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第九話


 (なんだか胸糞悪いなー)


 蓮は苛立っていた。


 (てか俺があの場所に行ったことはバレてなかったんだ)


 初めてクリーニング店に行った日対象はすでにいなかった為、蓮が尾行を見失った時点でバレたと言う事になる。

 

 朝から張り込みをしていたせいかまだ外は明るい。


 (まだ昼にもなってねーのか。って昼間なら行けるかも!)


 蓮は思い立ち、あの場所に向かう事にした。


 商店街に行き、路地を入る。


 (あれ?ここだっけ?)


 クリーニング店に着くと、シャッターが閉まっていた。夜来た時は開いていたのに今は閉まっている。


 (やっぱおかしい)

 

 しかし路地とはいえ、昼間は人がぽろぽろいる為、下手にうろうろも出来ないのでひとまず帰ることに。


 (そう言えば頭痛しなかったな、臭いもなかったし)


 蓮は自宅に帰り、どうにかクリーニング店に入る方法がないかとスマホで調べていたが、勝手に入るのは不法侵入になるし何より鍵を開けない事には入れない。


 (そうだ!アイビーなら分かるかも)

 

 蓮はアイビーに相談しようと事務所に降りる。


「おー蓮、丁度よかった、茶をいれてくれんか」


 その時事務所には柴さんしかいなかった。


「あっはい」


 蓮はお茶を入れて柴さんの所に持って行き、聞いた。


「アイビーはどこですか?」


「今出とるわ、なんか用か?」


「いや‥‥ちょっと」


「なんだ、電話番号知らんのか?」


「はい」


「かけてみぃ」


 柴さんはそう言うとアイビーの番号を教えてくれた。


 蓮は柴さんの前で電話するわけにもいかず一旦外に出てかけることにした。


 プルルルル‥‥。


「だれ?」


 アイビーは電話に出るや否や不機嫌そうだった。


「え、あ、俺です。蓮」


「なに?」


「ちょっと聞きたい事があって‥‥今どこですか?」


 アイビーは調査に出ていて外にいるらしく、10分後に事務所の近くで待ち合わせる事になった。


「おせーよ、こっちは忙しいんだよ」


 待ち合わせ場所に蓮が向かうとアイビーは既に来ていた。


「すいません」


「で、なに?」


「鍵の開け方って知ってます?」


「は?!」


 唐突な蓮にポカーンとするアイビー。


「あっ開け方っていうか、勝手に開けるっていうか」


 悪びれる様子もなく当たり前のように聞く蓮。


「お前泥棒しようとしてんの?」


「違いますよ!まぁ近くはありますけど」


「匂うな。話せ」


「おじさんに言わないって約束してくれますか?」


「お前次第」


「はぁ、実は‥‥‥」


 ため息をつきながら蓮は一連の出来事を話す。


「ふーん」


「えっそれだけ?」


 アイビーのリアクションに蓮は拍子抜けした。そして一言。


「知ってた」


「えー!!」


 驚く蓮。


「だってお前後ろノーマークなんだもん、目の前の事に必死なんだなーって思ってたよ」


「そんなぁ。あっ!じゃあ話は早いですね!さっそく行きましょう!」


「バカ!こんな時間に行ったってなんも出来ねーよ。そもそもクリーニング店に入れたとして何がしてんだよ」


「それは‥‥行ってから考えます」


「そんな行き当たりばったりでやってたらいつかそいつに見つかるぞ」


「じゃあどうしたら」


「まずはそこに誰か住んでるのか調べるのが先だ。話はそれから」


「もしかして手伝ってくれるんですか?」


「なんか面白くなりそーだからな」


 どこか遠くを見ながら笑みを浮かべるアイビー。


「よかった!アイビーが一緒なら心強いし!」


「とりあえず今日の所は帰れ!所長に一緒にいる所見られたら怪しまれるからな」


「はい!お疲れ様でーす!」


「おー」


 アイビーが去っていく後ろ姿を見送って蓮も自宅に帰った。


「ただいまーって誰もいないか」


 時刻は午後6時、まだ所長は仕事をしている時間帯だ。


 (まだこんな時間だけど今日は疲れたから早めに休もーっと)

 

 蓮はベットに入ると疲れていたのかすぐ眠りについた。

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