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カミツキ!  作者: .png
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其の弐拾参

「あけましておめでとうございます。」


新年のお決まりの挨拶が聞こえる。というか今言ったのは俺だ。

うちは神社なだけにこういうことは結構厳しかったりする。




  カミツキ! 其の弐拾参 「謹賀新年」




目の前にはずらりと並んだおせち料理。全部母さんと俺が作ったものだ。

姉さんの料理はクッキーの件で分かっているとは思うが食べれるものではない。父さんは料理はできると思うのだがやっていないし、湊は面倒なので極力やらないようにしているらしい。


「旦那様、口をあけてください。」


「ああ。」


前方で行われている謎の儀式。いや、ぜんぜん謎でも儀式でもないんだけどさ・・・


「湊、あの二人一体いくつだ?」


「40は超えてる。」


「だよな・・・」


大の大人がバカップルの所業を行っているのだ。中のよいことは別に問題は無いとは思うのだが、行われているのがあれだからね。流石にやりすぎじゃないのかと思う。

俺や姉さんたちがもう一人暮らしをしているのもこのせいだ。こんなものを毎日毎日見せつけられては出て行きたくなるのも致し方ないと思う。


「あれ、梓ちゃんたち食べないの?私の料理美味しくない?」


「はわっ、ううん。美味しいよ。」


姉さんもこの情景を見て呆然としていたみたいで固まっていたが母さんの声を聞いたら食べ始めた。

俺も食べなきゃな・・・・・あ、少し味付けが濃かったか。






普通はお正月といってもそんなにやることはない。しかしうちは違う。

初詣といってもそれは12月31日の夜だけではない。その後にも参拝客は多く来るのだ。とりわけうちの神社はこのあたりの一宮で、その為か自然と多くの参拝客が来る。


「で、何でまたこの姿をしているんだ。」


「はうっ、私に聞かれても・・・」


そりゃそうだ。着るように強要してきたのは湊だからだ。例の写真をちらつかせて。

これじゃあもう脅しじゃないか。でもあの写真の流出はどうしても防ぎたい事項だったのでしょうがなくこの格好をすることになった。


「破魔矢をひとつください。」


「あ、はい。」


できる限り女言葉で、文化祭のときを思い出して仕事をこなす。

でもやるのは社務所で物を売るぐらいなもので大変暇だ。

しかし・・・面白いものを見つけた。


「・・・佐倉さんと、石橋君か?」


遠目にだがその姿を視認することができた。しっかりと腕を組んでるしいつの間に・・・ってこうさせたのは俺がやったのか。クリスマスのときに適当にほかの誰かの言葉を使ってあしらったのが成功したんだったな。

それにしてもすばらしい関係だな。うちの親みたいにならなければいいが。


「ねえ、兄さん。知り合い?さっきから目で追ってるけど。」


「ああ、クラスの委員長と副委員長だな。


「へぇ、佐倉さんって委員長なんだ。」


「湊、知り合いか?」


「マンションの隣の部屋。」


「へぇ。」


初耳だ。湊と佐倉さんが知り合いだったとは世間って狭いんだな。

あ・・・あの恋人がこっち来た。石橋君が買うのか。


「あの、お守りください。」


「はい、なんのでしょうか?」


笑顔で言ってやる。彼は気付くかな?


「安産祈願を・・・って清浦君!?」


「そうだけど、安産祈願って、まさか・・・」


そう言って彼の後ろで大きな松を見上げている佐倉さんを見る。ちなみにこの松、御神木ではないのだがかなりの大きさがあってたまに御神木と間違えられてしまう。


「ちちちちち違うって。お姉ちゃんがね妊娠したから、お土産だよ。」


「あ、そう。」


「そんな残念な顔しないでよ。そんなことよりなんで清浦君はこんな格好してるの?」


「ここ実家だから。手伝わされてるんだ。」


「へぇ、そうなんだ。」


そう言うと彼は帰っていってしまった。

それについていく形で佐倉さんもついていって・・・あ、腕に飛びついた。積極的だな・・・石橋君ちょっと戸惑ってるし。

そんなことを考えてると次の人が来た。意外と忙しいなぁ。






結局仕事が終わったのは西の空が紅くなって東の空が暗くなってきたころだった。


「で、もう帰るのか?」


「帰るよ。これ以上あんな格好したくないし。」


本心はバカップルを見たくないからである。


「ははは、そうか。」


「それじゃ。」


そう言って家路を急ぐ。

アマは料理を・・・作れたよな。ヘルさんが調子に乗っておせちを作っていなければいいのだが。

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