9月30日 案
新田 「お前ら仲良くなってねぇか?」
一ノ瀬「ねぇよ」
最近、一ノ瀬とよく話してるのを見て、新田はそう思ったようだ。
俺 「新田、おかしいんじゃね」
新田 「そんなにつめられてもな」
新田は、俺と一ノ瀬の両方から責められてしまう。
一ノ瀬「俺らは、仲良いとかじゃねぇんだよ」
新田 「じゃあ、なんだよ?」
すぐさまつめかえしてくる新田もさすがだった。
一ノ瀬「コイツと仲良くなれるわけねぇだろ」
新田 「そうなのか?」
たしかに、学校で話すとなったら野球部ではなく、コイツら二人と話すことが多い。すると、一ノ瀬が話題を変えた。
一ノ瀬「それより、お前ら暇なら、俺のリハビリに付き合えよ」
俺 「は?なんでだよ」
よくわからない。なんてワガママなんだよ、コイツは。
一ノ瀬「聖徳との引退試合に出るためだ」
俺 「そんなの勝手にやれよ」
この前言っていたやつか。
新田 「まぁ、手伝ってやれよ」
一ノ瀬「じゃあ、新田は確定な」
新田 「えー、めんどくさ」
一ノ瀬の口車にのせられたようだ。
俺 「ハハハハ。新田は、ちゃんと手伝えよ。俺は帰るけど」
新田 「はぁー、お前も手伝えよ」
こんなアホにつきあってられるかよ。
俺 「なんでだよ、めんどくさいのに」
一ノ瀬「じゃあ、春風お前も手伝え」
俺 「お前、なめてんのか俺のこと」
これ以上言ってきたら、コイツと争ってやろうか、ホントに。怒りが沸々と湧いてきた。
一ノ瀬「今なら、おれの家貸してやってもいいぜ?」
俺 「どういうことだよ?」
よくわからなかった。
一ノ瀬「俺の家、室内練習場あるんだよ」
俺 「は?」
室内練習場というワードに、なぜか俺は惹かれていた。
一ノ瀬「俺のところなら、雨でも朝でも夜でも好きに練習できるぜ?」
新田 「たしかに、お前のところ金持ちだったよな」
一ノ瀬「ああ」
一ノ瀬の提案は魅力的だった。ただ、コイツのいいなりになるのもなんか嫌だ。
新田 「じゃあ、行ったら何をしないといけないんだ?」
一ノ瀬「俺にボールを出してくれたらいい」
新田 「玉拾いってことか?」
一ノ瀬「ああ」
それだったら、俺にとってはメリットの方が大きい気がした。
俺 「俺は、いつ練習使っていいんだ?」
一ノ瀬「俺がいる時ならいつでも」
この案にのるしかなかった。




