9月5日 野球ノート
昨日、梅澤の野球ノートを見させてもらった。そこには、さまざまな事が書かれていた。まずは、練習メニュー。これは、目標から逆算されたものが書かれていた。梅澤であれば、10試合でホームラン6本とと書かれており、そのために筋力強化のメニューとなっていた。その筋力強化の練習メニューも驚くべきものだった。俺は、梅澤にノートを渡す前に、一通り目を通した。そこから、梅澤に渡し、本人の様子を遠くから見守っていたのだった。
梅澤は、練習メニューを読むのに30分ほどかけた。そして、読み終わるとすぐに監督のもとへとむかった。監督は、手とり足とり梅澤に話をしている様子だった。監督と話している時間は、約20分に及んだ。その話が終わると、監督が提示した練習メニューをこなしていったみたいだった。一番最初に、彼は、バッティング練習からだったが、なかなか始めない。どうやら、ずっと素振りをしている。あの監督は、基礎や体力づくりが好きな印象を受けた。
好きというより、それを大事と考えているのだろう。5分、10分と経ってもなかなか終わらない。他の中間、高井などがバッティング練習を終わっても全く始めない。もう、練習メニューが変わらない。もしかしたら、フリーバッティング30球というのは書いてあるだけなのかもしれないと思ってしまった。結局、この日、監督がいる20時まではずっと素振りをしていたのだった。アップが済んで、キャッチボールをした後だから、約2時間素振りをしていたことになる。2時間素振りなんて聞いた事がない。
しかし、梅澤が凄いのはそれだけではなかった。2時間素振りをした後に、練習メニューだったフリーバッティング30球を行ったことだ。梅澤がバッティングをした頃には、ほとんど選手も残っていなかった。俺は、梅澤が打ったボールを拾っていた。30球、それぞれレフト、センター、ライトと打ち分けるものだから、俺はフェンス越しを歩かないといけなかった。フェンス越えは、約10本。やはり、白峰工業高校で野球していただけあったな。
さらに驚かされたのは、練習終わりだった。電子化されたタブレットのアプリから、一日の練習メニューに対するコメントが送られてくるのだ。だったら、最初からタブレットでいいんじゃないかと思うけど、それはそれで違うみたいだ。監督は、野球ノートとタブレットの二つを使用して、自身のデータを管理、分析をしてほしいという想いがこめられていたのだった。




