其の四 上
「いらっしゃいませー」
そんな声が響くのは俺の教室。
そう、今日、明日は青山学園の学園祭なのだ。しかしどうにも腑に落ちないことがある。それは
「い、いらっしゃいませ。」
そう、俺がメイド服を着てウェイトレスをしているということだ。
納得いかん。
カミツキ! 其の四 上ツ巻 「学園祭 一日目 上」
まったくもって納得いかない、なぜこんな格好をしないといけないのだろうか。
ミニスカエプロンドレスにカチューシャ、そしてニーソックス・・・しかも鏡を見たところ女性が居たという出来。
もういやだ・・・
「おー、流石景子ちゃん。顔赤くしちゃってー可愛い〜。」
「可愛いって言わないで・・・」
今声を掛けてきたのは俺にこんな格好をさせ、且つ女言葉を遣わせているのはこのクラスの佐倉さんだ。
彼女は何かのアニメ(だと思う)のコスプレをしていてしていてセクハラする客には手に持った模造刀で制裁を加えるらしい。
しかも実際に何人かが制裁を受けていた。
―――カラン♪
また一人入ってきたみたいだ。
「いらっしゃいま・・・」
入ってきたのは馬鹿で有名な勇だった。
「せっ!」
言葉を言い切るとともに勇の頭部を目掛けてハイキック。
キックは寸分狂わず勇の頭部にヒットし勇は華麗に宙を舞った。そして人ごみの中に紛れてしまった。
ん?スカートが捲れて中が見えるって?うん。見えるよスパッツがね。
『はぁ〜』
ほら覗こうとした馬鹿な男子が一気に溜息をついた。
「はいはい、セクハラ行為を働く人はこの○殿遮那で斬りつけるわよ。」
そんな著作権に触れそうなことをいいながらその物騒なものを持ってきながら来たのはわれらが委員長の佐倉さん。
「あ、そうだ。景子ちゃんはそろそろ上がっていいからね。」
「分かりました〜。」
こんな格好は出来るだけ早く脱ぎたかったから佐倉さんの言うとおり更衣室に向かうことにした。
更衣室に行く、といってもどうせみんな服は下に着てるので更衣も何も無いのだが。
そのため男女共用になっている。
「あ、景じゃない。」
そこに居たのは今から入るのか準備万端の凛だった。
着ている服は前に決めたとおり魔女の格好、結構気に入っているのかも。
「凛、今からか?」
ちなみにもうここでは女言葉解除。だって誰も見てないからね。
「そうよ。でももう一人が来ないのよね。」
「もう一人?」
どこかでサボっているのだろうか。
「勇よ。今日一人休んでる子がいて急遽入ることになったの。どこでサボってるのかしらね。」
すいません、さっき蹴りを食らわせました。そしていま沈んでいます。
「どっかでサボってんじゃないの?」
「それもそうね。」
「そんなことより早く行ったほうが良くないか?
フロアのほうが大変そうだぞ。」
ふと見たがウェイトレスさんたちが忙しそうにしていた。
「ん、それもそうね。じゃあ行ってくるわ。」
そういうと彼女はフロアのほうへ行ってしまった。さて、俺も着替えるとするか。
着替え終わり更衣室から出たところでわがクラスの副委員長石橋君が居た。
しかし彼は今生徒会室で雑務を行っているはずなんだがな。
「あれ、石橋君どうしたの?」
「なんか安倍君が居ないから探しているんだけど。」
「勇は・・・知らんな。
そういえばあの変に居るかも知れん、さっき蹴り飛ばしちゃったから。」
そういって教室前の人だかりの中を指し示す。
「お、サンキュ。」
そういって彼は指し示したあたりに走っていってそこに分け入った。
「お〜い、清浦!居たぞ〜。」
「見つかったか。」
彼が見つけたようなのでそこに歩み寄る。
そこにいたのは勇・・・だったもの。原形はとどめていて息はあるのだがみんなに踏まれていたようで結構埃にまみれていた。汚ねぇ・・・。
「安倍君、起きて。
・・・駄目だなぁ、まったく反応が無い。」
彼は勇の体をゆすり起こそうとするが勇はピクリともしない。
「石橋君ちょっと替わって。」
「ん、ああいいよ。」
石橋君と替わってもらう。
こいつを起こすにはちょっとしたコツがあるのだ。
「・・・・・おい、安部。起きろ!」
「ハッ、ここは誰?私は何処?」
やはり起きた。
こいつの場合は先生みたいなしゃべり方で言うと何が何でも起きるという特徴があるのだ。何か先生にトラウマでもあるのだろうか。
「おい、勇、フロアじゃなかったのか?」
「そうだ、かわゆいおにゃのこに囲まれるんだった。
こうしちゃ居られねぇ、あばよ!」
そう叫んで彼は走り去っていった。
「石橋君、オッケー?」
「うん、まあいいんじゃないの?
あ、僕はまだ仕事があるから生徒会室に行くね。」
どうやら仕事を中断してまで探していたようだ。
彼は急いで生徒会室に向かっていった。
「景、終わった?」
「う、うぇ?」
変な声が出てしまった、誰だよいきなり声を掛けてきたのは。
そう思い裏を振り返ると
「何その声〜。」
居たのはアマだった。
「知るか。
いきなりお前が声を掛けてきたからびっくりしただけだ。」
「あ、そうか。
でもそんなことよりほかのところ周ろうよ。」
「ん、分かった。じゃあ行くか。」
ラブコメにならないかヒヤヒヤしながら書いてます。




