其の弐拾壱 下
『アオ――――――ン!』
青山市の夜空に獣の遠吠えが響いた。
その声のほうの崖には何か大きな黒い影がたたずんでいた・・・。
カミツキ! 其の弐拾壱 下ツ巻 「Christ Mas Wars 下」
何か大きな獣の声を聞いた気がした。
「なあ、凛。今、何か鳴かなかったか?遠吠えのような。」
アマはキリストとの決着がなんたらとかで出かけているのでいつものメンバーでパーティーを開いていた。
うちは別にクリスマスを祝おうとはしないがしてはいけないわけではないのでこうやっていつものメンバーでクリスマスパーティーを開いていた。
「ん、そうね。何処かの犬が鳴いているんじゃないかしら。」
「そうか。何かもっと大きい獣かと思ったんだが、気のせいか。」
「そうでしょ。」
そう言うと凛は隣に座っていた佐倉さんとの会話を再開した。
俺としてはその大きな獣に心当たりがあるんだがな。ブラコンの妹を持っている大きな狼さんとかさ。
「・・・ねえ、清浦君。少しいいかな?」
「ん、何?」
そんな狼さんが正体で無いようにと心の内に願っていたら後ろから参加者の一人である石橋君が声を掛けてきた。
なにやら自身のなさげな声だったけど一体何の話だろうか。
「実は・・・外でいいかな。」
「ん、まあいいけど。」
「ありがとう。」
そう言うと彼と一緒に外へと出る。
「・・・ねえ、佐倉さんって好きな人いるのかな?」
直球だった、やや変化の掛かっている。
「いないと思うけど。」
「そうか・・・。よかった。」
俺としての知っている範囲はだけどいないとは思う。
「で、告白するの?」
「こここここここ、告白!?」
「そうだよ。」
しなきゃどうにもならんだろうに。
「告白はしたいんだけど・・・成功するかどうか分からないんだよ。」
そう言って彼は塞ぎこんでしまう。
新ジャンル、恋する副委員長石橋君の出来上がり。
「―――おや、恋の悩みかい?そういうことなら――グファッ!?」
勇が何かでしゃばってきたのでとりあえず蹴っておいた。
「で、石橋君。続けてくれる?」
「あ、え、ああ。分かった。
で、どう告白すればいいのかな?」
このことは日常茶飯事なので見事に石橋君もスルーしてくれた。
「よし、この後すぐに。」
「・・・へ?」
「誰かの言葉だけど“恋は戦争だ”という言葉があったし、今日はクリスマスだよ。
この後、デートにでも誘ったら?」
これは必勝法だと俺としては思う。
「そうか、そうしよう。ありがとう。」
そう言って彼はまた中へと戻っていった。
・・・勇は、ほっといていいかな。
そのとき
『やほ、景。』
上からアマの声が聞こえた。
体が自然に反応して上を見上げた。そこには
「なぜ浮いている。」
空を飛んでいるアマがいた。
『サンタ殺・・・ちょっと決着をつけに。』
「・・・あ、そう。」
『それじゃーね。』
面食らって軽く放心している俺を尻目にアマは手に草薙剣だと思われる物を持って飛んでいってしまった。サンタ・・・いや恐らくキリストと戦争するのか、これこそ本当の聖戦かな。
「あ、中に戻ろう。」
そろそろ寒いのが我慢できなくなってきた。
空を見上げると何やら小さいが動いているものが多々あった。
ちなみにあの後、石橋君からメールが来て
『本文
清浦君、ありがとう。OKもらえたよ。』
らしい。どうやら告白は成功したようだ。
アマはあれから2時間ぐらいしてから結果は芳しくなかったようで浮かない顔で帰ってきた。
その手に持っている草薙剣はかなり刃毀れしていたものの血は全く付いていなかった。サンタ、どんだけ強いんだ。




