其の弐拾四
「・・・であるからして、え〜」
・・・話長いよ。
毎度通り校長の長い話。ちなみにもう三割近く睡眠へとスライドしている。もう隣のアマも寝ているし話し相手も殆ど寝てしまっているので通例どおりまた一人で校長の「え〜」とか「あ〜」とかの数を数えている。
今日は結構少ないなまだ100ぐらいしかないや。
カミツキ! 其の弐拾四 「始業式」
あ、やば眠くなってきた。
遂に五割の中の一人(増えた)になるのか。今日の校長の話って何か波長があるのかな、録音して専門の解析所に持っていくべきだったかもな。
「・・・これで話を終えたいと思います。」
・・・終わったのか?寝ずに済んだかな。
「それでは、新しく赴任してきた先生を紹介したいと思います。」
ふぅん・・・って、今来るの?
ほら、起きていた生徒が皆騒いでるし、おかしいでしょ。
「それでは、先生お願いします。」
壇上に上がったのは綺麗な長い銀色の髪をした男の先生。
何処かで見たことのあるような顔だけど・・・
「フィンランドから来たフェン・リーヴルだ。よろしくな。」
直後鳴り響く女子の黄色い歓声。これを聞いたらヘルさん・・・考えるのは止そう、考えても無駄だ。
「これから二年三組の副担任を受け持ったのでよろしく。」
更に鳴る黄色い歓声と溜息。
歓声はうちのクラスだな、そんなに女子多かったかな。でも独り身が結構多かった気がする。
・・・それにしても何故、フェンリルさんは教師なんてやってるんだろうな。
「それでは終わります。」
ん、終わったのか。
・・・アマのヤツまだ寝てるし、あれだけ大きな声が出ても起きないのか。起こさにゃいかんな。
「なあ、景。来たのが何で男なんだ?」
「そんなん知るかこの馬鹿。」
「だっておかしいだろ、普通美人教師だろう。」
「そういうお前の脳内構造のほうがずっとおかしいと俺は思うがな。」
俺には勇みたいな思考にはついていけない。
「優等生のバーカ。お前に話した俺が馬鹿だったよーーーーー」
そう言って涙を撒き散らしながら走り去っていく馬鹿。
おっと、佐倉さんと話していた石橋君に話しかけて・・・拒絶された。石橋君はまた佐倉さんとの会話に戻ったし・・・。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
あ、泣いて去っていった・・・。
「はぁ、安倍のヤツ・・・まあいい、始めるぞ。」
いつの間にか来ていた伊藤先生がそう言う。うわ、本気で勇の存在について考えたくなった。
「じゃあ、さっき始業式で言ってたはずの話、フェン先生を紹介する。まあ私は寝てて知らんが。」
おい、そこの教師。今、暴言吐いただろ。いいのかそれで・・・。
でも殆どの女子は黄色い歓声上げてる・・・気にしろよ担任の発言ぐらい。
「それじゃ、フェン先生。後はよろしく。私はもう寝るから。」
そう言って教卓に伏す先生はどうすればいいのだろうか・・・なんで教師やってられるんだろうな・・・。
「・・・それじゃあ、このクラスの副担任になったフェン・リーヴルだ。何かあったら言ってく――『ハーーーーーイ』
喋ったままの表情で固まっているフェンリルさん。
そりゃそうだ、いきなり多数の女子によって話を途切れさせられたら吃驚するわな。
「・・・じゃあこれは後にする。まあ、やること無いな・・・。
よし、今日はもう終わりだ。」
完全下校終了まであと一時間もあるがもう終わってもいいのか?
いいのか教師(一応)が言ってるんだし。
「じゃあ、帰るか。」
そうアマに問いかける。
「うん、そうしよっか。」
意外と早く終わったし・・・どっかで遊んで帰るか、何か買い物でもしていくかな。
「あ・・・」
「アマ、どうし・・・」
前方に腕を組んでいるIさんとSさん(都合により頭文字にさせていただきます)がいた。
うしろではフェンリルさんが女子に集られてるし・・・まあ、さっさと帰るか。
その夜『兄さん、他の女の香りがします!どういうことですか!!』という声が一階から聞こえてきたのは空耳だと思いたい。




