其の参拾弐
「・・・・・。」
あー、最悪だ。こんな恥辱を受けたのは初めてだ・・・
「あー、清浦君可愛かったわよっ!」
そう言って俺の肩を叩き去っていく佐倉さん、彼女が元凶だ。
カミツキ! 其の参拾弐 「後悔先に立たず」
「・・・・・。」
「景、大丈夫?」
アマが聞く。しかしこの状態で大丈夫だというヤツはただの馬鹿か、とんだ鈍感だ。
「無理。帰る・・・」
「ちょ、それは駄目だよ!!」
「やっぱり?」
駄目元で聞いたんだが無理だったか。
でも全校の前で女装をさせられたんだ。それ位許してくれてもいいだろう。
「そりゃそうだよ。」
「そうか・・・じゃあ寝る。」
「まあ、それくらいなら良いんじゃないの?」
「じゃ、終わったら起こして。」
周りから向けられている好奇の視線は寝ればまあ気にならなくなるだろう。丁度他の演劇の最中で暗いことだし、この好機は逃すわけにいかない。そう思い夢の世界へと旅立った。
・・・のは良いのだが・・・
「あ゛ー、煩い・・・」
『あ・・・』
周りの人がいっせいに声を上げた・・・いや周りに群がっていた、というべきか。
「ん、佐倉さん。どうしたの?」
何故かその集団に向かうように、つまり俺に背を向けるように立っていた佐倉さんに問いかける。ちなみにアマも寝ていた、俺にもたれかかるようにして。・・・まあ頭に方が乗っているのは偶然だからいいとして起こしてくれるんじゃなかったのかよ。
「この人たちが写真取りたいって言うから止めてたのよ。」
「成程・・・じゃあ止めろ、以上。」
「ということで皆さん、お帰りくださいねー。」
そういう佐倉さん、残念そうに去っていく人たち。道理で皆カメラか携帯を持っているのか。
そこで、
「げ・・・」
こてん、とアマの頭が俺の膝へと落ちてきた・・・俺が動いたせいだろうがこれは対処に困る。
当の落ちてきた本人はぐっすりと寝ているし。
「佐倉さん、これどうにかしてくれる?」
「・・・いいわよ。ばれたら天音ちゃんも大変だしねー。」
「何でアマが?」
「・・・はぁ、べつにに気にしないで頂戴。」
そう言ってアマを元の位置に戻す佐倉さん。一体なんでアマのやつが困るんだろうか。
「じゃあ、今度は寝ずに見てるのよ〜」
そう言って彼女は去っていった。前の席だけど。
ちなみに今は休憩時間だったらしい。
演劇祭も無事、じゃ無かったけど一応終わったので小宮荘へと帰ってきた。
すると門からトラックが出て行った。
「あれ、小宮さんどうしたんですか?」
「ああ、ここの二階に住んでた樟葉さんっていたでしょう。大学生の彼。」
「ああ、いましたけどどうしたんですか?」
「なんか家の事情で引っ越したんだよ。」
「へぇ・・・」
「それで引越ししたんだよ。」
「成程。」
それじゃあ、といって小宮さんは管理人室へと戻っていった。
じゃあそこに誰か入居したりするのかもな・・・




