9月22日 凄さ
リレーで勝ったのはいいけど、勝ったのに余計話さないといけなくなっていた。まぁ、いいけど。一ノ瀬に対しての憎しみがあるわけでもないし。ただ、コイツが生意気にしてるのが癪に障るだけだ。ただ、サッカーはめちゃくちゃ上手いというのは以前から聞いていた。サッカー部の頃は、エースだったらしい。県大会で負けたから全国にはいけなかったけど、近くの聖徳高校がいったのだから、そんなに大差もないんじゃないかと思っていた。けど、コイツは県大会で怪我をして最後の試合を終えたと聞いていた。
俺 「もうサッカーしないのか?」
一ノ瀬「しねぇよ」
なんでしないのか?それは怪我が理由だろう。
俺 「なんでだよ」
一ノ瀬「そんなのわかってるだろ」
俺 「悔しいのか?」
煽るように一ノ瀬の方を見つめた。
一ノ瀬「悔しくねぇよ」
俺 「お前、ベストイレブンに選ばれたんだろ」
この前の雑誌にコイツの名前が全国大会に出る聖徳高校の選手たちの近くで書かれていた。
一ノ瀬「そんなの凄くねぇよ」
俺 「そう?」
結局、コイツも俺と同じで過去と戦っているうちの一人だった。だからこそ、気持ちもわからなくもなかった。
一ノ瀬「当たり前だ」
俺 「ここら辺だと、聖徳の3人と淮南の藤森が凄いんだろう?」
ちょうど雑誌に載っていた名前だ。
一ノ瀬「そんな大したことねぇよ」
俺 「へー、なるほどな」
決して他者のことにもふれないんだな。
一ノ瀬「そんな俺のサッカーの実力が気になるのか?」
俺 「ああ。ホントに上手いかどうかな。ハハハハハ」
一ノ瀬は、まったく笑っていなかった。少しは笑えよな。
一ノ瀬「俺からしたら、他の奴らが上手いとか下手とかじゃないんだよ。それぞれ秀でてるところが違うんだよ」
俺 「お前は、どこが凄いんだよ?」
何も考えずに言ってしまった。
一ノ瀬「俺は、ドリブルだ」
俺 「ドリブルなんだ。じゃあ、他の奴らは?」
サッカーの詳しいことはわからない。けど、いろんなことをしりたいという思いがあった。
一ノ瀬「沢田は決定力だし、藤森はロングシュートだな」
俺 「みんな凄いってことなら、なおさら気になるな」
俺は、野球しかしてこなかったからサッカーの凄さはわからない。それでも、最後は個人競技じゃないかと思っていた。




