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8月6日 大会1日目

 いよいよ今日から全国大会が始まった。大会1日目は、優勝候補の群馬北高校と道和高校が出場する予定だった。第一試合目が群馬北高校、第四試合目が道和高校だった。とりあえず、今日は、一日中テレビを見ている気がしてならなかった。

 直接見に行こうか迷ったけど、とりあえずテレビから見ることにした。テレビの前に広がるのは緑豊かなグラウンドだった。152回を飾る今大会どのようになるのかとても楽しみだった。開会式が終わり、観客からは、大きな歓声が響き渡っていた。、

 グラウンド整備が行われる中、開幕戦となる群馬北高校と曽根高校のスターティングメンバーが発表された。注目は、なんといっても群馬北高校のエース中川だった。解説者もどんなピッチングを見せてくれるかとても楽しみだという群馬北高校贔屓のような表現をしていた。

 俺は、テレビの前に机とお茶を置いて観戦することにした。こうして見ると、完全に野球を辞めたんだなという感覚に陥っていた。それでも、自分と野球をどうにかして繋ぎ止めたかった気がする。別に俺には関係ないと思って野球を見ないという選択肢もあった。それなのに気がついたら、いつも野球に関する何かをしていた。

 いよいよ、試合が始まろうとしていた。後攻めの群馬北高校がグラウンドに散っていく。それぞれのポジションの選手が紹介され始めた。プロ注目の中川は、セットポジションから投げるみたいだった。そして、始球式として、高校野球のテーマソングを歌う堀隆史がマウンドに上がった。どうやら、元高校球児らしく120kmぐらいのボールがキャッチャーへと届く。スタンドからは大歓声が上がった。

 堀隆史がベンチ裏に引っ込んだところで、再び中川が投球練習を再開した。そして、キャッチャーがセカンドに投げ、そのボールがピッチャーへと戻ってきた。いよいよ、この夏の大会が始まった。グラウンドに身を置いているかのような心地よいサイレンが俺の気持ちを高揚させた。

 サイレントともに、審判は大きく手を挙げた。まるで、小学生が学校の授業で手を挙げるかのように。ピッチャー中川は、セットポジションから第一球目を投げ込んだ。次の瞬間、球場がさっきとは異なる大歓声が響き渡っていたのだ。カメラマンもキャッチャーからバックスクリーンへと写し変える。そして、そこには、「150km」と表示されていた。こんな球を打てる高校生いるのか?目を疑ってしまう自分。この一球で一気に球場を支配したように感じた。

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