8月14日 大会9日目
今日は、大会9日目。俺は、ちょうど2試合目をしている時に家を出て行ったから、今は終わっている頃だろう。俺は、昨日考えていた内容を監督の前で披露していた。しかし、監督は、なかなかいい返事を返してくれない。俺は、嫌われているのか?こんな才能ある俺をとらなかったら、この先いいピッチャーなんて出会えないのに。皮肉をこめて、自問自答を頭の中で繰り返していた。
監督「決めたか?」
俺 「はい。ピッチャーします」
迷いなく答えた俺に次の質問を投げかけてきた。
監督「いつ治るんだ?」
俺 「これから病院なのでわかりません」
ごまかさずに答えた。
監督「今から入っても無駄金になるだろう」
俺 「大丈夫です」
なぜ無駄金になるのか理解できない。
監督「お前がお金を出しているわけではないだろ?」
俺 「はい。でも、それでいいんです」
お金のことなど俺にとってはどうでもよかった。
監督「お前もわかってないな」
俺 「どういうことですか?」
だんだん監督の顔が渋くなってきている。
監督「野球は、一人でできない。なぜ、それがわからない?」
俺 「それはわかります」
昔、似たようなことを聞いたことがあった。
監督「お前は、わかっていない。今のままなら、入っても試合に出られず終わるぞ」
俺 「それでもいいです」
自分の考えを曲げる気はない。
監督「変わってるな。なんで、それでいいんだ?」
俺 「俺は、野球さえできればそれでいいんです」
思ったことが口からスラスラでてくる。
監督「だったら、草野球や大学野球をやればいい。わざわざここに来なくてもいい」
俺 「ここだったら、上手い人とやれるでしょ?」
さすがにこの言葉は、まずかったか?さっきまで開いていた膨大な資料をまとめ始めた。けど、俺は間違ったことは言っていない。
監督「ダメだ。今のお前の考えではココに入るべきではない」
俺 「なんでですか?」
否定されても、俺は諦める気は全くない。真っ向から監督の意見に対して反論した。
監督「それを考えてこい。ちゃんとした回答をもってきたら、また話は聞いてやる。以上だ。今日は、帰れ」
まだ、面談が開始して10分ほどだったが、俺は返されるハメになった。スマホの画面には、大会10日目の試合速報が映っていた。




