目覚め
おもしろ
地獄で目覚めた、無念だ
「まさかこんな死に方をするなんて、やり残したことがまだまだあるのに」
「死んでないぞ」
起きてそうそう自分の不運を嘆く俺に水をさした奴がいる、思わずその人間が話しかけてきた方を見た。
「誰だお前は!」
「イシャだ、お前の頭に爆弾を仕掛けた、怪しい動きをするな、爆発させるぞ」
俺に爆弾を仕掛けたのはイシャだった、イシャは街で唯一の治癒魔法、『神聖魔法』を持つ人間だ、察するに俺の肝臓を治療してくれて助かったのだろうか。
「イシャ!助けてくれてありがとう、死ぬとこだったよ」
「まだ助かったとは言えないな、お前はバグっている」
バグ?ゲームの不具合のことか、俺がバグっている?
「なんでそんなことがわかるんだ!」
「体がところどころゲル化している、健康状態に問題は無いのか?一応HPは全開させたが」
ゲル化…?うわきも、体が緑のぶよぶよした半固形みたいになってる、手とか腹とか、確かにこれはバグっている、体がゲル化した人間なんかいる訳ないんだから。
「確かに"肝臓検査"の結果にも『スライム』って表示されてる」
どうやら本当にスライムになってしまったようだ
「あまり大きな声で言うな、バグったキャラクターは世界から消される恐れがある」
「そうか!アイツみたいに消されちまうのかもしれないのか…」
確かにバグった人間はある一定の周期で削除される、パッチ当てられてこの世界から消えるわけだ。
「じゃあ俺は消されるのか……?」
「いや、この間バグったアイツが消えてからまだ日が浅い、次のパッチのバグ削除は当分先だろうな」
「問題が先延ばしになっただけじゃないか……」
こうしては居られない、テンインに会いに行かないと!
「やめろどこへ行く気だ!」
行こうとしたらイシャに腕を掴まれ引き止められた
「テンインに会いにいくんだ!それぐらいいいだろ?」
「いいわけないだろ!レポートされたらどうするんだ!」
言われてハッとする、冷静じゃなかった、テンインは実はNPCロールプレイ、つまりNPCの振りをして遊んでいるだけの一般プレイヤーだから俺の事を運営に報告できる、彼女は自分の店にバグったNPCがうろつくことを良しとするだろうか……
まずは自分の体のことを確かめないと、そう考えて自分の体を見ると、不思議なことに気づく。
「手が……!?」
イシャに掴まれた腕が少し細くなっている、色も白くなっているようだ、まるでイシャの腕のように。
「女の手になってる!?」
「そのようだな、そういえば……!」
イシャはハッとした顔をしたあと
「私がお前を見つけた時野生のスライムに飲み込まれかけていた」
と続けた。
今のこの状況から導き出されるこのバグの正体、つまり……触れられた生物と同じ姿になってしまうということだろうか?これは名推理だ、恐らくスライムに体をはいまわられたせいで
「やばいだろ!このままじゃ川とか入れないじゃん…!ミジンコになっちゃう!」
「ゲーム世界にミジンコも微生物も居ないだろう」
イシャの言う通りミジンコにはならないかもしれん、だとしてこれからどうすればいいのだろう、絶望的だ……
「あっムラビト!背中に虫が着いているぞ!」
「え?」
こうしてムカデ人間が爆誕してしまったのである
【モンスター】
『スライム』液体状のモンスター、様々な種類がおり強さは上から下までピンキリだが見た目に大した差がないためビジュアルに騙されて冒険者が格上スライムに狩られる事件は多い、これがスライム特攻の武器を常備することが推奨される理由である。




