9月11日 目標達成に必要なものを考え続けること
ランニングをしながら考えていた。今日は、雨だ。薄暗い空の下、アスファルトの道がまっすぐ伸びていた。いつもより一歩一歩が重くのしかかる気がした。けど、俺の体は自重しなかった。雨粒は、容赦なく俺の顔にに叩きつけるような感じだった。雨脚が強まっていくが、もう少しで辿りつく。
目標達成に必要なものを考え続ける。これは、10ヶ条に書いてあった。意味は理解できるがどうすればいいだろうか?そうすると、さっきまで苦しかったのが違うことを考え始めた。走りながら、思い浮かんだのは、またあのマウンドに立つこと。そのためには、考えないとな。ただ、監督に言われた練習メニューをこなしているだけではダメなのはわかっていた。投げられないけど、打つことはできる。今日は、バッティング練習に参加さしてもらおうと思っていた。ただ、トレーニングだけしていると、モチベーションが上がらない気がする。
モチベーションを上げるには、戦いが必要な気がする。一人でトレーニングは続かないし。となると、バッティングの対戦、トレーニングのゲーム性。この二つが必要だな。この二つをしてくれそうな人がいるのだろうか?そうだ。バッティングの対戦となればピッチャーだ。いいピッチャーはいるけど、アイツがいい。アイツとは、俺が入った後に来た湯浅守だった。まだ、直接話したことはないけど、淮南高校のエースだったことは聞いている。
アイツだったら、いい練習になりそうだ。同じ地区だし、何か言われることはないだろう。今年、淮南高校は、県大会ベスト8だったんじゃないかな?エース湯浅、2番手の佐藤の二人を擁して勝ち上がってきた。特に、3回戦の守田工業高校、4回戦の聖徳高校と同じ地区に勝ったのは印象的だった。惜しくも、白峰工業高校には敗れてしまったけど、最後までいい試合だった。最初、このチームに入ってきたと聞いた時は、驚きしかなかった。まだ、直接会って話していないから、そろそろ会うだろうと踏んでいた。
距離を重ねるごとに、何をすればいいのかが明確になってきた。俺がやることは行動すること。その先に、何か新しいモノを獲得できる気がしていた。もう、そろそでゴールだ。この角を曲がった先がおれのマンションだ。よろめきながら、俺は前を向く。ゆっくり立ち止まり、達成感に満ち溢れていた。肉体的にも精神的にも限界まできていたということもあり、何も動けないでいた。雨が顔から流れ落ちるのを腕で拭った。




