9月3日 単刀直入
俺 「お願いします」
監督「ああ」
黙って俺が提出したプリントを見つめていた。この沈黙は、妙に怖かった。俺は、監督が話すまで何も話せない。
監督「なんだ?気になることあるのか?」
俺 「一つ聞きたいことがあるんです」
恐る恐る監督の顔を見つめた。
監督「なんだ?」
眉間にシワを寄せながら、俺の方を見てきた。怖すぎるだろ、あの顔。
俺 「学校って行かないとダメですかね?」
単刀直入に聞いた。
監督「お前はどう思う?」
すぐさま、返事をしてきた。
俺 「俺は、行かなくていいと思ってます」
監督「なぜだ?」
なぜ?自分の中で答えは決まっていた。
俺 「学校って、何のために行くんですかね?」
監督「お前は、どう思うんだ?」
自分の答えをなかなか言ってこなかった。どうしてだろうか?
俺 「俺は行かなくても影響ないと思います」
監督「だったら、行かなければいい」
切れ味鋭い変化球が来たような感覚だった。
俺 「‥‥」
何も言えなかった俺は、目線を下げた。
監督「お前は、自分の納得が大事なんだろ?」
俺 「どういうことですか?」
自分の納得?
監督「お前が納得できるかどうか、それは他の大多数の人にとって関係ない」
今度は、150kmのストレートが胸元に来たような感覚だ。
俺 「‥‥」
再び、監督の方に目をやった。
監督「お前のために社会が作られているわけではない。嫌なら行かなくていい」
その通りだ。ずっと、それはわかっていた。けど、それを受けてしまうと何もやらなくなってしまう自分がいることも理解していた。
俺 「そうですか、、、、」
監督「俺に答えを求めるな」
まさに、その通りだ。もしかしたら、俺は、自分の考えを誰かのせいにしたかっただけなのかもしれない。
俺 「わかりました」
素直に頷くしかなかった。
監督「ただ、聞きにきたということだけはよかった。だから、ヒントだけ教えてやる」
俺 「ありがとうございます」
会釈をして、監督の話に耳を傾けた。
監督「この世の中、お前の納得なんて関係ないんだよ。ルールや社会が嫌なら、お前が変えろ。嫌なら、嫌と抗えるように結果をだせ!!」
監督の言葉に反論の余地はなかった。俺は、ただただ監督の顔を見つめるので精一杯だった。




