其の六
満月が輝く夜、一人の女性が歩いていた。
「ふむ、小宮荘はこのあたりか。」
その女性の目は紅く、髪は白に染まっていた。
雪がちらほら舞い始めた。
カミツキ! 其の六 「Moon and snow」
「あ、雪が降ってる・・・」
今日は土曜。
俺が朝起き、外を見るとしんしんと降っていった。11月にはめったに降らない雪だ。
・・・結構積もってるな、まあいいや。
とにかく着替え、リビングまで行く。すると
「景〜雪が降ってるよ〜!」
コートにマフラー、手袋までしてアマが待ち構えていた。
「早く、外行こう!」
「ちょ、待て。」
「いいの!」
彼女は静止の言葉も聞かずに腕を引っ張って玄関に行こうとする。
――ピンポーン
インターホンが押された。こんな朝から誰か来たようだ。
「はい、今行きまーす。」
そう言ってドアを開ける。そこにいたのは一人の女性だった。
長い髪は白髪で目は紅く、肌は雪のように白かった。そうまるで雪女にふさわしい容姿を持っていた。
「おはよう、ところで姉はここにいるか?」
「姉?」
「ああ、なんて名乗っているか分からないが―――「あっ月読じゃない!」
話に割り込んできたのはアマだった。それより姉ということや、アマの言った月読、ということはこの女性は月読命か?
「月読、何でここに?」
「深い意味は無いが、しいて言うなら姉に会いに着ただけだ。
普段は管理人室に居るから。」
え?どういうことだ?
「ちょっといいか?」
「ん、何だ?」
「管理人室って、小宮さんはどうしたんだ?」
小宮さんとはこの小宮荘の管理人のおじいちゃんだ。年は70ぐらいだけどかなり元気で毎朝ジョギングをしているらしい。
人当たりもよく温厚な性格ゆえにこのアパートの住人以外にもいろいろな人に好かれている人だ。
「ああ、私は娘という立場でそこに住んでいるだけだ。
だから今は小宮月子って名前だな。まあこれからよろしく。」
そうその女性――月子さんは言った。
「それじゃあ何かあったら管理人室に来てくれればいい。」
そう言って月子さんは管理人室へ戻っていった。う〜む、癖のある喋り方をする人だ。
「で、景。早く行こう!」
結局は行くことになるのか・・・こいつの熱で溶けなきゃいいんだけど。
「はいはい、先行ってて。」
「わかった!」
言うよりも早く彼女は扉を開いて出て行ってしまった。まったく・・・
さて、俺も準備していくとするか。
ドアを開け外に出ると管理人の小宮さんがいた。
「あ、おはようございます。」
「ああ、清浦君おはよう。」
「ジョギングですか?」
「そうだよ、これは日課だからねぇ。」
そう言って彼は笑う。うん、今日も元気そうだな。
「そういえば月子は清浦君のところには挨拶しに行ったかな?」
「ええ、来ましたよ。」
「これからここに住むからよろしくね。っとこんな時間だ、それじゃあ。」
そういって彼は部屋に入っていった。本当に娘という立場になっているらしい、神ってすごいね。
「あ、景が珍しく朝早くに起きてるじゃない。」
「あ、凛。」
なぜか凛がこんなところにいた。なぜ?
「凛、何でこんなところに居るの?」
「天音に用があってね。いるかしら?」
アマにか?何の用だろうか。
「たぶん庭に居ると思うぞ。」
「そう、ありがとね。」
そういうと凛は庭のほうに歩いていってしまった。おっと、俺も行くんだった。
このアパートの庭には小宮さんが大切に育てている沢山の花が咲いている、雪で埋もれてなければいいが。
「お、花がちゃんと咲いてる。と、そこに居るのは月子さん?」
「ん、清浦君と、誰だ?」
「黒田凛です。そうだ、天音さん知りません?」
猫かぶりか。
「天音さんはそこに居るぞ。」
「ありがとうございます。」
そういうと凛は天音のほうへ駆けていく。いったい何の用なのだろうか。
「そういえば月子さん、もう雪掻きしたんですか?」
「いや、夜のうちにビニールで囲って置いたらしい。」
なるほど、確かに見ると隅にビニールが置いてあった。これなら花も悪くならないだろう。
「なるほど、これなら問題ないですね。」
「そうだな、修治も考えているようだな。」
補足、小宮さんの名前は修治という。
「それじゃあこの辺で。」
「うむ、それじゃあな。」
そう挨拶するとアマと凛が話しているほうへと近づいていく。
「あ、景これよ。」
そう言って凛が見せてきたのは例の写真。
「湊ちゃんから貰ったのよ。」
そう彼女は続ける、俺は無言で彼女の手からそれを奪う。
「あ・・・まあいいわ。これを天音にあげるのが目的だったんだしね。」
「へ?」
ふと見るとアマは遠くに行っていた。
「ああ――――!!」
俺は急いでアマを追いかけるそれに気づき彼女も逃げる。
後ろで凛がくすくす笑う中、写真を取り返すまで追いかけっこが続いたのだった。
湊のやつ・・・みんなに配ってるな。
三日連続投稿は流石に堪える・・・・・




