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カミツキ!  作者: .png
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 番外編其の参

※キリスト教の方は読まないでください。読んでも文句は言わないで下さい。

「アオ―――――――ン!!」


遠吠えをする。

何故なら、奴――イエス・キリスト――を見つけたからだ。そう、そりに乗って飛んでいる奴を。




  カミツキ! 番外編其の参 「Christ Mas Wars 裏編」




奴は俺の声に気付かなかったのかそうではないのか分からないが町の上空へとそりを滑らせ・・・いや、飛ばしていった。

それは今のところは関係ない。俺の一つ目の任務は奴が来たことを知らせる。そのために遠吠えをするだけだ。


「ふぅ、やはり人の型のほうが動きやすいか。」


こんな大きな狼の格好でいても見られる危険性が高くなるだけだ、動きやすい人の型のほうがいいに決まっている。


「さて、戻るか。」


戦いが始まるのは時間の問題だしな。それに早く帰らないとヘルもうるさいだろう。






「天照さん、準備はできましたか?」


「うん、できたよ。」


帰るとアパートの前でヘルと天照が仲良く談話していた。しかし、手にはそれぞれ多きな鎌と剣を携えている。物騒な光景だな。

それにしてもこうやって仲良くしているということは逃走の甲斐があったということだな。


「あ、兄さん!早く帰ってきてって言ったでしょ!」


「ごめんごめん。そんなことより早くしないといけないだろ。」


「そうでしたっ!早く行きましょう!!」


そういって彼女は飛んでいく。それに続き天照も、じゃあ俺も行くとするか。

っと・・・


「なあ、天照。月読ってどうした?」


先程から月読の姿が見えない。この作戦には参加しているはずなんだが。


「月読なら偵察。夜はあの子のほうが目が利くからね〜。」


「成る程。流石、夜の女神といったところか。」


「兄さんたち、そろそろ来るよ。」


「ん、ヘル。分かった。っと、なんじゃこりゃ。」


前方から何やら矢のようなものが飛んできた。先端には・・・毒らしいもの。毒矢か。

これが俺たちを狙って飛んできたというわけか。


「あーあ、せっかく当てられると思ったのに。外れるどころか掴まれちゃお終いかなぁ〜。」


「出たな・・・キリスト。」


「ああ、掴んだのはフェンリルか。それなら無理も無いね。」


そりに乗って弓を構えながら現れたのは金髪碧眼の調子の軽い道化師のようなノリの男、間違いなくキリストだ。


「それは光栄なことだな。イエス様に褒められるなんて光栄の限りだ。」


そう言って矢を二つに折る。


「おや、その記念の矢はいらないのかい?どうせなら貰ってもいいんだよ、イエス様からの授かり物だってね。」


「いや、そんなすばらしきもの、この北欧神話の魔狼であるフェンリルが貰うわけには行かない。」


上辺だけの言葉の応酬。こいつと合うといつもこんなことをやっている。


「そうかい。なら欲しいと思わせてあげるよ。」


奴のいいたいことは“いい加減、倒されろ”と言うことだろう。

やはり矢が大量に飛んできた。あの担いでいる袋の中、実は全部矢なんじゃねえのか?


「盛大なクリスマスプレゼントありがとうな。

 でも俺のこの体じゃあこんなに持ちきれませんって。せいぜい10本程度が限度です。」


そう言って適当に掴んだそれこそ10本程度の矢をダーツのように投げ返す。

しかしまあ、弓で飛ばしてもあんなものだったのだから手で飛ばしても高が知れていた。


「――もらった。」


こちらがせっせと矢を投げていてキリストが避けていた刹那、どこにいたのか黒い服を着た月読がキリストの背後に回って剣を振りかざした。

・・・どうでもいいが服が黒だと顔だけ浮いているように見えて怖いんだが。


「ッ!!」


しかし、奴は身体上手くひねって剣戟を避けた。

それが合図だったかのように俺たちはいっせいにキリストへと飛び掛った。


「ふん、甘いね。」


しかしキリストは俺たちの攻撃をかわしていく。


「甘いのはどっちだ!?」


俺はもうとっくに人の型を解き本来の姿、巨大な狼へと戻っている。

だから奴がおとなしくしていれば丸呑みにはできるだろう。しかし奴は腐っても神の子だ、認めたくは無いが。

だからどうせ噛み砕くのは無理、だから爪で切り裂いたほうが早い。


「くっ・・・」


服は切り裂けたが中までは届かなかったか・・・。

そこであらかじめ決めておいた作戦を実行に移す。これはヘルを俺の毛皮に隠し奇襲を仕掛けるというものだ。


「同じ攻撃は当たらないよ。」


俺の爪は空を切り裂く、しかし・・・


「隙、発見!」


背中からヘルが飛び出す。そして、

――ザッ!


奴の右腕を切り裂いた。


「・・・腕がやられちゃったか、まいったね。」


腕を切り落とすまでは行かなかったものの奴のうでは確実に使えないものになっただろう。しかし、奴は変わらない調子で飄々と喋る。

とんでもないやつだ、顔を痛みでしかめてさえもいない。


「それじゃあ、このままじゃ僕は危ないから帰るね。それじゃ。」


言うも速く奴は身をすばやく翻し、そりに乗って走り去って行ってしまった。


「兄さん、追いかけなくていいの?」


「ああ。どうせ追いつけない。」


なんかそりの後ろにロケットエンジンらしきものが付いていた気がする。どんなそりだよ、キリスト。


「じゃあ、帰ろうか。」


天照の一言で帰ることが確定した。う〜む、決着は来年に持ち越しか。

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