表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/75

8月14日 大会9日目

 今日は、大会9日目。俺は、ちょうど2試合目をしている時に家を出て行ったから、今は終わっている頃だろう。俺は、昨日考えていた内容を監督の前で披露していた。しかし、監督は、なかなかいい返事を返してくれない。俺は、嫌われているのか?こんな才能ある俺をとらなかったら、この先いいピッチャーなんて出会えないのに。皮肉をこめて、自問自答を頭の中で繰り返していた。


 監督「決めたか?」

 俺 「はい。ピッチャーします」


 迷いなく答えた俺に次の質問を投げかけてきた。


 監督「いつ治るんだ?」

 俺 「これから病院なのでわかりません」


 ごまかさずに答えた。


 監督「今から入っても無駄金になるだろう」

 俺 「大丈夫です」


 なぜ無駄金になるのか理解できない。


 監督「お前がお金を出しているわけではないだろ?」

 俺 「はい。でも、それでいいんです」


 お金のことなど俺にとってはどうでもよかった。


 監督「お前もわかってないな」

 俺 「どういうことですか?」


 だんだん監督の顔が渋くなってきている。


 監督「野球は、一人でできない。なぜ、それがわからない?」

 俺 「それはわかります」


 昔、似たようなことを聞いたことがあった。


 監督「お前は、わかっていない。今のままなら、入っても試合に出られず終わるぞ」

 俺 「それでもいいです」


 自分の考えを曲げる気はない。


 監督「変わってるな。なんで、それでいいんだ?」

 俺 「俺は、野球さえできればそれでいいんです」


 思ったことが口からスラスラでてくる。


 監督「だったら、草野球や大学野球をやればいい。わざわざここに来なくてもいい」

 俺 「ここだったら、上手い人とやれるでしょ?」


 さすがにこの言葉は、まずかったか?さっきまで開いていた膨大な資料をまとめ始めた。けど、俺は間違ったことは言っていない。


 監督「ダメだ。今のお前の考えではココに入るべきではない」

 俺 「なんでですか?」


 否定されても、俺は諦める気は全くない。真っ向から監督の意見に対して反論した。


 監督「それを考えてこい。ちゃんとした回答をもってきたら、また話は聞いてやる。以上だ。今日は、帰れ」


 まだ、面談が開始して10分ほどだったが、俺は返されるハメになった。スマホの画面には、大会10日目の試合速報が映っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ