9月8日 目標をたて続けること
監督からもらった野球ノート。10ヶ条の1番目にある「目標をたて続けること」。これが実に難しいことを感じていた。自分なりに、いろいろ目標を立ててみたが、どれも実感がわかない。昔から、目標に向かって何かするというのが苦手だった。そんな俺が、急に目標とかを立てようとするもんだから、余計、自分のペースが狂ってしまう。
とりあえず、自分の中で3つの目標を立てることにした。一つ目が、"毎日8kmのランニング"。二つ目が、"毎日野球ノート1ページ"。三つ目が、毎日ストレッチ15分"。この3つの中で一番難しいのが、毎日8kmのランニングだ。もともと走るのは嫌いじゃないから、俺にとっては問題なかったけど、走ることによって体が悲鳴をあげないかということが心配だった。一度、肘を怪我してから、何をしてもすぐにブレーキがかかってしまう癖がついてしまったのだ。
たしかに、ストレッチや定期的に病院に行っていれば、防げるとは思う。けど、動いてしまうとどこまでやっていいのかわからない自分に不安があったのだ。あの時、怪我をしてから、もう怪我をしたくないという強い思いが自分の中から、なくなることはなかった。でも、練習やトレーニングをしないと上手くなることはない。この葛藤がすごい自分を苦しめている要因な気がしていた。とりあえず、明日、監督にこの目標を見せにいくから、そこで考えようと思っていた。
怪我は怖いけど、この目標をたて続けることができたら、もっと成長できるんじゃないかという思いもあった。今までしてこなかった、できなかったということが変われば、これまで以上に自分も変わるんじゃないかという期待もあった。そんなことを考えていると、もうすぐ引退試合があることに気がついた。この前、中田が話してくれた引退試合。途中でやめた俺からすれば、なぜ行く必要があるのか理解できなかった。たしかに、中田からの頼みではあったが、他の奴らが快く思っていないのは想像できた。そんな中で、行って意味があるのだろうか?
監督からもらった野球ノートに再び目をやった。俺には、"長野エフォーターズ"という野球ができる場所ができた。わざわざ、部活動に固執する必要がないのだ。中田には悪いけど、今度会った時に、「行かない」ことを告げようと考えて、野球ノートを閉じたのだった。




