人殴るとか普通にサイコパスでしょ
特徴的な口癖、これで俺は誰が喋っているか分からない問題と戦う
「6億金貨稼ぐ前にみんなの拠点になるギルドを見つけなくちゃね、あと私の事は今後はレアちでいいから、よろしくね〜」
「名前はそれでいいけどよ、何でおめえは6億行ける風なんだよ、どう考えても無理だろ」
カジヤが呆れたように言う、しかしテンイン、もといレアちは全く動じずに答える。
「でもねえ、なんか私の家とか倉庫のアイテムや装備とか灰画が全部勝手に売って2億金貨にはなったらしいよ、残り4億だね」
「なるほど4億金貨ならば1ヶ月で稼げるかもしれない…とはならないぞ」
イシャも不可能だと思っているらしい、正直俺も同意見だ。
「まあまあ、それより話を戻すけど、適当なギルドを見つけなきゃね、そのために『ギルドチャンネル』に来たんだし」
ギルドチャンネルというのはメンバーを募集するギルドが集まる広場のようなものらしい、今も周りで様々なギルドが呼び込みを行っている。
「これからお金稼ぎで忙しいし、ノルマの無いギルドを探さなきゃね、強制参加の活動には混ざれないから」
「くくく、ならば俺のワールドを代表するトップギルドに入るのが正解だろうな、そこの凡人ども」
突然会話に混ざりこんできたのは狐面を付けた男だった。
「急に出てきて凡人呼ばわりたあ随分だな、誰だよお前」
「俺のことはクラマと呼べ、そして誇れ、お前たちは俺が率いるワールドを代表するトップギルド、『散々な目』の初期メンバーとなるのだ!」
いきなり出てきてなんか言って来た訳だが、俺たちにとっては好都合だ、俺たちがノルマをこなす気が無いと話していたところに入ってきたということは彼のギルドに入ってもやらなければ行けないことなどは無いのだろう、今ギルドの行事なんかに使える時間は無いわけだから
「…でも初期メンバーってどういうことなんだ?クラマ」
「簡単な事だ、ギルドランキングの申請条件にギルドメンバーが10人必要というものがある、お前たち4人を合わせ10人となり、俺たちはようやく覇道を歩み始めるというわけだ、お前たちはその最初の10人のうちに入れる、光栄に思え」
トップギルドを名乗っておきながらまだメンバーが6人しかいなかったらしい、まあ別にもうなんでもいいんだが。
「わかった!じゃあその散々な目に入るからギルド拠点に案内してね」
「いいだろう、4名の加入を承認した、こっちだ」
【『散々な目』の拠点】
散々な目のギルド拠点は丸太で出来た小屋だった、これはギルド拠点の初期状態である、唯一の特徴は涙目が描かれたエンブレムが飾られていること、それ以外には建てられたばかりの小屋に飾り気は一切なくこのギルドが未だ新興ギルドであることを示している、ここから人数を増やしたり実績を残すとギルド拠点をカスタマイズ可能になるのだ。
「おっ、復活拠点登録完了したな、これでようやく一安心だぜ」
「消滅の危機回避ってわけか、なんかどっと疲れたな」
クラマが拠点の扉を開き中のメンバーに話しかけた、中には元のギルドメンバーの4人の人間がいた、どうやらこのギルドのメンバー10人のうち9人が勢揃いのようだ。
「お前たち!新たに4名のメンバーが参加した、1ヶ月後からトップギルドになるための活動を行っていくぞ!お前らも既存メンバーと交流しておけ、全員ランキングトップの人間だ」
「…いやランキングトップの人間って1人しかいないんじゃないか?って聞いてないな」
「じゃあ適当に話していこうか、ムラビト、後で合流しようね」
レアち達と別れそれぞれ別のメンバーと話し始めた、俺もとりあえず適当な人に話しかけることにした。
【料理人・『雑草』】
1mもあるコック帽を被った女が小屋に設置された机で手際よくうどんを打っている、集中していて微妙に邪魔しづらい雰囲気だったが勇気をだして話しかけた。
「俺今日から入ってきたムラビト、よろしく…ところでその帽子邪魔じゃないのか?」
「あんたが言うん?金魚鉢被ってんのに、ちなみに邪魔やで?でもウチはこれを外したらあかんのや、なぜならウチは一流のコックやから」
「関係あるかそれ?えっと君はなんていうの?ランキングトップらしいけど」
「ハっ!ウチは『雑草』、料理人コンテストで1位に輝いた天才や、ウチの打ったうどんを食べたら感動で泣いてまうやろな、なぜならウチは誇り高き香川県民やから」
ランキングトップって料理の話?というかそれよりも香川県民というのは。
「香川県ってのはなんなんだ?」
「昔日本にあったうどんの聖地や!ウチもまたその魂を引き継いでるんや!なぜならウチの居住エリアはちょうど香川県の直下にあるから」
「あ、そう…え料理得意なんだ」
「得意なんてもんやない!料理コンテストに優勝するのはアンタが想像してる数倍難しいんやで?なぜなら現実の料理に使うような手際と料理の出来に補正をかける料理スキルの両方が必要になるから!ウチは現実でAIにキャロリウェーイ食わしてもらってるだけの一般人とは違うんや!料理の勉強を山ほどした!なぜなら料理とは人類が研究してきた素晴らしい文化やから!」
「う、うんわかった、すごいなありがとう」
突如早口で語り出したな。
「わかったらええんや、ムラビトあんたも料理を教えてもらいたかったらいつでも言いやあ、なぜなら料理は学ぶもんを拒まんから!」
雑草は言うだけ言って最後にキメ顔をしたあとうどんを打つことに再び集中し始めた。
雑草との距離が少しだけ縮まった気がする。
俺は別の人に話しかけるためにその場を離れた。
【決闘者・Daydo】
その少年は丸太小屋に設置された大きな机に何やらカードを並べている、というかそれには見覚えがある。
「それってパープラモンスターズだっけ?」
「もしかしてムラビトさんもやるんですか?」
「い、いややらないけど、カードを持ってるんだ…というかなんで俺の名前を?」
「あ、レアちさんが教えてくれました、僕はDaydoです、一応月間パープラモンスターズランキングでは1位です」
今度はカードゲームのランキングトップ…凄いことなんだろうけど何か微妙な気がしてしまう、こんなメンバーを集めて一体何を目指しているのだろうか。
「えっと…カードを持ってるんでしたっけ?見せて貰えますか?」
「これなんだけど、どんな感じ?」
俺は黄金無敵宝箱からでてきた『雷王』という名前のカードを見せてみる、するとその少年は目を輝かせて食いついてきた。
「初めて見るカードです!フィールドボスのSRのカードですね!フィールドを『雷怨舞踏会』にする能力!雷特化の性能でスタンを狙うこともできるみたいですね!なにより1度だけ敵の攻撃を打ち消して復活できる『雷身』は受動的ながら妨害のようにも使えますし!スタンを狙う性能も高いのでコストも合わせて中盤に相手のペースを遅くするデザインのカードのようですね!この感じだとコンボに組み込むのが簡単なコスト帯なので色々強い動きができそう!でもやっぱり相手が殴ってこない場合に雷身が発動できないのを考えるとコントロールやループデッキ相手に手が出にくいのかも、そう考えるとやっぱり微妙かな?種族的には」
Daydoは何やら独り言をまくし立て始めた、俺は思わず口を挟んでしまう、正直何を言ってるのか分からないし聞いてられない。
「えっとそれあげようか?」
「え!?お譲り頂けるんですか!?7万金貨でどうですか!?一応SRフィールドボスの相場なんですけど」
「え!?そんなにするのか!?あ、いや大丈夫、それはあげるよ、元々俺の実力で手に入れたカードじゃないしな」
「本当ですか!?ありがとうございますムラビトさん!大事にしますね!早速これを使ったデッキを考えてみます!どうしようかな…同じ雷属性の『雷牙獣・ピガゼル』と一緒に組んで雷サポートする形がいい気がするんですけど、どう思いますか?それとも土対策に炎雷の複合がいいでしょうか?」
「えっ!?俺は分かんないかな…?」
Daydoはまた札を整理しなおす、楽しそうに考える少年と並べられた札の中心でさっきあげた雷王のカードが輝いている。
Daydoとの距離が少しだけ縮まった気がする。
俺は別の人に話しかけるためにその場を離れた。
【PVP勢・ちょこ】
向こうから茶髪の少女が話しかけてくる。
「こんにちは!私はちょこです!よろしくお願いしますね!」
「俺はムラビト、こっちこそよろしく、ちょこさんも何かのランキングトップなの?」
「はい!対人戦の色んなルールで1位取ってます!5Killの最高MPは5000です、ほかのルールはちょこちょこやってる感じです、ちょこだけに」
「えっと、ごめん対人戦とかあんまりやらないからMPとか言われても分からないかも」
というか正直対人戦のことなんて考えたくもない、かつての嫌な出来事を思い出してしまう。
「あ、やっぱり対人戦なんてあんまりやらないですか?まあ民度終わってる上に報酬とかないですしね〜、あはは」
「ははは、はははは」
「………」
「……えっとよろしくねちょこさん」
「あっ!よろしくお願いします、ムラビトさん、今度ギルドで集まる時があったらよろしくお願いしますね」
なんか微妙な感じになってしまったので俺はそそくさと退散した。なんとも申し訳なく思いながら俺は別の人のところに行った。
【甲冑魔術師・†卍拳殴打最強投絞極卍†】
あえて最後に回した見覚えのある甲冑が椅子に鎮座している。
「…拳だよな?」
「そう」
「…ランキングトップってなんの?戦闘力ってこと?ボス討伐数とか?」
「ハウジング機能、剥製置く土地が足りなくなる度に買って置いてたらハウジングランキングの1位になってた」
それでいいのか?ハウジングってそういうもんなのか?真面目にガーデニングとかやってる人たちが可哀想だろう。
「…なんでこのギルドに入ったんだ?」
「追い出されて次のギルドを探してたら誘われたから、クラマはこのギルドにはトッププレイヤーしか相応しくないって言ってたけど、諦めて10人にするから今日集まれって言われたから来た」
あの狐面男、その道のトッププレイヤーを4人も探し回るとは凄まじい執念だ、しかし諦めて雑に見つけた4人組を引き込んだというわけか、なんて中途半端なやつだ。
「そういえばあと1人ってどんなやつなんだ?」
「今クラマが呼んでくるらしい」
そう拳が言った途端扉が開かれてガラの悪い男がクラマと一緒に飛び込んでくる。
「え!?ムラビト、あの人って」
レアちが反応した、男はなにやら喚き散らしている。
「おいふざけんな!こんなカスみたいなギルドに入るわけねえだろ!」
「フン、そうはいかん、このギルドは1度入れば3ヶ月は抜けられんようになっている」
そう言ってクラマは男を俺たちに紹介する。
「こいつはRON、ちょこと対人戦で試合した奴らしいんだが何やらギルドに入ってまでちょこにイチャモン付けたかったらしい、ちょうどいいんで人数合わせに入ってもらった」
「入らねえっつってんだろ!」
「抜けられねえっつってんだろ、諦めろ」
RONと紹介された男を実は俺は知っている、かつてレアちの店で俺にワカメ特攻ソードを刺した男であり、さらに遡れば俺をトロール扱いしてボロクソ言ってくれた男でもある、たった今全てを思い出したのだがあの大会に負けた日にも俺は仲間だったはずのこいつに斬られている、その時はこいつが持っているもう一本の剣、昆布特攻ソードでやられたんだ、その剣は記憶に混乱を引き起こす効果があったためにこんな事実を今まで忘れていた。
今しっかりと現実を直視して思い出せる。
たしかあの日の俺はミスをしたのではなくこの男にミスを押し付けられたのだ、そしてそれを指摘した時RONは逆上して俺に斬りかかってきた、その結果記憶が混濁してしまいこいつが1人で繰り出した数々の様々な暴言を周りのみんなに言われたと勘違いしていた、思い出してみればなんともしょぼい過去である、何年もの間ずっと気にしていたのが馬鹿らしくなってきた。
「おいお前、ちょこさんと試合してどうだったって?」
RONに向けて話しかける、周りの視線が俺とRONに集まる。
「あぁん!?誰だお前は!」
「俺はムラビトだ、昔お前に刺された男だよ。」
「…?あぁ!思い出したぜ!ベータテストの時のゴミトロール野郎!」
「ふざけんな!トロールはお前だろうが!どうせちょこさんにもしょうもない言いがかりつけに来たんだろ!」
「なんだとてめえ!トロールが口出してんじゃねえぞ雑魚が!」
「あの時も俺にミスを押し付けやがっただけだろ!」
「んだとてめえ!タイマンしろや!おめえが負けたらちょこもおめえもここのギルドマスターも土下座しろよ!」
ちょこさんには勝てないから俺と戦って全員土下座させようというとんでもない魂胆だ、ケチなやつである
「ああやってやるさ!お前が負けたら大人しくしてろよ!」
「なんだ!?いいぞムラビト!なんかわかんねえけどやっちまえ!」
「負けるわけないよね?頑張って!ムラビト!」
「ごめんなさいムラビトさん!頑張ってください!」
カジヤのヤジ、レアちやちょこさんの応援が届く。
俺たちは闘技場に移動した、結果から言うと認め難いことにRONは普通に俺より強かったしこのゲームがうまかったので雷身での復活、雷桜で強制スタンからの偉大なる雷王の最後でワンパン、初見殺しで勝った。
【都道府県】
『香川県』うどんが最大の魅力である、とある心を失った少年は香川県のうどんを食べたことにより初めて涙を流せたとか、現在地上は日本全土が鳥取の砂丘みたいになっているのでかつての面影は無い。
【簡単な人物紹介】
『クラマ』狐面を付けた召喚士の男、ギルド『散々な目』のギルドマスターであり、このギルドをトップギルドにすることを目論んでいる、トッププレイヤーを片っ端からしつこく勧誘して通報され、妥協しまくっている。
『雑草』1mあるコック帽を被った女、パープラ内で料理を研究するプレイヤー、得意料理はうどん、うどんならなんでもござれ、材料をそば粉だけできつねうどんが作れると豪語している。
『Daydo』何の変哲もない少年に見えるがそのタクティクスは精巧で知的、パープラモンスターズの知識が深く、この話になると饒舌になる、速攻デッキを憎んでおりそれを使っている人間とは口を聞かない。
『ちょこ』民度最悪のPVP(対人戦)界隈の希望の星、暴言を吐かない、煽りもしない、負けそうになっても切断しない、ちょこにはそれが出来る、そしてそれが出来ない人間ばっかりなのがPVP界隈である。
『RON』模範的PVP民、非常に態度が悪い、かっこいいという理由で二刀流だが、実際に戦う時に片方ずつ順番にしか手が動かない、それを指摘されるとブチギレる。




