其の弐拾壱 上
クリスマスイブの朝、俺が起きてリビングに行くと・・・
「あ、おはよう。」
何故か剣をせっせと磨いているアマがいた。
カミツキ! 其の弐拾壱 上ツ巻 「Christ Mas Wars 上」
そのアマの磨いている剣は、俺が霊感が強いから分かるのか違うのか分からないが何かすごく神々しいオーラを纏っている。
「アマ、そのブツはなんだ。」
「ん、これは今日必要なものだよ〜。」
聞きたいことはそういうことじゃないって。
「必要なのは分かったが、それは一体何物なんだ。」
「これは草薙剣だよ。多分、月読も同じようなもの持ってるでしょ。」
「草薙・・・」
そりゃ神々しいオーラを纏っているわけだ。
「すごいでしょ!」
そう言って彼女はどうだとばかりに胸を張る。
しかしすごいかと聞かれたらすごいのだがそれ以前に問題がある気がする。
「まて、それはまず、銃刀法違反だろ。」
「それがどうしたの?」
「はい・・・十分に問題があるだろ。」
「だいじょーぶ、バレなきゃいいんだから。」
そういうともう十分だと思ったのかまたせっせと剣――草薙の剣を磨き始めた。
しかし彼女はふと顔を上げて、
「そうか、まだ月読は持ってないか。」
そう一言つぶやいた。
「ねえねえ、景。これ月読に渡してきてくれる?渡すだけでいいから。」
「別にそのくらいのようなら暇だから問題はないが・・・。それは何だ、まさか剣か?」
妙に神々しいオーラを纏っている段ボール箱を彼女は突き出してきた。しかもそのダンボールは細長い形をしていたのである。
「そ、そんなことは無いよ。うん、無い無い。気にしすぎだよ。」
「図星か。」
俺がそう言うと彼女は諦めたかのように天を仰いだ。まあ正確には天井なのだが。
「バレちゃったから言うけど、これはやっぱり剣だよ。お父さんから貰った天之尾羽張だよ〜。」
また大層な剣である。
「じゃあそれを渡して来ればいいのか?」
「あ、渡してくれるの?」
「ん、その剣が磨き終わってるようだしな。」
冗談交じりにそんなことを言ってみる。
まさかそんなことをするとは思わないが。
「流石に景を斬る訳にはいかないよ〜。」
「じゃ、今から行ってくるから。」
「ありがとね〜」
彼女からダンボールを貰い、階段を下る。
しかしこのダンボール、真剣が入っている為か凄く重い。両手に抱えたいともてないぐらいだ。
「すいませーん、月子さーん!」
ドアの前で声を張り上げる。まだ玄関チャイムは直していないらしいからね。
「はい?っと、景君か。
それとそれは姉からだね。」
「あ、はい。取り扱いには注意してくださいね。」
「ははは・・・君も中々厳しいことを言うね。」
「いやいや、それじゃあ俺はこれで。」
「ありがとうな。」
そう言うと彼女はダンボールを片手で持って部屋へと帰っていった。やっぱり神様は力があるのだろうか・・・それとも俺が貧弱なだけか?
まあそんなことを考えても今回の比較対象が神様であるが故に比較はしにくいので考えるのをやめ、部屋に帰った。
「届けてきたよ。」
「ありがとね〜。」
リビングに入ると綺麗に磨き終わった剣を恍惚とした表情で眺めているアマがいた。
「アマ、その表情は傍から見るとかなり危険な人だぞ。」
「しょうがないじゃない、今日遂に決着が付くんだから。」
「決着?」
また物騒なことを言う。
「ああ、今年は異教の神の子が日本に来るからね。」
「その為に剣を?」
「そうだね〜、あと、フェンたちもその為に来たんだよ。」
「そうなのか。
でもフェンリルさん達とは違う宗教じゃないのか?」
フェンリル、ヘルが出てくるのは北欧神話のはずだ。
「あ、言ってなかった?
敵はキリスト、一神教だよ。」
「じゃあアマ達は多神教連合か?」
「そういうとこだね〜。だから今夜いないからね。」
「はいはい。死なない程度にがんばれよ。」
きっと止めても辞めてはくれないだろうと思うので、もう放置することにした。
「うん、じゃあ今からフェンのところ行ってくるからね〜。」
「あ、ちょ・・・」
止めようとはしたが既にアマは行ってしまっていた。
『兄さん!浮気ですか!!』
当然、下の階からヘルさんの怒鳴り声が聞こえてきた。
・・・騒がしい一日が始まるかな。




