか…果たして合計点数はどちらの方が多いのか!?」

「頼む…!」

「なんで?なんでその期待を持てるんだ?」

「イシャは2000点、メイは108点だよ」

「クソっ!負けたか!僅差だったな」

「大敗だぞ?」

「お2人ともいい試合でした…さぁ続く第3回戦は!」

「やる意味ないぞ?もう私が2回勝ってるんだから」


【第3戦・ウル王朝のゲーム】

「『盤の生成』」

かるるがGyの指定した通りのボードを生み出す、ゲーム盤は4✕3のマス目からなる長方形と、2✕3のマス目からなる長方形と、それらを結ぶ1✕2のマス目の長方形(狭い橋)から構成される


□□□

□□□

無□無

無□無

□□□

□□□

□□□

□□□


まあこんな具合だ。


「3人はウル王朝のゲームについてどれほど知っていますか?」

「初めて聞いた!」「知らないゲーム」

「ふふ、私は知っているぞ、このクソムカつく上に無駄に時間のかかる単調な運ゲーはかつて最も愛された最古のスゴロクゲームだ、辺境の呪い商達と遊んだことがあるんだ」

「え?クソゲー?今から俺らクソゲーやらされる?」

「いえいえ、ウル王朝のゲームは楽しいゲームですよ、ルールの説明のために"軽く"イシャと私でやってみましょう」

「あぁ、()()な、軽く…」


そこから私とGyの激戦が始まった、互いの駒を時に戦略的に、時に天運に任せて捕獲し、盤から追い出す、あるいは一度に4つの駒を場に出す奇策を講じるなど戦いは2転3転の展開を見せお互いが勝利に手をかけたその時、突然私たちが座っていた砂面が震えて揺れる。


「おっと!イシャ、盤をひっくり返さないでくださいよ」

「私じゃない、これは何が起きている?」

「!?みんな!下だ!」

ggg(ぐーぐーぐー)…なに?ねてた」


私達を中心に砂漠の面に蟻地獄のようにくぼみができている。

「虫です!みなさん戦闘準備を!」

「う、しんどいしだるすぎ、今日はのんびり遊ぶ日じゃなかったの?」

「そうだぜ!ウルは!?」

「参ったな、ドタドタ足音が聞こえるぞ、結構な軍勢が襲いかかってきそうだ、それに柔らかい砂に足を取られる、この蟻地獄からは抜け出せそうにないぞ」

「そういや砂漠でのんびりしてたら虫に目をつけられるって見ず知らずのじいちゃんが」「先に言ってくれ」「先に言ってよ!」「先に言ってください!」


蟻地獄の外から複数の多種多様な虫が覗いてきている、いかにも今から襲い掛かりますという顔つきだ。

「魔物知識判定成功、弱い順に

『サーバント・砂漠(サンド)の掘岩甲虫(・スペロピード)

『サーバント・砂漠(サンド)の聖小金虫(・メガスカラベ)

『サーバント・砂漠(サンド)の巨大蜘蛛(・メガスパイダー)

『サーバント・砂漠(サンド)の偽竜飛蟲(・ドラゴンフライ)

定番インセクトイドの砂漠バージョン、ご当地害虫だな」

「きもいきもいきもいきもい」

「あいつら襲ってくんぞ!」


蟻地獄を外縁から滑り落ちてくる虫の軍勢、だがその中でも一足先に早くこちらに辿り着くのは蜻蛉型のモンスター、砂漠の偽竜飛虫達だ。

「撃ち落としますよ!『創造の記録第3章の断片(パス・オブ・ライト)』!」

「少し多すぎるな、こういう手もある、『創造の記録第3章の断片(フラッシュ)』」

Gyの光の柱が蜻蛉の群れの先頭に向けて光の柱を放つ、柱が直撃した虫は先頭から最後尾まで焼けて倒れていくが、何せ全方向から来るものでとても処理が追いつかない、続いて私は後続の蜻蛉に目くらましの光を『創造の記録』から放つ、虫なんてこんなもんでイチコロだろう、目論見通り方向感覚を失った虫が次々変な方向に飛んでいく、中にはずしゃりと倒れて他の虫の足蹴にされる虫もいる。

「うおっなんも見えねえ!」

味方にも効力を発揮してしまった。


「砂漠だと食虫植物を出す魔法が使いづらいな…『ポイズン・ディフュージョン』」

「えっ!?これ無差別じゃない?狩るる!?」

「大丈夫だよ、こっちには神聖魔法使いが2人いるんだから」

「そういうことだな、『創造の記録・第2章の断片(ポイズンプロテクター)』」


狩るるが私達を中心に呼び出した毒の霧に暴露した虫たちはひっくり返って倒れていくが、倒れるそばから次々と新しい虫が現れては毒を吸い命を散らす。


虫が毒に弱いことを加味しても狩るるの魔法の毒は非常に強力なようだが、ポイズンプロテクターはその強度に関わらず一切の毒によるダメージを無効化する、毒霧とポイズンプロテクターは集団モンスターに対する対抗策の中ではかなりメジャーな組み合わせだ。


「虫って怖いよな、本能に従って命を捨てるようなことでもやるんだから」

「そうだなおぞましい光景だが…無意味とは言えないかもしれない、このままでは虫に埋め尽くされて圧死してしまう」

「まずいですね、どうしたら止まるんでしょうか、メイ、そのおじいちゃんから何か聞いていませんか?」

「いや聞いてなかった、話長かったもん」

「あほだよ…?」


虫たちは次々と送り込まれてくる、これは明らかに異常だ、たかだか冒険者4人のために送り込まれる戦力では無い。

「インセクトイドはいくつかの昆虫種族が混成された一群だが、本来少人数の獲物を襲うことはしない、そこになにかこの状態を打破するヒントがあるはずだ」

何故このように割に合わないコストを支払ってまで私達を捕らえようとするのか。


「彼らの名前には『サーバント』が付いているのでしょう?プレイヤーに隷属されたモンスターの特徴です、虫マニアのテイマーがやっているのでは?」

「こんな山ほどテイムすることなくない?100年かかるって、それに退却命令を出さないのも不思議だよ。」

「プレイヤー以外が飼ってるモンスターにもサーバント判定は着くぞ!俺見たことあるんだ、『サーバント・ミジンコ』!」

「なるほど、他種族を飼い慣らした魔物ならその犠牲を厭わないのもうなずけますね」

とすると、このインセクトイドの群れは…そうか分かったぞ!


「真の敵はこの下にいる!」

「どういうことですか?」

「この蟻地獄を作っているモンスターがいるんだ、そいつが虫を操って私達を襲わせている、そしてそいつはこの下で私達が肉になるのを待っているというわけだ」

「そうと決まったら早速ぶっ飛ばそうぜ!行け狩るる!穴掘り魔法だ!」


穴を掘るための魔法なんか予め用意してる魔法使いはそうそういないだろうが。

「魔術は2つ同時には出せない、霧が無くなるけど」

「私が何とかする、『創造の記録・第2章の断片(バリアー)』」

「分かった、いくよ?『グラビティホール』」

狩るるが呼び出した黒紫の半透明の円が徐々に降下していき砂のすり鉢に穴を開けていく、そしてバランスが崩れた穴の下から1匹の虫がはい出て、飛び出そうとしていた。


「出やがったな…キモ!キモすぎるぜこりゃあよォ!カビの生えた食パンみたいに目をそらしたくなるキモさだぜぇこりゃあ〜!!」

「魔物知識判定成功!『砂漠の(サンド・)蟻地獄(ウスバカゲロウ)』」

地中から現れたのは細長いからだに羽の様なものを生やしたやや視界に入れたくない虫、そいつはなんとこの期に及んで無事に返してもらおうと考えているようだ、凄まじい速度で飛び出し他の虫に混ざって飛んでいく。


「あの虫さえ始末すれば他の虫は逃げていくはずです!分かりますかメイ!?()()です!アレをやってください!」

「くっ…クソが〜!!あとは頼んだ!H・(ハイパー)K・(キネティック)P・(ポジション)R・(リバーサー)S・(セカンド)S(セットアップ)!」

メイがさっと仮面をつけ、スキル名を叫んだ次の瞬間、恐るべきことが起きた。


「メイが虫になった!?」



「違いますよ、イシャ、メイはあっちです」

Gyが指刺した方を見ると先程まで蟻地獄が逃げようとしていた場所でメイがグッドマークを高く掲げながら虫の海に沈もうとしていた、それとは逆に蟻地獄がさっきまでメイがいた場所、つまり私たちに囲まれた場所で困惑している。

「I'll be back」

「見てイシャ、ターミネーターいるねあそこ」

「彼の犠牲は決して無駄にしては行けません…」

「彼をあそこに行かせたのは君だよな?」


「ぎっぎぎぎ」

放置されている虫が身の程を弁えずに騒ぎ立て始めた。

「この虫どうする?キモイから私は触りたくないよ」

「私もですよ、実はイシャは虫が平気だったり」

「しない、魔法で殺そう」

「えい、『フォームスプレー』」

狩るるが魔法で泡を大量に出して蟻地獄を窒息させる、効果はてきめんで、すぐに虫の大群が散り散りになっていく。


「聞いたようだな、虫が逃げていく」

視界に埋まるキモイ虫が消えて狩るるもご機嫌だ。

「キモイ蟻地獄!討伐完了!」

Gyが目ざとく戦利品を指さす。

「宝箱落ちましたよ」

「いいじゃん!開けまくろうぜ〜」

いつの間にか戻ってきていたメイが引くほど痛ましい姿になっていたので思わず目を逸らす、虫怖い。


宝箱の名前は砂漠カラカラ宝箱、古代エジプト風の装飾がなされており、大きさは中くらいである。

「『創造の記録第2章の断片(トラップサーチ)』」

神聖魔法で調べても罠なし、直に触って鍵も無しである。


「開けても大丈夫そうだぞ」

「いいじゃん!早速開けようぜー!」

「それ、おやこれは…中身は主に家具のようですが…液体アイテムを保存出来る水筒も入ってますね」

「最高じゃん!俺ノドカラカラだぜ〜!」

「中身入ってないですね」

メイががっくりと項垂れた、今にも干からびそうである。

「別売りかよ〜…くっそ疲れたんだけど」

「私ももう暑さで神経衰弱あたりから意識が半分ないよ、疲れたぁ」


家具アイテムか、見たところ虫モチーフだし高値はつきそうにない、蟻塚の見た目の椅子とか、いらなすぎる、そもそも家具という時点で需要があまりない、家を買うハードルが高すぎるし、水筒も見た目にこだわらなければ普通に買えるのだからあんまり特別感のある宝箱じゃない。


「倒すメリットが薄いな、このアリジゴクは」

「まぁ宝箱の中身が固定じゃない可能性もありますが…みなさんお疲れのようですね、私のリーダー決定戦で皆さんを疲弊させて勝利を掴む計画が仇に出ましたか」

そう言ったGyの頭の上でまた光が弾ける、なんらかの補助系神聖魔法を使っていたようだ。


「…だから会場砂漠だったの?最悪だよGy、私引いちゃうよ」

「そうだな、そういえば優勝は私でいいんだよな?」

「そうだったな!おめでとうイシャ!!!」

「えぇ、あなたの叡智を称えて攻略隊のリーダーを任せます、そういえばイシャはなぜリーダーになりたいのか言ってませんでしたよね?」

「あぁ、私がこのチームで1番レベルが低そうだし、他のことで皆の役に立てるかと思ってな」


そういうと奇妙な沈黙が訪れた、私何か変なこと言ったか、リーダーになって役に立てるというのはうぬぼれだったか?と少し心配になる。


「…何かおかしなことでも」

「…えらい!えらいよイシャ!」

「!?」

突然オーバーなリアクションで狩るるが飛び上がった、彼女の頭の上に吹き出しが現れて号泣する顔のマークが浮かび上がる、泣きエモートだ、それに追随してみんなが泣きエモートを出しながら畳みかけてくる。


「さっきの戦いでも冷静だったし!ぴったりじゃん!」

「そうですね!今日のところは帰って次塔の攻略頑張りましょう!絶対にクリアして1億金貨手に入れますよ!」

「やるぞー!!」

メイが勢いよくすり鉢のへりに手をかけ上に登る、私達も彼に手を貸してもらい上がっていく。


「楽しかったなァァァ!!!!!??」

ズボりと嫌な音を立てて落ちていくメイ、新しいすり鉢、虫の羽音

「もうやだ!キモイ!」

「なんでこうなるんだ…」

「勘弁してくれー!」

「諦めていいですか?」


砂漠に長居すると蟻地獄が山ほど集まってくるらしい、私たちは最終的に抱えきれないほどの水筒と家具を持って帰還することになった。

【勢力】

『インセクトイド』

パーフェクトプラネットのどこにでも湧いてくる遺伝子操作された虫の大群は大人数で集まったプレイヤーを対象に襲いかかってくる、その厄介な点は群れの多様性にあり、弱点などが一貫しないことである、共通点は汚染属性を受けることで強化されることと概ね巨大で数が多いこと。

【ユニークスキル】

H・(ハイパー)K・(キネティック)P・(ポジション)R・(リバーサー)

死神を倒したことで得た力、敵と自身の位置を入れ替える、大抵の場合、自分は敵陣のど真ん中に、敵は自陣のど真ん中に突如出現することになるため、だいたいどっちも即死することになる、強力なことは間違いないが損な役回りになるスキルである。

H・(ハイパー)K・(キネティック)P・(ポジション)R・(リバーサー)S・(セカンド)S(セットアップ)

改良され、一定時間の後にお互いに元の場所に帰還することができるようになった能力、大抵の場合普通に間に合わずに死ぬか敵に粘られて逃げられるため、前のバージョンの方がマシ。

【魔法】

『フォームスプレー』

消化泡を任意の量吹き出す、多くの泡を生成するためには追加の魔力を払わなくてはならない

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