表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/75

10月2日 厳しい

 どうやら、引退試合とはいえ向こうはベストメンバーを揃えてくるらしい。


 俺 「アイツだけは、よくわかねぇんだよ」 

 新田「でも、意外とお前らお似合いだけどな」

 俺 「どこがだよ」


 お似合いなぁ。俺は野球、一ノ瀬はサッカー。やっぱり、水と油の関係だ。


 新田「次の引退試合にかけてるんだから、手伝ってやれよ」

 俺 「そんなに引退試合って大事なのか?」 

 新田「大事なんじゃねぇの」

 俺 「俺にはわかんねぇよ」


 引退試合を一ノ瀬みたいに気合いをいれる理由がわからなかった。初戦、最後の思い出作りなのに。


 新田「お前もこの前引退試合したろ?」

 俺 「そこにかけて何かしたとかはなかったからな」 

 新田「アイツもいろいろあったんだよ」

 俺 「いろいろ?」


 新田の言葉がひっかかった。


 新田「ああ。うちのサッカー部って弱いだろ?」

 俺 「そうだな」 


 海美のサッカー部が強いなんてこれまでも聞いたことがなかった。けど、一ノ瀬の名前だけはずっと聞かされていた。


 新田「それでも、アイツが変えていったんだよ」

 俺 「ふーん」

 新田「最初はメンバーすらいなくて、部員集まるところからしてたんだぜ?」

 俺 「そんな時あったんだ」 


 それは意外だ。想定外だった。


 新田「ああ、あったよ」

 俺 「全く知らなかったぜ」

 新田「お前は、もう少し相手のこと考えろよな」

 俺 「そう言われてもな」


 新田が何が言いたいかはよくわからなかった。


 新田「最終的には県大会までいって、全国いった聖徳と互角に戦ったんだ。大したもんだぜ」

 俺 「アイツって何者なんだ?」

 新田「何者?」


 少し下を向いた。


 俺 「ああ。だって金持ちなんだろ?でサッカー上手いならわざわざ海美選ばなくてもいいんじゃないのか?」 

 新田「海美しか行けなかったんだよ」


 海美しか?


 俺 「どういうこと?」

 新田「アイツの家は、親が厳しいんだよ」

 俺 「親?」 


 髪の毛をかきあげた。


 新田「ああ。私立いくなら、海美よりも賢いところないかないといけないんだよ。だから、聖徳も淮南も無理。かといって、他の私立は海美よりも学力が落ちるんだよ」


 真面目な新田を見ると、なんとも言えない気持ちになった。


 俺 「ああ、そういうことか」


 今の説明で納得がいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ