10月10日 海美高校vs聖徳高校(引退試合Ⅳ)
新田「うぃっす!」
俺 「おう」
今日もダルそうに、新田はカバン置いた。
新田「今日も勉強ばっかじゃねぇか」
俺 「学校なんだから、当たり前だろ」
ー10月7日ー
1点を追いかける聖徳高校の猛攻が始まっていた。沢田、宝来、工藤が相次いでシュートを放っている。ゴールこそ決まっていないが、海美高校は、ハラハラしていることだろう。俺たちは、静かにしながらグラウンドの選手たちを見つめていた。
新田「やっぱ、すげぇな」
俺 「なんか、違うな」
新田も俺もアイツらに魅了されている。
新田「今、何分だ?」
俺 「今は、、、、、、、11時25分だ」
11時から始まったため、今は前半25分ということか。残り20分。
新田「一ノ瀬以外も意外に頑張ってるな」
俺 「ああ。俺も知らねぇ奴ばっかりだけど、あの9番の奴は凄いと思うぜ」
新田「あれは、佐藤玄師だ」
佐藤玄師?あまり聞いたことのない名前だな。攻め続けられていたが、一ノ瀬たちの目は、相手チームのゴールを見据えていた。
俺 「誰、そいつ?」
新田「何組か忘れたけど、有名らしいよ」
俺 「有名なんだ」
新田「たしか、五十嵐と付き合ってるっていう噂があるんだ」
俺 「五十嵐がイマイチぴんときてねぇよ」
試合は、聖徳高校のボールになる。海美高校のディフェンス陣をどんどんかいくぐっていく。やばいな、これ。そして、ボールは主人公である背番号10のあの男に渡ってしまう。
新田「ヤバいって」
そう叫んだころ、沢田は豪快に右足からシュートを放ったのだ。キーパーは、動けずそのままゴールネットに吸い込まれていったのだ。点をとられた海美高校の選手たちは、どこか諦めているような姿勢に見えた。そして、下を見ながら真ん中のラインへと戻っていくのだ。明らかに、空気が悪くなっているようだ。それだけ沢田が凄いということだろうか。まだ、試合は終わってないのに。
新田「この時間に同点かぁ。凄いな、聖徳は」
俺 「まぁ、王者だからな」
新田「後半は、もっと近く行こうぜ」
俺 「ああ、いいけど」
なぜ、近くに行くのかはわからなかったけど、新田の言うことに同意したのだった。海美高校も素早いパス回しと連携ができればな。もう少しボールを保持できるのに。それどころではないんだろうな。前半29分。再び、試合が再開したのだった。




