9月4日 練習メニュー
監督「アップ終わったか?」
俺 「はい」
走り終わった俺は、監督に呼び止められた。
監督「じゃあ、そこ座れ」
俺 「はい」
急いでベンチに腰をかけた。
監督「今、肘はどんな感じだ?」
俺 「悪くはないです。順調にリハビリ進んでいると思います」
監督「そうか」
俺 「はい」
よかったのか?この返事で?
監督「ここから過ごす2年間は、お前にとって大きいぞ」
俺 「大きいんですか?」
監督「ああ。テキトウに過ごすのか。なんとなく過ごすのか。それによって、お前の野球人生は決まる」
俺 「はい」
そんなに大きいのか、自分でもよくわかっていない。
監督「もし、終わりたくないんだったら、俺のメニューをしっかりこなせ」
俺 「わかりました」
監督「必ず、俺が復活させてやる」
俺 「ありがとうございます」
心の中が熱くなるような感覚だった。
監督「お前は、2年後どうなっていたい?」
俺 「痛みを感じずに投げられたら」
監督「そんなのでいいのか?」
俺 「えっ?」
俺以上に監督の方が驚いていた。
監督「お前は、志が低いな」
俺 「いや、今はそれができないんで」
言い返したが、それが間違っていることに気づいた。
監督「そんなレベルが低い奴の相手はできないな。お前、それでも本気で努力してるのか?」
俺 「してますよ」
監督「だったら、日本一のピッチャー目指せよ」
俺 「‥‥」
日本一、、、、。
監督「このリハビリを怪我を治すんだと思うな。もっと高いレベルを目指すために休むんだと思え」
俺 「‥‥」
言葉が出てこない。
監督「それができるなら、もっと教えてやる」
俺 「わかりました」
監督「詳しい練習メニューはまた、今度伝える」
俺 「はい」
また、こうして野球ができる。それだけでありがたかった。
監督「じゃあ、外野のボール拾ってこい」
俺 「わかりました」
監督「頑張れよ」
俺 「はい」
俺は、腰を上げて外野に向かおうとした。
監督「あと、これ梅澤に渡してこい」
俺 「何ですか?これ?」
監督からは、ノートが渡された。
監督「トレーニングメニューだ」
俺 「そうなんですね」
監督「ここでは、一人一人合わせて作るんだ」
俺 「なるほど」
なんとも親切だ。
監督「野球は一緒だが、やることは一人一人違う。それは忘れるな
俺 「わかりました」
深い言葉だ。




