其の参拾参
「景、なんか部活動して喧嘩してるけどいいの?」
「え?」
生徒会室での活動中、アマがそんなことを話しかけてきた。
カミツキ! 其の参拾参 「青山高校の部活事情」
結局現場に行ったのは俺だけだった。話を持ちかけてきたアマは、「私会計の仕事があるから〜」とか言って自分のパソコンに向かってしまった。
「はいはい、生徒会ですよ。どいてください。」
どうやら結構目立っていたらしく大きな人だかりがあったのでそれを掻き分けるように進んでいく。
生徒会に入ってはじめて知ったのだがこの学校は結構こういう部活間のいざこざが多く起きていてそれを生徒会が毎回仲裁しているらしい。そのためこういう際は生徒会の名は結構役に立っていたりする。
で、今回は、
「げ・・・」
思わず声が出た。
それもそのはず恐らく体育会系の部活なのだろうか、筋肉質な男子生徒がまた別の男子生徒に馬乗りになっていたのだ。
まさかと思いよく見たら周りにいるのは殆どが女子。それも目を輝かせている生徒が多い・・・。
「・・・えっと、まず二人とも離れてくださいね。」
仲裁開始・・・離れないなぁ。こういうのは精神衛生上とてつもなく悪いのだが・・・。
実力行使も無理っぽい、絶対力負けするもん・・・。
「じゃあ、この二人の関係者いますか?」
おずおずと二つの手が上がる。
「じゃあ、右の人から何部でどっちの関係者?」
「えっと、そっちの馬乗りになっているほうでスウィーツ研究部です。」
・・・はい?
「えっと、スイーツ研究部?」
「スウィーツ研究部です!イじゃなくてウィです。」
「・・・じゃあ、もう一人は?」
乗られていた方、こっちも結構ごついほうで違いといえば丸刈りだというぐらいか。
関係者だというのはいかにもインドア派といったような眼鏡を掛けた人だ。
「えっと、二次元萌え研究部です。」
ええ〜、何で今度はそんな研究部なのさ。このごつい人が萌え萌え言ってるのか・・・想像するのは止めよう。
「はい、じゃあ何でこんなことになったの?」
先に口を開いたのはスイ・・・いや、スウィーツ研究部のほうだった。
「あっちがケーキを馬鹿にしやがったんだ!」
「いや、お前らがツンデレを馬鹿にしたのがいけないのだろう!!」
わーわーぎゃーぎゃーと喚き散らす二人組。このままじゃ埒が明かん。
「・・・この中で事情を知ってる人はいますか?」
例の二人と周りを囲んでいた多少の人が手を上げた。
「それじゃあ、生徒会室に来てくださいね。残りの人は部活にいくなり帰るなりしてください。」
事実上の解散。で、八人ほどを引き連れ生徒会室へと戻った。
「大体の事情は分かったわ。」
そういったのは生徒会の諜報担当の凛。アレから結局諜報担当になったらしい。理由は単純明快、楽しそうだからだそうだ。
「処遇は後々通達するから今日はもう帰ってもらっていいわよ。」
その凛の一声によって集められていたスウィーツ研究部と二次元萌え研究部は解散の運びとなった。
生徒会室に静寂が戻る。
「・・・はぁ、それにしても何で私はこんなことに駆り出されてるのかしらね。」
「しょうがないだろ、それが仕事らしいんだから。」
「そうよね。」
うちの生徒会は特殊で諜報担当は(これがある時点で十分におかしい)風紀委員的な役割も担っているらしい。
そのせいで仕事が増えた凛はどうもその仕事がつまらないらしくこう文句を言っているのである。
「まあそれは我慢だな。それじゃあ俺は帰るから。」
そう言って鞄を手にとってドアを開ける。
「はぁ、副会長って言うのは仕事が無いものなのね。」
彼女が後ろでそう呟いた。




