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8月19日 大会15日目

 お盆が終わり、夏休みもあとわずかというところやできていた。大会15日目の今日は、2回戦が行われていた。熱戦が繰り広げられていた高校野球とは対照的に、自分の心は冷め切っていた。セレクションの監督にああ言われて、どこか思うところがあったのか?それとも野球自体に冷めてしまったのか?相変わらず、自分の人生すら決められずにいた。

 明日は、2回戦をともに勝ち上がってきた群馬北高校と道和高校の一戦が行われる。群馬北高校は、エースの中川。道和高校は、ショートの八乙女。それぞれ、プロ注目の選手たちがあい対することになっていた。俺もあの時、間違えなければこうした表舞台にたつことができていたのかな?もっと変わった人生、歩めていたのかな?

 たしか、あれは高校3年の4月ごろだった気がする。練習試合で江陵高校と対戦した時だ。俺は、6回まで無失点で江陵高校打線を封じ込めていた。しかし、味方打線がなかなか点をとってくれなかった。ツーアウト二塁というチャンスで3番の山本が入ろうとした時だった。"お前、ここで打てなかったら3番から外れろ"。俺は、つい口を滑らせてしまった。次の瞬間、ベンチから大きな怒鳴り声が響き渡ったのだ。

 あんなこと言わなかったらよかったのだろうか?今でもわからない。たしかに自分の言ったことがよくないことくらい俺でもわかる。でも、それは表現方法の違いだ。でも、心のどこかでそう思っていることは確かだった。自分の努力とアイツらの努力があまりも差があったのだ。今となれば、それが、原因であることは理解していた。でも、あの時はわからなかった。なんで、こんなにイライラしているのか?

 なぜ、言ったのか。そんな理由言えば、いくらでも出てくる。けど、言っても言い訳にしか聞こえないと思っていた。だから、監督との話し合いでも一切しなかった。ずっと、これが本心ですと言い続けた。それが、よくなかったとは思わない。こういう監督や選手のもとでやれば、多かれ少なかれこうした問題にはぶつかっていた。

 俺は、熱戦の高校野球のテレビを消し、リビングに向かった。変えられない過去のことをいつまでも掘り返していても仕方がない。それより、これからのことを考えた方がいい気がしていた。あれから、セレクションの監督とも会っていないし、お母さんとも話せていない。完全に孤立してしまっている状態であることに再び気づかされていた。

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