8月31日 ストレッチ
8月最終日。俺は、ストレッチをしていた。外は、まだ夏の日差しが強く感じられるみたいだった。学校から帰ってきた俺は、ベットに寝転びながら、窓の外から聞こえる小学生の声に耳を傾けていた。どうやら、外は、何人かの小学生が何かで遊んでいるみたいだった。
俺は、再び野球を始めることができる算段がついたので、この後、ランニングをしに行くことにした。長野エフォーターズに入ったとしても、今の肘の様子だと試合に出ることは難しい。なので、監督からは、2年をかけて投げるように言われた。そして、練習メニューも渡されたのだった。ここまでしてくれるのは、とてもありがたい。
自分ではこんなメニューは作れなかった。監督を完全に信頼したわけではない。それでも、少しは信頼してみようかなと思った。一人では生活できないのはわかっている。けど、わかっていてもなかなかできない。監督からは、次くるときに、目標を立ててこいと言われたのだった。ストレッチをしながら、俺の目標を考えていた。大きな目標で言えば、2年後にマウンドに立つことだった。監督からは、3つの目標を立てるように言われている。
残り2つは、もう少し具体的なものの方がいいのかな?プロ野球選手とかだったら、球速やコントロールを目標に立てている人が多い気がした。俺は、そういうものに興味がない。勝てる投手であれば、球速もコントロールもいらない。だから、ランニング5kmとかそういう目標にしようと思っていた。けど、どれくらいの練習量が適切なのかすらあまりわかっていなかった。明日、病院に行く連絡をすぐさま入れた。予約がとれるかはわからなかったが、時間があるならチャンスだ。あと前から気になっている奴もいる。明日なら、会えるかもしれないと思った。
俺が気になっているのは、"瀬戸"という奴だった。俺と同年代くらいの高校生じゃないかと勝手に思っていた。時間があれば、いつか声をかけてみたいが、女子ということもあり、簡単にはいけない。8月最終日。俺は、私は監督と3度面談したことをこれからも忘れることはないだろう。あの日の出来事は一瞬にして思い出せるくらい鮮明に覚えている。また、来年の夏、同じことを考えていたら、なんだか嬉しい。俺は、8月の思い出をふりかえりながら、明日からの9月をどう乗り切るかを考えていた。ストレッチが終わった俺は、立ち上がったのだ。




