其の参
学園祭は次へ持ち越し
巫女服、メイド服、ナース服、セーラー服、ローブ、ブルマ.....
数多くのコスプレ用の服(女性用が)俺の目の前に所狭しと並んでいる。
「清浦君はこの中から選んでね♪」
佐倉さんが俺を見ながら言い切った。
カミツキ! 其の参 「学園祭準備」
佐倉さんは依然俺を見ながら且つ微笑みながら選択を迫る。
「えっと、全部嫌なんだけど。」
「却下。」
そく佐倉さんに却下された。不本意だ。
「何で?」
「似合わうと思うから。」
絶対似合わんだろうが。第一俺は男だろ、男が女装とか唯の変態じゃねえかよ。
こうなったら誰かに助けを求めよう。まずアマからだな。
「アマ、俺が女装って絶対変だろ?」
「いや、絶対似合うと思うよ。ううん、思うじゃないね絶対似合う。これは確信を持って言えるね。」
「ちょ・・・」
「私としてはどっちかって言うと女装姿見てみたい。」
アマに見捨てられた〜!いいや、まだ大丈夫だ勇だ、勇に聞いておこう。
「勇、俺の女装姿なんて―――」
「見たい!!ぜってー見てぇぞ。」
勇にも見捨てられた。覚えてろよ。
「景、いい加減諦めなさい。」
凛さんの冷たい一言。だが諦めはしない。
「いやだ、絶対に女装なんてしない。」
そんなことを言い合っていたらいきなり裏から手を掴まれてしまった。
「ふふっ、隙あり。清浦君確保しました。」
裏からがっちりホールドしてやがるのはうちの委員長佐倉さん。いつの間に裏に回りやがった、まったく気づかなかったぞ。
「よし、そこの男子。清浦君を着替えさせなさい!」
「sir yes sir!」
「うわ、何をするやめくぁwせdrftgyふじこlp」
そして俺は隣の教室(空き部屋)に誘拐されてしまった・・・
で俺は誘拐されてしまった。別に誘拐ってほどじゃないんだけどね。問題はそこじゃない、問題はいま俺がフリフリのエプロンドレス、所謂メイド服着用しているということだ。結局誘拐されてしまった俺は今こんな恥辱を受けているのだ。
しかもわれらが委員長の佐倉さんは用意周到なことに俺が着替え終わったらすぐにどこから持ってきたのかデジタルカメラを持ってきて俺の姿をカメラに収めやがった。
さらにそれで「清浦君がもし逃げたならこれを全校に撒き散らすから。」なんて言ってきた。脅しじゃねーかよ。このやろー!!
そのうえ「ちゃんとその格好でやってくれればこれは清浦君に返すから煮るなり焼くなり食べるなり好きにしていいよ。」と言い切った。
こうなったら参加するしかないじゃないか。
「清浦君、やってくれるわね。」
佐倉さんがカメラを見せながら聞いてくる。
「はい、やります。」
これじゃあこう答えるしかないじゃないか。
「じゃあこれにサインしてね。そうすればSDカードはあげるわ。」
「はいはいっと。」
差し出された紙にサインする。
「ありがとね。じゃあこれ、SDカード。煮るなり焼くなり食べるなり好きにしていいわ。」
即折る。何の迷いも無く。
「ずいぶんと思い切ったわね。
まあいいわ、教室に行くわよ。」
そういって彼女は俺の手を掴み引っ張っていく。痛い痛い、腕がちぎれるから。
教室にたどり着いた(といっても隣だが)佐倉さんは勢い良く扉を開けた。
「みんなー、清浦景子ちゃんですよー。」
そういって彼女は俺の腕を引っ張り俺を教室に入れた。腕がホント痛い。
しかしその瞬間教室中が騒がしくなった。
「え〜、ほんとに清浦君なの〜!?」とか「かわいい〜」とか「結婚してくれ〜」とかね。
もちろん最後のには蹴りをぶちかましておいた。変体共がスカートの中を見てきたが生憎ハーフパンツを穿いている。
てか女装なのに覗く価値はあるのか?
「で、佐倉さんもう着替えていいか?とっとと元の服装に戻りたいんだが。」
「う〜ん、駄目ね。もうちょっと待ってて。まだ見てない人いるだろうし、まだたくさん決めなきゃならないことが沢山あるから時間がないんだよね。」
そう言って彼女は忙しそうにどこに行ってしまった。まあそんなに遠くでもなく教室にいた副委員長の石橋君のとこに行っただけだけどね。
暇を持て余していたので俺はふらふらと歩き回っていた。
すると、アマも暇だったのか俺に近づいてきた。
「景〜可愛いよ〜。」
そう言って彼女は意地悪く笑う。
「可愛いって―――」
「そんなことよりこの格好を見てなんか感想無いの?」
「無いよ。」
即答。
「え・・・なんで?」
「だって普段その格好でいるでしょ。」
そう彼女が着ていた服は巫女服。最初に会ったときも確かこの服だった気がする。
「あ、それもそうね。普段から見てるか。」
彼女は納得してくれたようだ。
「あれ、天音って普段から巫女服着てるの?」
横から魔女の格好をした凛が話しに入ってきた。微妙に似合っている、特に不気味な感じが。
「うん、だってうち神社だもん。」
それに対して巫女さんの格好をしているアマは嘘も何の躊躇いも無くさらさらという。これが生きてきた年月の違いかな?
「成る程ね、だからあんなに服を簡単に着ていたんだ。
あと景、その格好可愛いわよ、じゃあね。」
さり気に毒を吐いて凛は去って行った。この恐ろしいやつめ。
「ほとんど全員集まったので係り分けをしたいと思いま〜す。」
すると佐倉さんがやっぱり声高にそう言った。
「係りはフロアと調理、その他雑用があります。
まずは調理する人を決めたいと思うので料理のできる人は挙手してください。」
俺は料理ができるので手を上げる。ほかにはアマと凛、後五、六人。少なすぎる。
「すこし少ないからその人たちで後何人かに料理教えてあげて。教えるのは今回出すものだけでいいから。
次フロア係行きます。」
そしてフロア係も決まって雑用が勇とクラスメイトAになった。
でもまだ佐倉さんは思案顔だ。
「佐倉さん、どうしたの?」
クラスメイトの女子が佐倉さんに訊く。確か彼女の名前は千沙さんだった気がする。
「うん、清浦君と天音さんはフロアに回したいんだけど料理ができない人が多いからね。私が入ってもいいけどもう一人は欲しいいんだ。」
・・・よかった料理す無くて済む。この格好でフロアも嫌だけど去年みたいにひっきりなしに料理はしたくないからよしとしておこう。
「う〜ん、じゃあ私も入ろうか?」
千沙さんが提案する。
「千沙ちゃん大丈夫なの?」
よし正解。
「たぶんどうにかなると思うよ。家庭科は苦手じゃないし。」
「よし、採用!これで係り分けもオッケーね。」
やったーフロアだー・・・とは素直に喜べないんだよな、格好も格好だし。
「よし、清浦君と天音さんは調理係じゃなくてフロアに回ってね。
あとは変更なしで。あと清浦君、ちょっと来て。」
「ん、何だ?」
「接客するときは女言葉にしてね。あと『お帰りなさいませご主人様(はぁと』なんていうともう可愛すぎるわ。」
女言葉は許容できるけど後者は無理だね。
「後者は却下。前者は考えておくよ。」
「う〜ん、残念だけどまあいいや。伝えたかったことはそれだけだからもうそろそろそれも脱いでいいわよ。」
やっと許可が出た。早速脱ぎに行こう。
「それじゃ、脱いでくる。」
そういってまた隣の空き部屋へと向かった。
去り際にアマに「かわいい。」って言われてしまった。何か仕返ししてやろうかと思ったけどそのときアマはもういなかった。人ごみに紛れてしまったようだ。
それにしても今年の学園祭は去年とは別の大変さに見舞われそうだ。




