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9月6日 配布


 監督「慣れたか?」

 俺 「全然です」


 前よりは、優しくなった気がする。


 監督「お前って、意外と友だち少ないんだな」

 俺 「意外じゃないですよ。俺は一人です」


 昔から1人。俺は、そう育ってきた。


 監督「そうやって、ツッぱっていられるのも今のうちだぞ?」


 監督の言った言葉の意味がよくわからなかった。


 俺 「どういうことですか?」

 監督「そのままだよ」

 俺 「えっ?」

 監督「自分で考えろ」


 あまりにも理解ができない俺に呆れたみたいだ。


 俺 「はい」

 監督「あっ、そうだ。これ」


 手渡されたのは、またしても、野球ノートだった。今度は誰のだろうか?


 俺 「誰のですか?」

 監督「読んだらわかる」

 俺 「わかりました」


 俺は、ページをペラペラとめくっていく。練習メニューは、ピッチャーの様だ。練習メニュー的に、高校生だろう。高校生のピッチャーは、そう多くない。誰だろう?


 監督「わかったか?」

 俺 「いや、わからないです。けど、高校生のピッチャーということはわかりました」

 監督「そうだな」


 高校生のピッチャーということは合っているみたいだ。


 俺 「でも、誰だかはわかりません」

 監督「わからないのか?」

 俺 「はい」


 驚いているみたいだった。驚いている顔を見て、俺は驚いてしまう。


 監督「相変わらずだな、お前も」

 俺 「そうなんですか?」

 監督「ああ。普通に考えればわかるだろ?」

 俺 「えー、、、、、」


 いろいろ考えるが、全然出てこない。


 監督「わからないか?」

 俺 「あっ、わかりました」

 監督「誰だ?」

 俺 「坂本です」


 坂本竜。東中高校のピッチャーだ。


 監督「違う。どう見ても、左ピッチャーのメニューじゃないだろ」

 俺 「うーん」


 さっき見ただけで、左か右なのかなんて分からなかった。

 監督「わからないみたいだな」

 俺 「はい」

 監督「お前だよ、お前」

 俺 「えっ?あっ、、、、、俺のやつですか?」 


 驚きのあまり、もう一度野球ノートを見返したのだった。


 監督「ああ、大事に使えよな」

 俺 「ありがとうございます」

 監督「二つ目は、ないからな」

 俺 「わかりました」

 

 ようやく野球ノートを俺も貰える存在になったんだと思うとなんだか嬉しくなっていた。

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