9月14日 自分を理解し続けること
俺は、あれからいろいろ考えてしまっていた。なぜ、打てなかったのかと。ピッチャーとして一流になりたいという想いは強いけど、それだけじゃない。俺は、野球の全てにおいてセンスがあると思っていた。これは、自慢でもはない。それだけやれるという自信があった。当たり前だけど、根拠など何一つない。小学校からなんとなく野球を始め、一度も上手くいかないと感じたことすらなかった。常に4番でエース。背番号も「1」以外つけたことがない。試合も常に出ていたし、自分を客観的に見ると言う誰しもがしてきたことを自分はしてきてなかったんだと今さら気づいたのだ。
昨日、湯浅と対戦した結果、3打数0安打。自分の力不足を痛感してしまった。ピッチャーゴロ、レフトフライ、ショートゴロという結果だった。思ったよりも打ちにくかった。自分なりにタイミングを測って、捉えたつもりが真芯に当たらない。言い方は悪いけど、湯浅を打てなきゃ、他のピッチャーも打てないだろう。もしかして、、、、。脳裏に嫌なことを考えてしまった。
この前、入学テストの時対戦した本多は、もしかしたら本気じゃなかったんだと思い始めた。ありえる、アイツなら。昔のことを思い出すとイライラしてしまう。それよりも、自分に足りてないのが何かを考える必要があった。おそらく、それは出力だと思っていた。ピッチングでもバッティングでも、ボールに力が加わっていない気がした。これは、この前対戦した本多や梅澤を見て思った。この出力を上げるためには、ただトレーニングを積んでも上がらない。適切なピッチングフォームとバッティングフォームを手に入れないと。あっ、そうか。
ようやく、繋がったのかもしれない。いいピッチングフォームを手に入れるには、一人じゃできない。よくないと指摘してくれる仲間がいて、その指示を受け入れなければならない。野球ノートに書いてあった"自分を理解し続けること"というのは、今の俺に一番必要な力なのかもしれない。おそらく、最も苦手で最もできていないことなんだと気がついた。けど、ここで変われたら自分の何かがよくなるかもしれない。監督に言われてから、少し自分の価値観がアップデートされたような気がしていた。今までは、野球。特に、自分のピッチングにしか気に留めていなかった。けど、それが間違っていたことにようやく感じ始めた。けど、まだ、何が正解かわからない。




