10月11日 海美高校vs聖徳高校(引退試合Ⅴ)
なんだろうな。この不思議な感覚は。俺は、心の中にある漠然としたモヤモヤがあった。このモヤモヤが何なのかは理解できないけど、何か変えたかった。俺は、この先どうすれば納得ができるのか?自分自身でもよくわからなかった。
ー10月7日ー
試合は、前半32分を終え1対0。現在、聖徳高校の反撃中といったところだった。この猛攻を頑張って凌げるのだろうか?一ノ瀬は、ディフェンス陣に指示をしながら動き回っていた。それよりも、さっき新田が言っていた佐藤という選手気になるな。佐藤は、少しずつではあるが、コート内において目立つようになっていた。
俺 「佐藤って奴なんか上手くないか?」
新田「お前もそう思うのか?」
俺 「まぁ、サッカーは詳しくわかんないけど。なんとなくな」
一点を先制された聖徳高校は、ビハインドを感じさせない試合運びのようだった。まるで聖徳高校がリードしているかのようにボール回しをしている。
新田「狙ってるんだろうな」
俺 「何を?」
新田「チャンスを」
俺 「そうなの?」
聖徳高校は、中盤ラインにいる工藤、唐沢、原田とボールを繋ぎ野木まで渡すと再び、原田、唐沢、工藤とボールが戻っていく。何をしているのか素人にはわからなかった。
新田「たぶん、どこかで仕掛ける」
俺 「そうなの?」
新田「ああ。絶対にな」
次の瞬間、工藤から井沢へと縦のパスが通る。それに呼応するかのように中沢が中央へとボールを運ぶ。既にペナルティエリアには、宝来や辰巳などみんな一生懸命に走り回っていた。こいつらは、こんなところにいるけど大丈夫か?
俺 「やばいな」
新田「その通りだ」
新田が話をした次の瞬間、ボールは中沢から聖徳高校の宝来へと渡る。きたボールを押し込む。それだけと言わんばかりに豪快にゴールポストへと突き刺さったのだった。さすがだな。
俺 「やばいな、本当に一瞬だったな」
新田「だな。あんな簡単に点が入るとはな。俺も驚きだよ」
俺 「点決めた奴が宝来か」
新田「ああ。やっぱりここ一番で決める力はさすがとしか言いようがないな」
ゴールを決めた宝来だったが、大して喜んでる姿は見られなかった。
新田「これで1対1だな」
俺 「サッカーって流れとかあんの?」
新田「いや、俺も経験者じゃないからわかんないよ」
ホイッスルが鳴り、再び試合が始まった。




