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8月28日 バッティング

 昨日の船曳のバッティングには、呆気にとられた。あんな広いグラウンドフェンスを高校生が軽々超えるなんてありえないだろう。また、野球に取り組む姿勢も俺なんかと全然違う。バットを手にした瞬間、一気に表情が変わる。真剣な顔つきでピッチャーから投げられるボールを見つめている。フェンスを超えてもなお、納得いかない姿は、ただの野球少年ではない気がした。

 小柄な体格なのに、そのバットスイングは凄まじかった。船曳がこのチームにわけがあったみたいだ。そこには、知り合いの人見練という選手がいたのだった。俺は、彼の横でいろいろ話を聞いていた。どうやら、毎日のように、バッティング練習をかかさないでいたらしい。人見という選手も相当な選手だが、努力だけは彼に及んだことはなかったらしい。

 彼が打ったボールは空中に高く舞い上がる。力強いスイングは、他の大学生と混ざっても遜色はない。バッティングゲージは、4つありそこから矢のように飛び交うボールを見つめていた。彼のバットにぶつかる音は、他の選手とは少し異なった。周りの大学生もその迫力あるバッティングに引き込まれ、一時中断する。こんな選手ですら、スタメンになれないのか。なんだから野球の奥深さを感じてしまっていた。

 そんな俺の考えとは、対照的に船曳の田中の心は完全に練習に集中しているみたいだった。雑念のないバッティング。そんな様子に釘付けになっているのは俺たち選手だけではなかった。あの監督も熱心に見つめていた。どんなことを考えているのだろうか?連続でボールがくるが、バットを手を離さず打ち続けた。最後の一球は、ライトスタンドへと飛び交った。他の選手たちからは、大きな拍手をされていた。

 船曳は、県外の選手ということであまり来られないが、特例で参加を認めらていた。俺は、その船曳のバッティング練習をただ見つめることしかできなかった。バッティング練習が終わった後、監督に呼び出されてた。そして、また面談を設定してもらえることになったのだ。船曳には、感謝しかない。後は、自分がどのように結果を出すか。それだけだった。一日たった今日もまだ、不思議な気持ちだった。なぜ、面談をしてもらえるようになったのか?俺のいない水面下でどのようなことが行われていたのかは全く知らない。けど、これ以上ないチャンスだ。ここで、結果を出さないなら、これからも結果は出せないと腹を括っていた。面談は、明後日。俺は、一体どうなるのだろうか?

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