8月13日 大会8日目
昨日、監督に言われたことを踏まえて、明日もう一度面談をすることになった。正直、監督はバッターとして俺を期待しているわけではない。ピッチャーとして評価している。なので、バッティング練習をしても俺の評価は上がらないみたいだ。
俺が入団しようとしているチームは、"長野エフォーターズ"。3年前から発足されたチームらしい。選手は、高校生から大学生まで約50人。各ポジションに優秀な選手がいた。これだけの選手がいるのに、俺はわって入れるだろうか?俺が割って入りたいのが、投手陣だ。エースの本多に加えて、花崎、加山と大学の投手たちがとても充実していた。
【長野エフォーターズ】
1番 山瀬健二郎 二塁手 江南高校 3年生
2番 福谷舞斗 左翼手 長野科学大学 2年生
3番 中間祐希 一塁手 新海大学 2年生
4番 高井玲央 右翼手 黄葉大学 3年生
5番 関口賢太 中堅手 長野南大学 4年生
6番 小林克己 三塁手 小野穴大学 3年生
7番 梅澤直平 捕手 白峰工業高校 3年生
8番 八乙女真 遊撃手 道和高校 3年生
9番 本多耀 投手 豪海大学 3年生
練習は、月曜日から日曜日まで毎日行われている。土日は、練習に加えて試合もあるらしい。監督は、俺が投手として投げられるのであればチームに入っていいと言われていた。しかし、投げられないのであれば、来年以降に大学で野球をした方がいいんじゃないかと提案された。監督の言う通りだ。俺がやりたいのはバッターではなく、ピッチャーだった。もしかしら、それを既に見抜いていたのかもしれない。
しかし、俺がいつになったら投げられるかはわからない。そんな想いとは裏腹に体が動かないのだ。こんな酷なことなんてあるのだろうか?野球から離れたのもそのうやむやな気持ちを抱きたくなかったからだ。どうしようか?明日の面談。このまま、やめたらきっと楽になるはず。もっと自由に生きていけるはず。でも、、、、、、、。
自分でもわかっていた。俺には、野球しかないと。後ろにあるテレビから大きな歓声が聞こえてきた。どうやら、逆転ホームランを打ったようだ。自分の考えは、おもちゃを買ってもらえないような子どもと一緒な気がしていた。もう一度、もう一度。自分にチャンスがめぐってくる機会はないだろうかと思ったのだ。




