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9月23日 怪我

 ここ最近ずっと、一ノ瀬と一緒にいることが多かった。あれだけたくさんいると、なんとなく一ノ瀬のことに介入してしまう。


 一ノ瀬「お前も一人なんだな」

 俺  「俺は、いつも一人だよ」


 すぐさま言い返した。俺は、一人でも全然気にならなかった。


 一ノ瀬「つまんねぇな」

 俺  「お前もだろ?」


 俺も一人だけど一ノ瀬も同じじゃないかと思ってしまう。


 一ノ瀬「今はな」

 俺  「今は?」


 コイツのサッカーセンスがあればたくさんの人がよってくるはずなのにコイツはそうじゃない。おそらく、俺たちがわからないだけで何かあるんだろうな。


 一ノ瀬「ああ。目標がなくなっただけだよ」

 俺  「俺も怪我したけど、目標は設定したよ」


 コイツも目標が定まればもっと変わるのかもしれない。


 一ノ瀬「目標?」

 俺  「ああ。大学1年の時に復活できるようにあるに目指してるよ」


 目標が決まってそこに夢中できるのは、とても幸せなことだった。


 一ノ瀬「最後の大会出てないんだろ?」

 俺  「ああ。怪我してから部内でもうまくいかなくてな」

 一ノ瀬「ふーん」


 めずらしく何か言ってくることはなかった。コイツなりに遠慮してるということなんだろうな。


 俺  「だから、お前も怪我治せば大学でやれるだろ?」

 一ノ瀬「大学でサッカーなんてするかよ」


 俺も最初は、そんな気持ちだった。けど、一度切り替えることができれば代わっていく。


 俺  「そんなにサッカーに興味ないのか?」

 一ノ瀬「ああ」

 俺  「おもんねぇな」


 なんで興味ないやつが、こんなにサッカーが上手いのだろう。これは、一ノ瀬が期待されている証拠だ。


 一ノ瀬「サッカーなんて、フィジカルが全てだからな」

 俺  「お前は怪我しやすいのか?」

 一ノ瀬「ああ。3年間で4度も怪我したんだよ」

 俺  「そんなに怪我したのか」


 たしかに、そんなに怪我したら自分だけだと思ってしまうのは理解できる。


 一ノ瀬「ああ。だから、この前の大会で負けたら終わりにしようってずっと決めてたんだ」

 俺  「それは凄い覚悟だな」

 一ノ瀬「自分ではそう思わないけど」


 でも、一ノ瀬なら大学でもやれる。他人なのに、俺はそう思ってしまった。


 俺  「もう怪我は治ってるのか?」

 一ノ瀬「いや、まだ直ってないけど」

 俺  「だったら、治るまで待てばいい」


 コイツにも怪我を治してもう一度プレーしてほしかった。

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