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9月19日 似た者同士

 ゆっくり教室に帰ってきた俺を見つけると唖然としている新田がいた。


 新田「お前、何してたんだよ」

 俺 「えっ?サボってたけど?」 


 俺の即答に、新田は、笑ってしまっていた。何がそんなに気に食わないんだろうか?少し間を空けて、口を開いた。


 新田「さっき、お前いなくて大変だったんだから」

 俺 「何で大変なんだよ?」

 新田「さっき体育祭のこといろいろ決めてたんだよ」

 俺 「そうだったんだ?」 


 体育祭かぁ。たしか、後14日くらいだっけな。まだ、さっき食べたクリームパンの甘い香りが口の中に残っていた。


 新田「ちゃんと来いよ」

 俺 「まぁ、めんどくさいしな」

 新田「めんどくさいとか言うなよ」


 俺は、新田の顔を見て、何を考えてるのか考えてみた。


 俺 「そんな大袈裟だろ」 

 新田「だって、リレーでキレてたぜ?」

 俺 「誰が?」

 新田「一ノ瀬」

 俺 「うわ、マジかよ」 


 一ノ瀬は、海美で唯一俺と互角にはりあえる奴だ。小中高とサッカー部に所属。しかし、チームは弱く大会で勝つことはほとんどなかった。そんな弱小チームだったけど、県選抜に選ばれここらへんでは有名な生徒らしい。


 新田「お前もキレさせるなよ」

 俺 「めんどくさ」


 なんで、アイツ走るんだよ。鬱陶しいな。


 新田「アイツもお前と一緒で特別なんだよ」

 俺 「俺の方が特別だよ」 

 新田「相変わらず言うねー」

 俺 「当たり前だろ?あんな二流サッカー選手と一緒にするな」


 ずっと、一ノ瀬のことは考えないようにしていた。考えていたらモメるから。仲は悪いけど、高1の頃から3年連続で同じクラス。だから、離れたくても離れられないのが一ノ瀬だ。けど、俺たちはどこかで似ているのかもしれないと思った。お互い一生懸命やってるのに、どこか周りに受け入れてもらえない。周りとズレているように感じてしまう。


 新田「ハハハハ。お前らも相変わらずだな」

 俺 「何がだよ」 

 新田「お前ら仲良くすればいいのに」

 俺 「できるか、アイツと」

 新田「でも、アイツならお前と合いそうだけどな」

 俺 「そうか?」 


 なぜ、新田がそう思うのかわからない。たしかに俺も変わってるけど、一ノ瀬は俺の数倍変わっている。友だちと話してるところなんて見たことがないくらいだ。一匹狼にもほとがあるぜ。とりあえず、リレーの何でキレてるか確認しようと新田に質問をし始めたのだ。

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