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カミツキ!  作者: .png
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其の弐拾弐

いまごろ大晦日!?と思う方もいるかもしれませんが気にしちゃ駄目です。

明日はお正月ですからね。

「やあ、兄さん。久しぶり。」


目の前には巫女服を着た妹の湊。


「あ、景。今日は天音ちゃんいないんだ〜。」


その湊の隣には同じく巫女服を来た姉さんこと姉の梓。


「でも何で景も巫女服着てるの?」


彼女たちの前、そこには巫女服を着た少年・・・つまり俺がいる。




  カミツキ! 其の弐拾弐 「大晦日と巫女服と清浦景子」




そう、俺は今巫女服を着ている。つまり清浦景子ちゃん復活ということだ。

何故こんな格好をしているかというと・・・と、その前に俺の家について語ろうか。

俺の実家はこのあたりでは一番大きな神社であって大晦日ともなれば多くの人が集まってくる神社でもある。そんな神社が実家だからクリスマスのお祝いなどしたこともないししようとも思わなかった。まあ、それは置いておくとして今日は大晦日であって人が多く来るのは火を見るよりも明らかだ。その神社の子供が手伝うのも理に適っているだろう。

しかし、しかしだ。


「何故俺がこんな格好をしているのだ。」


この巫女服は先程母さんが着替えろといって押し付けられたのだが。


「兄さん。あの写真を母さんが見たら巫女姿にしようって。」


犯人は湊だった。


「いい加減あの写真を返せ。」


「嫌です。というか無理です。」


湊に聞くとあの写真は湊のデジカメのほかにもパソコンやネット上にもいくつか保管してあるらしくどこからでも手に入れれるらしい。いつの間にそんなに機械に強くなった。


「景、湊そろそろだよ〜。」


そんな妹との穏やかな(・・・・)話し合いをしていると背後から姉さんのほわ〜っとした声が聞こえた。

どうやら本格的に人が集まってきたらしい。どれほどの人が集まってきたのか確認するために社務所の窓から外を覗いてみる。すると・・・


「・・・・・景子ちゃんだ〜!!!」


「げっ・・・」


社務所に向かって突撃してくる一人の女性。ほかの誰でもない我がクラス委員長、佐倉さんだった。

困ったことに彼女は“可愛いものを見ると抱きしめたくなる”という謎の癖を持っている。そんな彼女だから何か可愛いものでも見つけたのだろう。少なくとも俺ではないことを祈るばかりだ。俺は清浦景だからな。景子なんぞ知らない。

―――ゴツンッ!

佐倉さんは社務所の壁にクリーンヒット。そのまま悶絶している。


「・・・あの。このお守りください。」


「あ、はい。」


その意識は一人の女性の声で戻ってきた。

やはり俺のことは女だと思っているらしく普通にお守りを買って行った。


「ははは、景が女装してるのか。やっぱり母さんに似たのかねぇ。」


後ろから聞こえてきたのは陽気な男の声。

振り返れば和服に烏帽子という完璧な神主スタイル。


「父さん。帰っていい?」


「駄目に決まってるよ。これ以上人手がなくなったら忙しくて過労死しちゃいそうだからね。」


「じゃあ、この服着替えていい?」


「無理だよ。ここで私服の人がいたらおかしいでしょ。」


確かに父さんの言うとおりだ。私服の男がお守りを売っているところなど見たことが無い。


「それじゃあ、がんばって巫女しなよ。」


そう言って父さんは帰っていった。

それにしても巫女をするってどんな言葉なんだろうか。佐倉さんはまだのびていた。・・・回収してあげよう。







「手伝いに来たよ〜。」


増援がきたのはその後三十分後ぐらい。

きたのは勿論、女性だ。姿を見れば姉さんが少し年を取ったぐらい。しかし勿論、姉さんも湊も初めからここにいるので姉さんではない。

それじゃあ誰だという話になるが姉さんのあの性格もこの人譲りであって口調も似ているのも当たり前。そんな女性は一人しかいないだろう。


「じゃあ、母さん早くやってよ。」


「は〜い。」


その人はほかの誰でもない母さん、清浦怜きようられいだ。

補足だが先程の父さんは清浦和史きようらかずしと言う。


「で、母さん。何故俺が女装をさせられているんだ?」


「え、あの写真が可愛かったからだよ。」


この母親、何処かぬけている。それが姉さんにも移ってしまっている。甚だ残念だ。


「それだけ?」


「うん。」


この母親、そのまま仕事を始めてしまった。

どうせ文句を言っても取り合ってくれないのは分かりきったことなのでもう諦めることにした。なんだかんだ言って文化祭でもどうにかなったのだから今日もどうにかなるのだろう。

しかし神様と言うやつはもう全く信じちゃいないのだがどうも俺のことが嫌いらしい。


「あ〜、景子ちゃんだ〜!!」


うちのクラスの輩が連れ立って初詣に来ていた。

叫んだのは馬鹿で有名な安倍勇君だったよ。しかし冷静にその後ろに控えていた凛にアイコンタクト。


『片付けて?』


もちろん勇をである。


『分かったわ。その代わり何か奢って。』


『分かった。考えておく。』


ここまでの情報をアイコンタクトで交換できるのも長年の付き合いがあってだろう。

そんなことを考えていると勇が地面に伏していた。誇らしげな顔をした凛がその後ろに立っていた。

何処かの寺から除夜の鐘が響いてきた。

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