其の弐拾九
「はい、何か案がある人?」
今日もクラス委員である佐倉さんが案を募る。
「全く案が無いんですが、何かいい案はありませんか?」
でも案は出なかった。
カミツキ! 其の弐拾九 「演劇祭準備」
今、青山高校演劇祭で行う演劇を行う作品を選んでいる。
青山高校演劇祭とはその名の通り演劇祭だ。まあ文化祭と一緒にしてもいいのだろうが、この学校の教師陣がどうも一緒にはしたくないらしく態々(わざわざ)別の行事にしている。
そんなことを考えているうちにひとつの手が上がった。
「はい、道下さん。」
「あの、案なんですがオリジナルの題材を作りませんか?」
「オリジナル?」
「はい、このクラスって文芸部の人が沢山いるから書けるんじゃないなと思って。」
「じゃあ、文芸部の人挙手してみて。」
挙手をしたのは五、六人ほど。道下さんも文芸部だったんだな。
「じゃあ、その中で書けそうな人そのまま挙手しててもらえる?」
そのまま挙手していたのは皆だった。もしかして凄い自信があるのか?
「じゃあ、題材は決定ね。もういいわよ。
で、どれくらいで書けそうなものなの?」
「ん〜、一週間あれば書けるかな。」
「じゃあお願いね。」
一週間後文芸部の書いた作品が発表された。
「えっと、『雨天接吻』?」
「そう、恋愛モノなの。BLとかじゃないけど安心してね。流石に今回は書かなかったわ。」
どうやら彼女はこのクラスの文芸部のリーダー格らしい。先日も彼女が喋っていた気がする。
でもさっき「今回は書かなかった」って言ってたよな・・・。「今回は」・・・普段は書いてるってことだよな〜。文芸部って恐ろしいな・・・
「それじゃあ、配役決めますね。
まずヒロインの結城水夏から、やりたい人いますか?」
・・・・・。
・・・居ないね。
「それじゃあ、多数決とります。今からこの紙に書いてください。」
そして配られる紙、文化祭のときと同じ感じがしてこのクラスの微妙な無気力さが窺える。
「じゃあ集めます。」
集められて黒板に書かれた名前、つまり一番票が多かった人だ。
その名前は・・・清浦景(子)・・・え゛!?
「ちょっと、佐倉さん!何で俺がヒロインをしなきゃいけないの!?」
「問題は無いはず。多数決だからしょうがない。じゃあ今度は・・・神谷直希だね。一応主役ぐらいの立場だから重要だよ〜、やりたい人!」
刹那、手が沢山上がった。男子の。
・・・ちょっと待て!!
「ちょ・・・何故男子が上げる!?」
「だって、男性でしょ?」
挙手をした男子はそういう意見を持っていたようだ。まあ正論といえばそうなんだが・・・
「わざわざ普通の作品にしてくれたのに、これじゃあ意味が無い!」
「そうね・・・清浦君の意見は尤もだわ。
じゃあ清浦君選んでくれる?」
「あ、ああ。」
選ぶ、その瞬間に教室内の空気が凍った気がした。
なんでそんな空気になるのだろうか、まあその役をやりたい人が多いからだろう。
「そうだな・・・」
男性役が似合いそうな女子、別に男子でもいいのだがそれにするとどうも吐き気が。・・・っと脱線した。で配役を決める権利があるのだからまあ仲の良い人がいいな。
「・・・凛だな。」
彼女なら男装してもまあ映えるとは思うし、こっちとしてもやりやすい。
「私・・・分かったわ。」
「それじゃあ、神谷直希は黒田凛さんに決定。」
歓声や野次が飛び交っているが気にしないでおこう。うん、そうしよう。




